現象

中盤部分を中心に内容を一部、修正しました(2024年9月7日現在)。


捲れた頁の匂いかな。
その鼻が動く理由。
歩みもスローになって
真っ白な毛が
外からの光に晒される。



彼は
奥から手前の本棚。
珍しい洋書とか、絵本とか
そういう物に携わる。
影も何も気にしない。



あの子は
よく歌ってるし、話す。
ボールみたいに弾んで
勢いよく返ってきて、
心配そうにする、笑う。



笑う。



ずきずきと疼く指。
練習が全然足りてない。
「私」を作る練習。
一人でしかできない事。
沢山買ったピック



削れていく時間。
きみは
その名前を呼ばれて
色を褒められて
走り出す。



降り積もる日々。
厚くも、軽く
どこまでも
跳べるように
羽ばたくみたいに



負けたくない
怠けたくない
音の工夫。



だから
腕を揃えて
足並みを気にせずに
引っ張り合う。
そんな関係で
忙しなく目を回しても、
見失わない。
消えたりしない




私、あの子。彼。
大声で



もう、大人しくしない
きみは。
強く、
勇気を持って
その胸に投げ返す。
目まぐるしい日々
揃って上げる笑い声。
もう一度呼ばれる



呼ばれて、見る。



音と光。
ただ、この心を解き放つ。

現象

現象

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-09-02

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted