zokuダチ。セッション20

今回の新規住人は、陰からマモルより、陰守マモル、紺若ゆうな、
幻想水滸伝ティアクライスから、団長、ジェイル、マリカ、
リウが参戦します。新住人ではありませんが、懐かしのレトロ
GBソフト、ONIⅡ隠忍伝説から、ゲストで主人公の高野丸。

エピ 77・78・79・80

暴走、バナナ娘

……この話も、7月があっと言う間に過ぎようと
していた頃……。

「こーんにちわーっ!」

「どうも……」

今度来たのは、ピンク髪の女の子と厚底牛乳瓶グルグル眼鏡を
掛けた少年。……数日前、ジャミルの処に黒子から連絡が入り、
今月の新規住人を約、最低10人前後は入れておく様にと
脅しが入っていたのである。これは少し希望の光かも知れなかった。

「紺若ゆうなですっ、私達も今日からここに住みますっ、えへへー、
仲良くして下さいねー!」

「……陰守マモルです……」

「まも君、お部屋いこーっ、私達のお部屋、どこかなあ、おへやー!」

「……アイシャ、案内してやれや、2階にさ」

「あ、うん……」

「ここですかあーっ!」

「……ゆーなっ!駄目……」

「あ、あああーーっ!!な、何しとんねん!えっちーーっ!!」

ゆうなと呼ばれた少女が近藤の部屋を開けた様である。ちなみに
近藤は全裸状態であった。

「あれ?……あれ?……あれれえー?」

「だからっ、駄目だろっ!どうもすみません!」

連れのマモルと言う少年が急いでゆうなを引っ張り近藤の
部屋のドアを閉めた。

「えっと、ゆうなちゃん?あなたのお部屋は2階よ、
さあどうぞ……」

「ごめん……、本当に……、駄目だろ、ゆーな、気を付けないと……」

「えへへ!ごめんなさーい!私、さっきのお部屋の人に謝ってくるね!」

「……だからっ!後でいいんだって!」

「でも、でも~……」

……マモルがゆうなを再度引っ張り、アイシャがゆうな達を
2階の部屋まで、案内する。

「なんか、又すげえのが来たなあ……、見てるだけで
頭痛くなってくるわ……、まあ、このマンションで真面な
住人を期待する方が無理か……」

気分転換にジャミルは外に出て行った。勿論タバコを買いに。


そして夕方……。

ジャミルがマンションに戻ると、玄関先にマモルがいた。

「どうかしたか?」

「さっきはゆーなが……、本当にどうもすみませんでした……」

「いや、別に……、此処じゃそんなに珍しい事じゃねえからよ、
どいつもこいつも此処は殆ど皆変人と変りモンばっかだから……、
気にする事ねえから」

「は、はあ……」

マモルは俯き加減で暫く黙っていたが、グルグル眼鏡をキラリと
光らせるとジャミルの方を見た。

「あの……」

「何だよ……」

「ゆーなは決して悪い子じゃないんですけど……、その……、
スーパー天然、……アレなんで……、色々ご迷惑お掛けすると
思うんですけど……、とにかく宜しくお願いします……」

「あ、ああ……、見てりゃ分るよ、大変な事ぐらい……」

「では……」

マモルはジャミルにそれだけ言うと、部屋に戻って行こうとする。
其処へ……。

「たいい~……」

「?」

こちらもスーパー面食い赤ん坊、ひまわりが出現。

「たいやっ!たいいー!にへえ~……」

「……う、うわっ!何っ!?」

ひまわりは、マモルによじ登り、眼鏡を必死で外そうとするのであった。

「たいっ!たいっ!」

「こ、こら!やめろっ……!」

「……やめろって言ってんだろ、お前はっ!たくっ!!いい加減にしろっ、
……赤ん坊の癖にっ!」

「たいやー!(放せっ!この短足っ!!)」

……ジャミルにマモルから引き離されたひまわりが暴れて抗議する。
ジャミルは背が低目なだけで別に本人は決して短足ではない……。

「まも君、何してるのーっ?あ、赤ちゃんと遊んでるんだー、
うふふ、可愛いねえー!」

再びゆうなも登場し、ジャミル達の側へとやって来る。

「……たいやいっ!(ケッ、タレ目女っ!)」

「?」

「……ひまっ!まーた、この子はー!黙ってお部屋抜け出しちゃ
駄目って何回言ったら分るのーっ、もうっ!いつもいつもすみませーん、
どうもっ!」

「たいやーっ!」

……今回もみさえにあっけなく捕獲され、ひまわり退場。

「じゃあ、僕らもこれで、ゆーな、ほら、部屋に戻るよ……」

「はあーいっ、ジャミルさん、又ねーっ!ねーねー、まも君、
このご近所でバナナの美味しいお店、どこかなあ~?私バナナ大好きっ!
ちょっと黒くなっちゃった処も甘くって美味しいよねえー!あ、そうだっ!」

ゆうなはジャミルの処に戻って行くと……。

「これ、バナ君シールです、バナナに付いてるの集めてたの!
ジャミルさんにも一枚あげますねっ、色んなバナ君がいるんですよ、
これはムッキムキーバナ君!じゃあー!」

「……い、要ら……ねええ~……」

(それにしても、……あの赤ん坊も侮れないなあ……、……何処かの
忍びの者だろうか……)

「♪ばーなな、ばななばーななっ!」

「……頭、マジで痛くなってきた……、バファリン……」

そしてその日の夜、ジャミルの部屋にマモルが訪ねて来た。

「あの……、ちょっと話が……」

「……鍵は掛けてねえから、どうぞ、入っていいよ……」

「すみません、こんな遅くに……」

マモルは周囲に誰もいないのを確認すると、静かにジャミルの
部屋のドアを閉めた。

「あの、……黒子さんから聞いたんですけど、あなたが……、
此処のマンションの管理人をされているとお伺いしたので……」

「またその話かよ、どうでもいいんだけどよ、んな事はさ、実際……」

「はあ、なので……、あなたにだけは話しても大丈夫だと黒子さんが
言っていたので……」

「……あん?」

「僕とゆーなの事、此処に来た理由、聞いて貰いたいんだよ……」

今までジャミルに対して敬語を使っていたマモルは、急に為口になる。
マモルから聞いた話と諸事情を簡潔に纏めると……。

マモルの家系、陰守一族は、主君であるゆうなの一族、紺若家に
代々使える忍である事、マモルは幼い頃から常にトラブルメーカーで
危険に巻き込まれる体質のゆうなを守っている事、彼女が最近余りにも
何時にも増して危険に巻き込まれる可能性が増えて来た為、
ゆうなをマモルのボディーガード付きで暫くの期間、安全な
場所に避難させる為に……。

「で、此処に来たのか?」

「……僕がいつも陰から常に危険からゆーなを守っている事は……、
彼女にも内緒だから……」

なんか、そうなると、俺らも巻き添え喰らって色々巻き込まれる
可能性もある訳で、危ねんじゃね……?と、ジャミルは思ったのだが。
それに此処のマンションも変わりモンが多数所属している為、決して
安全とは言い切れないのであるが……。

「僕らの事は……、誰にも言わないでいて欲しい、それだけだよ……」

「分ったよ、ま、内緒を抱えてる奴は他にもいるからさ……」

「ハア?」

「い、いや、何でもねえ……」

「じゃあ、今日はそれだけ、また……」

「……」

マモルは部屋を出て行くが、数分後に又すぐジャミルの処に
戻って来る。

「ごめん、又ちょっと……、今ゆーなの部屋にちょっと顔を
出してみたら、ゆーながいない……」

「こんな夜遅くにか……?何処もいかねえだろ、幾ら何でも……」

と、部屋の外に出ると、丁度廊下を歩いていたアイシャと
ばったり出くわす。

「ジャミルと、マモル君?こんばんは、お散歩?」

「いや、ゆーながいなくなって、それで……」

「あ、探してるの?」

「コラ!ガキはもう寝る時間だろっ!フラフラ歩いてんじゃねえよっ!
お前こそ何処行く気だったんだ!?」

ジャミルがアイシャに軽くデコピンする。

「……いった!何よっ、ジャミルのバカっ!ゆうなちゃんなら
さっき共用玄関の処にいたわよ、バナナ持ってチョロチョロしてたわ……」

デコピンされたデコを抑えながらアイシャが声を出した……。

「はあ……!?僕が探し回ってた時は玄関にいなかったのに……」

んでもって、玄関先に行ってみると、確かにバナナを抱え、
チョロチョロしているゆうながいたのである。

「……ゆーなっ!」

「あ、まも君、ジャミルさん、アイシャちゃん、こんばんわー!」

「……こんばんわ……、じゃないだろ……、何してたんだよ、
部屋にいないから……、全くもう~っ!!……僕がどれだけ心配したと……」

呆れながらも、無事なゆうなの姿を見、ほっとした様にマモルが
ゆうなの肩を掴んだ。

「んとね、あのね、私、今日、間違っておっきなお兄さんのお部屋を
開けちゃったでしょう?……まだちゃんとごめんなさいしてないから、
お詫びの印にバナナをお届けしようと思って、此処で待ってたのーっ!
夜は皆でお出掛けして殆どいないって聞いたからーっ、ほら!」

事実上、ゆうなは高校生、近藤はまだ中学生なのだが、ゆうなはまだ良く
住人の素性を分かっていない為、勘違いしている様だった。

「……」

ゆうなが籠いっぱいに入った大量のバナナをニコニコしながら
マモルに見せた。

「……だから、朝か昼間にちゃんと会った時でも構わないんだって……、
こんな夜遅く……、返って迷惑だから……、部屋に戻ろう、さあ……」

「うーん、……まも君がそう言うなら……、あ、これバナナっ、
ジャミルさんとアイシャちゃん、二人で食べてね!じゃあ、
おやすみさなーい!」

「……はあ……」

「おやすみなさい……」

ゆうなはジャミルとアイシャにバナナを渡すと2階に上がって行った。

「……律儀なのか、ボケなのか……、まあ、両方だろうな……」

「ふふ、チビちゃんにあげたら喜ぶわね、バナナ……」

「……おい、処でさっきの続きだけどな……」

「べ、別にいいでしょっ!マンションの中お散歩してただけなんだから!
子供扱いしないでよねっ!」

「……お前も変わった趣味だなあ、そうかい、じゃあ早く寝ろよ!」

「……言われなくても寝るわよっ!おやすみっ!」

アイシャはジャミルに舌を出すと自分の部屋に駆け込んで行った。

「あいつも、時々わかんねえ時あるんだよなあ~、まあいいけどさ……」

アイシャはジャミルが部屋に引っ込んだのを見計らって再び部屋から出て来る。

「ね、寝る前の……、ちょっとしたウォーキングなのよっ……!
ふぇぇ……、最近また太ったから……、う、……ぐすっ……、
乙女の気持ちなんか分かんないジャミルのバカバカバカっ!」


そして、マモルとゆうなが此処に越して来て数日が過ぎ……、
ゆうなは持ち前の明るい性格で誰とでもすぐに打ち解け、
住人達ともどんどん仲良くなっていった。

「はー!いちごメロンパン美味しいんだよ!」

「そうなんだあ!バナナメロンパンはないのかなあ~?」

「はー?わかんなーい!」

……天然ボケコンビ友人も沢山出来、充実した日々を送って
いたのであった。

「とりあえず、本人幸せそうだし、……ま、変人も多いけどさ、
此処は良い奴ばっかだからさ、あんまりお前も気ィ張る事ねえよ、
気楽にやれよ……」

「……うーん、そうしてみたい処なんだけど……、気が気じゃなくて……」

「おい、ジャミ公、これから男子会だぞ、オメーもこいや……」

両手にバナナを持ったホークがぬっと現れる……。

(また、ゆーながバナナを押し付けたな……)

「ええ?……今からかよ……」

「そのグルグルボウヤの歓迎会も兼ねてだっ!オラ、喫茶店行くぞっ!」

「あの、……グルグルボウヤって、僕……?」

マモルが自分の顔を指差した。

「お前しかいないだろ……」

「おや、野郎だけかい、その内またあたし達もやるかねー!」

「はー、女子会ー!やろーっ!」

「……」

突如現れたバーバラの胸の谷間を見……、マモルが
顔を真っ赤にする……。

「あっ、まも君!鼻血出てるっ!大丈夫っ!?」

「……平気だよ……、ゆーな、あんまり大声出さないで……、
う、うわ……」

「駄目だよーっ!お、お医者さーんっ、誰かいますかあーっ!?」

「おいおい……」

ゆうながあまりにも騒ぐので、マモルを部屋に寝かせ、今日の
男子会は中止となる。

「ふふ、やっぱり若い子ってのはウブで可愛いモンだねーっ!
あっはっはっは!……今度は超過激ビキニで悩殺しちゃおう
かしらねえ~……」

バーバラは満足そうに腰を振りながら部屋に戻って行った。


「……あのオババも相変わらずどうしようもねえ……、まあ、
んな事はどうでもいいとして、取りあえず、新規住人は2人確保出来た
……、と、う~ん……、残りは後8人か……、大丈夫かな……」

と、簡単に考えてみるが、その道のりは遥かに遠い物なのだと
ジャミルは実感する。そして、マンション内では、ゆーなが
住人の部屋へ彼方此方回り、バナナを届けているらしく、
ちょっとした騒ぎになっていた。……まるで引っ越し蕎麦ならぬ、
引っ越しバナナである。

「……わりいけど俺、今バナナどころじゃねえんだよ、今月も
後もう少し……、どうやって残り8人住人増やすか……、
ポスターが利くとは限らねえしなあ……」

と、ジャミルが部屋に戻ると、部屋の前に大量のバナナと
手紙が置いてあり。


※ジャミルさんえ、バナナ食べてね!おいしいですよー!
   ゆうな
  

「……がああああああーーーっ!!」

ジャミルは、大量のバナナを食べ捲り、後処理をし、……そして
腹を下したのであった。

住人にはなれないけれど

……今回の事件は、不思議な少年がマンションに逃げ込んで
来た事から始まる……。


「お願いです、ほんの少しの間でいいんです、僕を匿って下さい、
お願いします、……どうか……」


「……ジャミルーっ!大変だよお、……あら?」

「ジャミルなら押し入れよ、隠れてるわよ」

もはやジャミルの部屋で寛いで行くのが住人達の日課の様であり、
今日はアイシャが来てお菓子を食べていた。

「こらっ!アイシャっ!テメー言うんじゃねえっ……!!」

「……アンタはドラえもんかい、……ほら、担当責任者っ!
事件ですよお~、出て来て下さいなっと!」

ダウドが勝手に押し入れを開け、ジャミルを引っ張り出した。

「……なんで毎度毎度、あたしゃが出動しなきゃならんのよっ!
いい加減にして頂戴よっ!……うううう~……」

「そんな事言ったってしょうがないよお~、ほらっ、出た出たっ!」

毎度の事ながら、ダウドに押しこくられ、嫌々玄関に向かうと……。

「???」

「こ、こんにちは……」

玄関先に居たのは……、今までの住人と明らかに趣向と
恰好が違うイケメン美少年であった、髪型は茶色い髪の
ポニーテールに、服装は陰陽師風の着物を身に纏っていた。

「あんた……、一体何処の時代の人……?」

「く、詳しい事は後でお話しますっ、とにかく僕を匿って下さいっ!
どうかお願いしますっ!!」

「匿うって……、まさか、追われてんのか……?」

「……たいい~……、たいやーっ!!」

「おい……」

又、ひまわりがイケメンレーダーを働かせ、部屋から
脱走してきた様であった。どうやら、自分達の部屋に
隠せと訴えているらしい……。

「……ひまっ!いい加減にしなさいっ!!」

「たいやいーっ!!(デカケツーっ!邪魔をするなーっ!)」

……ひまわり、又イケメン捕獲失敗し自分が捕獲される……。

「あ、あああ!そ、それよりも……!」

「……分ったよ、んじゃ、俺の部屋に来いや……」

「有難うっ!」

ジャミルはポニーテールの少年を自分の部屋に連れて行った。


「……どうぞ、熱いから気を付けてね」

「有難う、頂きます……」

少年はアイシャが淹れたお茶を美味しそうに飲んで一息ついた。

「……今日は真面な茶を入れたなあ……」

「何よっ!いつもちゃんと淹れるもん!」

少年はジャミルとアイシャがギャギャーやり始めた処で、
又下を向いて俯いた。

「あの、……君、追われてるんだよね?こんな事聞くのも
あれなんだけど、何か悪い事でもしたのかい?とてもそんな
感じに見えないんだけど……」

ダウドが訪ねると少年は少し困った様な笑顔を見せた。

「うん、確かに……、何も悪い事はしていないよ、唯、身内にね……、
追い掛けられているんだよ……」

「……身内っ!?」

ケンカをしていたジャミルとアイシャが揃って少年の方を見た。

「あ、自己紹介がまだだったね、僕は高野丸、
退魔師をしているよ……」

「退魔師って……、妖怪とか追っ払う仕事だろ……」

「ああ、追手に追われて彼方此方逃げ回っている際に、
間違った場所へと法術で転移してしまって此処へと……」

「じゃあ、君もこの世界の住人じゃないんだねえ、どうりで
格好がオイラ達と違い過ぎるもんねえ……」

「……案外抜けてんだなあ……」

「……面目ない……、強力な法術を使ってしまったから、
又使える様になるまでの間、追手から隠れる時間がとにかく
欲しいんだよ……、勝手な事とは分かっているけど……、
それまでの間、どうか……」


……高野丸~、高野丸はおるか~!!


廊下の方から、しわがれた声がし……。


「……じいちゃんだっ!くっ、此処までっ、もう来たっ!!」

「はあ?あんたを追ってるって……、じいさんなのか…?珍しいなあ、
普通、身内の追手とかって、父親とかそんなモンじゃねえの……?」

「……じいちゃんの鬼畜変態度ぶりは半端ではありませんっ!!」

「みつけたぞおーっ!高野丸ーっ!ええいっ、今度こそ
連れ戻してくれるわ!観念せいーっ!!このアオガキーーっ!」

「きゃっ!?何よっ!!」

禿げ頭の爺が、ジャミルの部屋に突然現れる。

「いやだっ!……僕は、……僕は……っ、もうあなたの
処には戻らないっ!あんな辛い修行は絶対に、二度と嫌だっ!!」

「ええいっ!お前は儂の後を継ぐのじゃあーっ!身勝手は許さんぞーっ!!」

……爺と高野丸は……、ちゃぶ台を挟んで睨み合い、
一触即発状態である……。

「……観念するのはじいちゃんの方ですっ……!
この糞じじいーーっ!!」

高野丸、爺にちゃぶ台をブン投げた。

「祖父に向かって何をするかーーっ!ええいっ、この
バチ当たりめがあーっ!!」

「うるせー糞じじいっ!早く帰れーーっ!!」

「……何か、喧嘩の度合が低くなってきたな、どんな
モンかと思ったが……」

「ジャミルっ、そんな事言ってる場合じゃないわよっ、
早く二人を止めなくちゃ!」

「……後はジャミルに任せて、オイラ部屋に……」

「ダウドっ!!」

「すみません……」

アイシャに怒られ、ダウドが小さくなった。

「この糞ガキめえー!観念せえと言うとるじゃろうがあっ!!」

「……誰がするかっ!バカ爺!!いい加減にくたばれっ!痴呆症!!」

「何か、あの子、さっきより性格豹変してない……?」

「壊れてきちゃったわね……」

「やっぱりこいつもプッツン系統か……」

「何か儂も投げる物、投げる物はないかー!」

爺はジャミルの部屋の押し入れを勝手に堂々と開ける。

「おお、これぢゃ!」

押し入れの中に放置してあった雑誌をポイポイ高野丸に投げつける。

「あっ!お、俺のっ!!」

「……週刊、プレイボーイ……、……ジャミルーーっ!!」

読んで処分し忘れたエロ雑誌を爺の所為でアイシャに見つかり、
今度はこの二人がバトルになり、ジャミルの部屋は修羅場と化す。

「……オイラ、どうしたらいいのかなあ……」

ダウドは一人、困ってただその場に立ち尽くす。

「ジャミル~、あんたに珍しく郵便よ、小包!優しいあたしが
わざわざ届けに来てやったのよ、感謝しなさいよね!」

丁度揉め事の最中に、運悪くエレンがやって来てしまったのである。

「エレン、い、今此処に来たら駄目だよお!」

「何よ?」

ダウドが言った通り、爺のほおり投げたエロ本と、高野丸が
ブン投げた急須が部屋の入口に立っていたエレンの頭部に命中する。

「……あああっ!だからーっ!な、何て命知らず事をっ!
オイラ、もう知らないーーっ!」

「ふふん、……あたしにこれ今ブン投げたの……、だあれ?」

エレンが不敵な笑みを浮かべ、指を鳴らしながら、ずんずん
ジャミルの部屋に入って来た……。

「……や、やべえっ!気が付かなかったっ!!お前ら、
逃げろ、早くっ!!」

「はあ?」

「何じゃい、あの小娘は……」

「……成敗してやるーーっ!」

切れたエレンは爺を年寄りと言えども容赦せず。いつもの
ジャイアントスイングでブン回すと壁に叩き付けた。そして、
ジャミルと高野丸にもついでのおまけでパイルドライバーを
お見舞いする。

「……あー、すっきりしたっ!」

エレンは、ジャミル、高野丸、爺を成敗すると、満足そうに
部屋を出て行った。

「俺、……あいつには何も投げてねーぞっ!」

「……よ、世の中には……、妖怪並みの人間もいるんだなあ~、
僕もまだまだ勉強不足だった……」

「はあ、……私帰るっ!」

「あ、待ってよアイシャ!オイラも部屋に帰る!」

アイシャとダウドは呆れて自分の部屋に戻って行った。

「おい、……どうすんだよ、お前の爺さん……」

「……きゅう~」

エレンに思い切り壁に叩きつけられた爺は、巨大なタンコブを
作って気絶していた……。

「僕も又法術が使える様になったみたいだし、このまま
じいちゃんを連れて元の世界に戻って何処かに捨ててくるよ……、
迷惑掛けちゃったね……」

「捨ててくるって……、爺捨て山かよ……」

「それぐらいやっても追い掛けてくるんだから、平気だよ……」

「そうか、あんたがそう言うなら別に止めやしねえけどよ」

「うん、色々有難う!」

高野丸はそう言うと、ジャミルの部屋に方陣を作り、爺を
掴むとその中に入る。

「じゃあ、君も元気で!」

「おう、あんまケンカすんなよ!」


高野丸と爺は元の世界に帰り、これで終わったと思われたが。
そうではなかった。高野丸の作った方陣ゲートが何時までも
消えない為亜空間を通り、ジャミルの部屋に何かが頻繁に
出入りする様になってしまった。


……in市役所


「よう黒子、取りあえず、住人4人連れて来たぜ、酒呑童子と
ダイダラボッチ、……水虎と、天輪乗王……」

「……帰って貰って下さい…」

「駄目……?」

「駄目です」

「……ケチケチドケチっ!!」

百万世界からこんにちは 前編

「よう、グレイ……」

「何だ、貴様か……、珍しいな、何の用だ?金なら貸さんぞ……」

「そうじゃねえよっ!……あのさ、大分前に、確か、オメーの連れ、
その内来るって言ってたよな?」

「……ガラハドか?」

「い、何時来るんだっ!」

「知らんな……」

「……知らんって……、それじゃ俺が困るんだよっ!今月中に
何とか後8人、住人確保しないといけねんだからよっ!」

「別にお前が困ろうが俺の知った事じゃない、まあ、精々頑張れ……、
どうだ、珍しく励ましの言葉を掛けてやったぞ?嬉しいか?じゃあな……」

「……」

グレイはそれだけ言い放つとドアを閉めた。

「……くっそ野郎めえええ~!!糞踏んで死ねっ!!」


ジャミルの自部屋。いつもの4人が集まり、深刻な表情をしている。

「何か、あまりポスターも効果ないみたいだね……」

「悪かったな、アル達にも手伝って貰ってこれじゃ、はあ、
どうせ俺が怒られりゃいいんだからさ、お前らはあんま気にすんなよ……」

「諦めちゃ駄目よっ!最後まで戦うのよっ!」

「アイシャ、選挙前の最後の演説みたいな事言ってるよお……」

「ところで、その、前回のゲート、まだ、消えてないの……?」

「消えねえ……」

ダウドがおっかなびっくり方陣を突っついてみた、すると……。

「うわあっ!?……ゲート、ゲートがああっ!光ってるよおお!」

「いつもだよ、決まって何か召喚されると光り出すんだ、
……俺の部屋、もう何だっつんだよ……」

ジャミルはもう諦めている様で、特にびっくりした様子は
見せなかった。

「……何処だ?ここ……」

「ひ、人だよおおっ!ジャミルうーーっ!!」

「はいはい、どうせいつもの妖怪だろ……」

「違うよ、人間だってばあーっ!」

「ジャミルっ、本当だよ、人だよ……」

「……ハア?」

やっとアルベルトの声に耳を傾けると。

「ひ、人っ!?マジでっ!?」

「だからっ、さっきからそう言ってるじゃん、もうーっ!!」

今回現れたのは、短髪で銀髪、肩にプロテクターを付けた
活発な少年であった。

「よお、あんた達だれ?んで、此処どこだい?」

「それは俺が聞きてーよ……、お前こそ誰だよ……」

「それにしても、汚ねえ部屋だなあ!アンタ、掃除してんのか?」

「……余計なお世話だっ、早く帰れっ!」

ジャミルが手を振ってシッシすると少年は口を尖らせた。

「トビラが……変なとこと繋がっちまってさあ、……此処に
来ちまったと思うんだけど……」

「変なとこで悪かったな!だから早く帰れっつんだっ!」

「もう、大人げないんだから、ジャミルは……、ねえあなた、
折角だからこっちに来てお菓子一緒に食べない?お茶もあるわよ」

「菓子ー!食うっ!」

アイシャが誘うと、少年は喜んで方陣から出て来た。

「ところで、あなたのお名前は?」

「シグっ!向こうじゃ団長とも呼ばれてた!」

「……だ、団長さん……?」

「おーい、……俺の部屋は待合所じゃねえんだよ、
いい加減にしとけ……」

「いいじゃないか、どうせもうしっちゃかめっちゃかなんだし……」

と、お茶を飲みながら呑気にアルベルトが呟いた。

「うめえなー、コレ!なんて言う菓子だ?」

銀髪の少年、シグは遠慮せず菓子をぱく付く。

「……マフィンだよ……」

「ハフィン?」

「マフィンっ……!!意味わかんねえよっ!!」

※ハフィンとは、ゲーム中に登場する108星の1人です。

「何だかジャミルがもう一人増えたみたい……、親戚の
子じゃないの……?」

「あら?ジャミルより可愛げがあると思うわ……」

ダウドとアイシャは口を揃えて好き勝手口走る。

「あんたの家って此処なのか?ふーん、随分狭い家なんだな……」

「家じゃねえよ、マンション内の一部屋だよ、其処に
部屋借りて住んでんだよ」

「マンションてなんだ?村の名前か?」

「おい……」

「ちゃんと丁寧に説明してあげなよ、ジャミル……」

アルベルトに言われ、これはまた物凄いのが来たなあと、
ジャミルは困ってみる。仕方がないので説明すると、一応
シグはふんふん頷き理解した様子であったが。

