キメラ


終わりを望む君は、
きっとそうする。
続きを欲する私は
だから、こうした。



つまり、
その虚な目を見つめて
うわ言を耳で拾い、
さまよう手を取っては
こちらの胸に当て
去らない思いを探り、
熱を持つ痛みと
歯がゆい汗。
膝から抜け落ちるもの、
肌が一層硬くなる
そういう本音で叩く、机。
それで
揺れ動く心のまま、
片付けるお皿と
はらはら舞う言葉に
気持ちを託して、
床を踏み締める。
ぎしっと板を鳴らす。
ただただ前へ、進む為に




確かに
のたうつ君の舌は
蛇のように死を弔い、
あるいは
真っ赤な林檎の如く
愛を貪るんだろう。




けれど
あの日、光を灯す瞳で
いつかの過去を語り
飲み込む夜と
私を掴んで、離さない。
その姿と影たち。
古ぼけた革のソファー。
自然と始まる
そういう行為と、
隠せない成り行き。
君は、失くした翼と
足を折り曲げて
それから
空っぽな心と頭を
こちらに預けて、眠った。
朽ちない部屋の片隅。
動けない時間。




私という化け物。
にんげんという存在。




次第に、
朝の輝きは射し始め
終わりを望む
君の悲しみが繰り返す。
だから
君を想って
力を込めて、抱き締める
移ろう影、私。
飽きずに叫ぼう。




この温かさのために。

キメラ

キメラ

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-08-17

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted