『恋人』
大好きだよって言うと
困ったように笑う人
『恋人』
誤魔化し誤魔化し
ここまで来たの
貴方の優しさに縋って
細い糸を繋いでた
毎日の電話や
記念日のメール
アタシからしか発しない
それら全てを見ない振りして
あの時頷いてくれた
曖昧さも承知の上
だけど少年らしい肩甲骨を
まわした手で感じたから
日に焼けた首も
熱くなった耳も
全部アタシのものでしょ
そうじゃないなら
何を頼りに生きればいいの
ふたりの色んな事に
どんどん隔たりができて
気づかない振りでやり過ごしても
どうしても目を逸らせない
「少年期の終わりとしてアタシを覚えていて」
『恋人』