不治の病、詩人

「詩を書くことは野蛮だが

俺はその野蛮な行為をしつづける。

その野蛮さで人が救えることを証明するために」

ほんとうに身の程知らずだよ

前進と後退を取り違えて

無謀と勇敢を履き違えて

俺は何がしたいんだろう

そう自問する暇もなく

手が勝手に動いてしまう

救いはないと書けば

救いはあると書く

すべてを書こうとしている、文字通り

すべてを救おうとしている

こんなことに必死になって

莫迦(ばか)みたいだろ

でもこの莫迦は

生憎(あいにく)治らないんだ

不治の病、詩人

不治の病、詩人

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-09-05

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