「ふうーん、じゃあ、オレ達の本拠地みたいなモンなんだなあ……」

「あの、……本拠地って……?」

「何でアンタそんなにおどおどしてんだ?顔は全然似てねーけど、
なーんかリウみてえ!あはははっ!あ、リウってのは、オレの幼馴染でさ、
ダチの1人だよ!」

「はあ……、そうなんだ……」

「どこの世界にもヘタレがいるんだなあ……」

「……うるさいよおっ!バカジャミル!!」

ムキになってダウドが反論する。


……近藤ーっ!!テメー待ちやがれーっ!!


「……お?なんだなんだ?」


廊下の方からけたたましい丸井の声がした。いつもの仕事が
始まった様である。

「……たいやい……、クンクン、クンクン……、(また何処かで
男の匂いがする……)」


「何か凄そうだなあーっ、何だろ!?」

「こ、こら待てっ!お前が行ったら又騒ぎが大きくなる、頼むから
部屋の外に出るなっ!!」

好奇心旺盛なシグをジャミルが慌てて捕まえた。

「えーっ!いいだろっ!見せろよっ!!」

「……あっ!この野郎!!」

シグはジャミルを振りきり、部屋の外に飛び出して行ってしまった。

「凄く元気な子ねえ……、はあ~……」

「うん、見ていて飽きないね……」

「親近感はもてるよねえ~、悪い感じ全然しないし、ちょっと
バカって感じだけど……」

もう騒動に慣れっこなのか、アイシャ達3人は呑気にいつも
通りであったがジャミルは一人、気が気ではなく、シグを
捕まえようと自分も部屋の外に飛び出して行った。


「……近藤っ!!今日はスペシャルサービスサンデーだぞ、
嬉しいだろ?谷口さんが外出してるからな……、覚悟しとけ……、
ひひひ……」

「何がスペシャルサービスデーやねんっ!!ひいーっ!鬼いーーっ!!」

「♪ばーなな、ばななっ!ばーなーなっ!」

そして、食べたバナナが美味しかったので意味もなく踊っているゆうな。

「……だから、何でよりによって人の部屋の前でわざわざ騒ぐんだっ!!
てめーら絶対わざとだろうっ……!!」

……何だか泣きたくなってジャミルがこめかみを抑えた……。

「すっげーっ!アンタ達の処も宿星がいたんだなーっ!
そうか、……マンションてやっぱり城だったのかーっ!!
……オレ、感動したーーっ!!」

何だか分かんないがシグが感激して思わず拳を握りしめた。

「……あのなあ、オメーの言ってる事は全然わかんねーんだよっ!!」

「……たいや……(なんか今日のはいつもより、少しレベルが
落ちてる感じがするんだわあ~……)」

鼻の穴を広げ、ひまわりのイケメンチェックが始まるが、今回は
シグの知能の無さを感じたのか、少しご不満の様であった。

「……赤ん坊まで星に選ばれたのか……?お前もすげえんだなあ……」

「たいいー?」

しかし、結局は又みさえに見つかり捕獲されて行ったのである。

「見てると気の毒だな、いつ成功するんだか……、
しかし逞しいなあ……」

みさえに抱えられ、毎度毎度連れて行かれるひまわりを見て、
ジャミルは何となく複雑になってくるのであった。

「こんにちは、ジャミル……」

「ああ、クローディアか……」

平然と……、ブラウとシルベンを連れたクローディアが現れた。

「!!!」

「今から、お散歩に行く処なの、あら?そちらは?新しい方……?」

「い、いや、そうじゃねえんだけど……」

「何か感じが少しソフィアに似てるなあ、髪型とか……、
そ、それに……、獣……、狼だ……、うっ、……ク、
クウガァァアーー……っ!!」

「は、はあ……?」

急にシグは泣きだし、シルベンに飛びつき……、見ていたクローディアも
困惑する……。


……さて、お約束で暴走団長を追い掛けて来るであろう、残りの
シトロ組は又次回。

百万世界からこんにちは 後編

余興が終わった様に、ゆーな、近藤、丸井の3人は
わざとらしく部屋に引っ込んで行き、クローディア達も
外出して行った。

「……ぐす、クウガ……、で、オレはどうすりゃいいんだ?」

自分の顔に指を当ててシグがジャミルに聞いた。

「知るかよ、自分で考えろよ、でも仲間がいるんなら
早く戻った方がいいぞ……」

「でもなあ、オレ、今やる事ねえから暇だし、此処に暫く
住んでみてえなあ、面白そうだなあ……、色んな奴がいそうだし……」

(住人としては、又手が掛りそうだけど……、黒子に脅されてる
分の今月後8人、一人でも穴埋めが出来るなら……)

