理由
宮部みゆき著
1999年直木賞受賞作品ということで、かなり期待して図書館で借りてみました。
その前にユゴーのレ・ミゼラブルを読んでたので、現代作品に久々にふれる機会となったわけです。
お話はノンフィクション形式で進んでいく淡々としたものです。
ただ事実を追っていくという感じで、事件記者っぽい人が事件の関係者にインタヴューするという形をとってます。
最初読んでるときは、それに気付かなくて、やけに場面が飛ぶなぁとは思っていたのですが、途中で明らかにされて、なんだという感じです。
記者の視点が冷静すぎて、事実っぽく感じますが、記者の意見が一切ないので、私としてはちょっと苦手な感じです。
その人の視点がわからないと、この手の文章は読みづらいです。
最後まで読むと、この記者は同情してるところもあるのかなぁ?と推測はできます。
ただし淡々と事実だけを語られて進むので、飽きやすい感じもしました。
ノンフィクションでこの長さの本を読むのは正直つらいです。
犯人がわからないからミステリーとして楽しめるかというと、半分以上読むと犯人がわかりますし、横道にそれてばかりいる気がして、どんどん新しい登場人物に慣れるのが大変でした。
最後の方になると登場人物の名前だけ出てきても誰だかわからない始末。
これは私には合ってないなあという印象です。
人がたくさん出てくると名前が覚えられないし、だんだん同じ人に思えてくる(区別がつかなくなる)のですね。
それでも最後まで読めたのは宮部みゆきさんの腕なのでしょうね~。
文章が読みやすいし、いらっとすることもなかったし、展開に無理がないんですよね。
私はあまり宮部みゆきさんの本は読まないのですが、好きなのは時代小説です。
「あかんべえ」にはまりました。
もともと文章が好きなので、最後まで読めないことはないとは思ってましたが、うまいですよね~やはり。
素晴らしいです~。
謎解きの要素が薄いのと、淡々とした描写は感動を生みませんが、ひとつの作品としてはおもしろかったなぁと思います。
次は模倣犯を読もうかと思ってましたが、中居くんのイメージが強いのと、ノンフィクション形式の小説だったら嫌だなと思って躊躇してます(笑)。
現代ものを読むのはしばらく時間が経ってからじゃないと無理っぽいです。
模倣犯も受賞作品なのでおもしろいんだろうけど、人間の嫌な部分を見せつけられると心がなえてしまって、現代ものはきついかなぁ…。
理由