短歌
どんよりと 曇り続ける 空の下 恨む気持ちと 憎む気持ちと
三十九 過ぎ去りし年 数えても つのる悔やみを 蒸し返しても
紫陽花も もはやわが目には 色あせて 老いた身体に 長雨は打つ
駆けめぐる 過去の痛みに 耐えかねて 人目も臆せず ただふさぎ込む
お笑いと 髭の男らの 銃撃戦 ボタン一つで 画面は変わる
夕暮れと 茂る林と 水平線 過行く夏は ただ色濃くて
蝉の声 蟻の歩みに 川の音 職なき男の 安らぎの日々
朝帰り 冷たい風が 頬を打ち 静けさの中 雀はざわめく
ひたすらに 物と心の 境目を 思い詰めても 川は流るる
くり返す 波の音には 飽きもせず 太古の生命に 思い巡らす
短歌