『花麒麟』
吉原の昼とは
こんな物悲しいものでしょうか
『花麒麟』
蝉の声に今年も
あの人は来なかったと思い返す
当たり前の逢い引きなど
有り得なかったのだと
着物の裾を割って
差し入れた左手は
あんなにも上手に
三味線を鳴らすのね
愛しているかもしれない
けれど愛していないかも
よく解らないのです
あの人を待っているのか
貴方の腕で満足なのか
希薄な感情では
もう判別などできない
緩やかに毒に蝕まれた
この胸には
貴方が咲かせた紅い花
「もっと咲かせておくんなんし」
『花麒麟』
吉原の昼とは
こんな物悲しいものでしょうか
『花麒麟』
蝉の声に今年も
あの人は来なかったと思い返す
当たり前の逢い引きなど
有り得なかったのだと
着物の裾を割って
差し入れた左手は
あんなにも上手に
三味線を鳴らすのね
愛しているかもしれない
けれど愛していないかも
よく解らないのです
あの人を待っているのか
貴方の腕で満足なのか
希薄な感情では
もう判別などできない
緩やかに毒に蝕まれた
この胸には
貴方が咲かせた紅い花
「もっと咲かせておくんなんし」
『花麒麟』