秋の罪人

秋の雨上がりの寒さが

今際の際のようで

虚しさが募る

覚えていたかったことは

全部流されてしまった

闇に攫われてしまった

覚えていてもしょうがないことと

覚えていたくないことだけが残って

それが今なお俺を苛む

言葉にできないことを言葉にしようとする試みに

その営みに意味はあったのか

苦しみに意味がないのなら

苦しみを糧に生まれたものにも意味なんてないんじゃないのか

わからない、それでもこうして書き続けてしまった

まるで犯罪と贖罪を同時にやっているようで

気がふれていると見なされてもおかしくない

そんな目つきで

そんな手つきで

ああ、また取るに足らないことを大袈裟に言い表そうとしてしまう

それが誰かの、いつかの、何かを救うと信じて

秋の罪人

秋の罪人

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-09-22

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