大井町のマック

田町のコミバがねえ。

 今更こんな話を書いてもどうしようもないし、別に会場を変えないでほしいという訴えを起こすわけでもないのだけど、文フリの会場が次回から変わるんですってね。文フリ東京の会場。今まで、というか、私が文フリ東京の会場に、行くようになったのも最近の事なので、さして詳しく知っているわけではないし、歴史を勉強したりもしてない。
 ただ、とりあえず、私が知る限りは流通センターの駅でやってた。で、私は浦和に住んでいるので浦和駅から京浜東北線に乗って浜松町まで行って、そっから東京モノレールに乗り換えれば行ける。東京モノレールというのは羽田空港に行きたい人が利用するようなイメージがある。羽田に快速で行くやつとかに乗ると流通センターに停まらなかったりして、注意が必要。
 そんな文フリ東京が、次回からはビックサイトで開催されるようになるらしい。
 ビックサイトって言えば、まあ、とても有名だけども、どうやって行くんだろうなというのは思う。浦和から京浜東北線で浜松町まで行って、そっから乗り換えて、というまあ、結構簡単だったんですね。私からしてみたら。だから、それが複雑になるんだろうか。というのは思った。複雑になるんだとしたら面倒だなって。まあ便利になったという人もいるだろうから、そんなにあーだこーだと言うつもりは無いけど。
 東京文フリの会場に行くという様な事が無ければ、もしかしたら一生、浜松町駅に行くことも、東京モノレールに乗る事も、モノレールからのあの河川なのか海なのかわからない大量の水、液体、水分を見ることも無かったかもしれない。流通センター駅に行くことも、駅を出てすぐあるゆで太郎を眺めることも、無かったかもしれない。そう思うと、少しだけ、まあ、センチメンタルというか、ノスタルジックな気持ちになるかも。
 そもそも出不精な私が文フリ東京に行くようになったのは、余所での活動に理由があった。そこで、ちょっとした不手際を犯した。その不手際を謝罪するために、御世話になってるそこのブースに行こうという事になった。した。んで、じゃあ東京文フリに行こうという事になった。もっと言えば、その後に行われるある会合に参加するために行った。根っからの文学偏愛精神とかではなく。ただやらかしたから。で、やらかした以上、退会するか、それとも謝罪して残るか。どっちにするか悩んで、私は後者を選んだ。
 それまで文フリの会場に行こうなんて事は、これっぽっちも考えてなかった。一回も。
 だから、とりあえず文フリの会場がどこなのかという事から調べた。
 流通センター駅。
 知らない。
 東京モノレール。
 知らない。
 浜松町駅で乗り換え。
 知らない。
 何一つ知らない。
 流通センター駅の一個前に大井競馬場があるんだ。
 へえー。
 大井競馬場って大井町にあるのかな。じゃあ、大井町に行けばいいんじゃないかな。大井町も行ったことないけど。大井町から大井競馬場に行って、そこから東京モノレールに乗ったら一駅だし。楽じゃないかな。
 そんな風な事を考えた。
 ちなみに、その時の文フリの前日は千葉から来た知り合いと朝までお酒飲んで、カラオケに行ってた。場所は秋葉原であった。そこから一旦帰るというのも、しんどいだろうな。そう思った。朝、朝方、まだまだ全然早すぎる時間だったが、とりあえず浜松町に行った。お酒のせいで、正常な、冷静な判断が出来なかったのだろうと思う。
 浜松町の近くにネットカフェとかあれば、そこでちょっと寝て、で、文フリに行けばいいじゃんと思ったのである。しかし今はどうだか知らないが、浜松町にネットカフェとかそういうのが無く。駅の周りを少しうろうろと歩いたが、無く。
 隣の田町の駅前にコミックバスターがあるというのが分かったので、田町駅まで歩いた。歩き出してすぐに後悔した。知らない町。浜松町とか田町とか。ちょっとでいいから寝たい。とりあえず寝たい。そういうメンタルで知らない町を歩くとか、しんどい。辛い。寝たい。
 スマホで地図を確認しながらようやく田町について、コミックバスターのある所に行ってみると、田町のコミバは閉店していた。
 長らくの御愛顧ありがとうございました。みたいな紙が貼ってあった。
 これも、やらかした不手際の罰なんだと思った。
 田町の駅までネットカフェがどこにあるのか、調べると、大井町にあるのが分かった。Diceというのがある。田町から電車に乗って大井町に行った。
 祈るような気持ちでDiceというネットカフェに向かった。初めてのDice。会員カードとかも無い。でもとにかくもう、行くしかなかった。ちょっと寝たかった。幸いにもDiceは席は空いており、会員カード作るとお金かかるけど、アプリで登録してくれたらお金かかりません。と言われた。アプリをDLして登録をして、フラットシート席で横になった。すぐに意識がブラックアウトした。
 起きたら幾分か、気持ちが和らいでいた。寝てから三時間、経過していた。
 その後、大井町から大井競馬場に行くというような面倒な事をやろうという気持ちも無くなり(浜松町から田町まで歩いたのがしんどかった為)再び浜松町に戻って東京モノレールに乗って東京文フリの会場に行って。なんやかんやあって夜の会合にも行った。
 その会合が終わって、何故か、なんでか不思議、でも無いか。ただ、まあ、恩を返したかったというか。
 私はまた大井町に行った。家と反対方向の大井町に。
 そして大井町の駅前のマックに行ってサムライマックと、チーズバーガーを買って、再びDiceに行った。
 Diceでマック食べて、寝て、朝起きたら、家に帰った。
 あの時のマックは美味しかったなあ。
 とか、そういう話ではない。
 ただ、忘れらない思い出ではある。
 Diceのフラットシートで呆然としながらマック食べてた。
 会合で余ったから頂戴したお酒飲みながら、マック食べてた。
 ポテトをつまんだ手でマウス触るの嫌だなあ。って思った。Diceに迷惑だろうなって。でも、触ってた。で、Diceのというか、ネットカフェによくある映画配信ページに行って、なんか見たような気がする。何を見たのかは覚えていない。
 ただ、ポテトつまんだ手でDiceのパソコンのマウスを操作して、映画観ながらサムライマックとかチーズバーガーとか食べてた。
 それは覚えている。
 ずっと忘れないでおきたいと思ってる。

大井町のマック

大井町のマック

  • 小説
  • 掌編
  • 冒険
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-09-19

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