延命の限界

泥濘(ぬかるみ)に脚が(はま)って
動けない、誰もが
見て見ぬふり
自分さえ

泥水を啜って生き永らえるような在り方を
もう誰も咎めない
誰も引き止めない
脚が腐り落ちていく様を
他人事(ひとごと)のように見ている
物一つも言わず
物一つも思わず
延命の限界を待つ

誰も教えてくれなかった
延命には限界があることを
詩のない心臓に意味はないことを
悪にも在るからには意味があることを
夜明けの甘やかな苦痛を

延命の限界

延命の限界

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-09-15

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