秋の罪人
秋の雨上がりの寒さが
今際の際のようで
虚しさが募る
覚えていたかったことは
全部流されてしまった
闇に攫われてしまった
覚えていてもしょうがないことと
覚えていたくないことだけが残って
それが今なお俺を苛む
言葉にできないことを言葉にしようとする試みに
その営みに意味はあったのか
苦しみに意味がないのなら
苦しみを糧に生まれたものにも意味なんてないんじゃないのか
わからない、それでもこうして書き続けてしまった
まるで犯罪と贖罪を同時にやっているようで
気がふれていると見なされてもおかしくない
そんな目つきで
そんな手つきで
ああ、また取るに足らないことを大袈裟に言い表そうとしてしまう
それが誰かの、いつかの、何かを救うと信じて
秋の罪人