と、ジャミルは企んでみて、シグに話を持ち掛けてみる。

「じゃあ、此処に住んでみるか?部屋空いてるぞ……」

「ええっ!?マジでっ、いいのかっ!?」

「……犬みたいだな、お前……、いいよ、そうだな、先行で
3階に住んでみるか?」

ジャミルはアイシャを呼んで、部屋案内を頼む事にする。

「じゃあ、私が案内するね、ちょっと待っててね、準備があるから……」

「おう!悪いな!」

アイシャがシグを3階まで案内する。続いて、アルベルトとダウドも
ジャミルの部屋から出て来た。

「僕もそろそろ外出するから、今日はこれで……」

「オイラも部屋に戻るね……」

「ああ、またな……」

2人もいなくなって、更に静かになりジャミルも部屋に引っ込む。

「何とか、……1人はどうにかなった、……後7人か、それにしても、
何時になったらこのゲートは消えるんだ……」

「……なあーっ!」

「おわっ!?」

部屋に行った筈のシグが再び戻って来た。

「部屋いても誰もいねーし、つまんねーよ!オレの他に誰も
他の部屋に住んでねーし!」

「仕方ねえだろ、取りあえずお前しか3階にはいねんだから、
我慢しろよ……」

「なあ、この本拠地、他に誰がいるんだ?オレ、色んな奴と
友達になりたいんだよ!」

「……だから、本拠地じゃねえって……」

目を輝かせ、余りにもお馬鹿で素直で純粋すぎる為、対応にジャミルは
戸惑うのであった。

「じゃあ、好きなだけ自分で挨拶周りに行って来い、但し、騒動は
起こすなよ、……分ったな?」

「何で駄目?」

「何でもだっ!早く行けっての!」

「分ったよ、行ってくるっ!」

「……はあ~……」

ジャミルは最近自分がお馬鹿チャンピオンナンバーワンの座が
危うくなっているのをひしひしと感じ……。

「て、いねーっつーのっ!……あ、パンツが湿ってる、
……取り替えるか……」

と、いそいそとジーパンを脱ごうとする。すると、又部屋のゲートが
急に光り出した……。

「わああああっ!?な、何でっ、こんな時にっ!?ああああっ!!」

「全く、ウチの困った馬鹿団長は此処に来たのね……、
見つけたらとっちめ……」

「……」

ゲートから現われたのは、髪二つ縛りの女の子であり、
ジーパン半降ろし状態のジャミルと目が合ってしまう……。

「は……」

「よ、よう……」

と、返事を返すしかなく……。


      ……きいいい……やああああああーーーっ!!


「何よアンタはっ!あっち行けっ!!変態っ!!……アホッ!!
このアホッ!!」

女の子はとりあえず側にあった茶筒をジャミルにほおり投げた。

「……いてっ!落ち着けっ!冗談じゃねえぞ!此処は俺の部屋だっ!
お前こそなんなんだっ!」

物を投げられながら慌ててジャミルはジーパンをはき直す。
かなりと言うか、ゲートから出て来た女の子はごっつ気が
強い様であり……。

「……マリカ、どうした……?」

「シグは、見つかった……?」

更に女の子の後に続き、ゲートから2人の少年が姿を現した。

「ジェイル、リウっ!冗談じゃないわっ!変態の処に
出ちゃったわよっ!!」

「……誰が変態かっ!ん?リウ……?お前がひょっとすると
あの天然パーの友達か?」

「天然パーって……、シ、シグ、やっぱり此処に来てるのか?」

「あーっ!バナナもらっちまったーっ!うめえなあーっ!!」

噂をすれば何とやら。バナナを銜えた話の超本人がジャミルの部屋に
のこのこ戻って来た。

「シグっ!!」

突然消えてしまい、困ったアホを追い掛けて来たらしき3人は
一斉に声を揃えた。

「マリカ、リウ、ジェイルっ!お前らも来たのか?」

「……来たのか、じゃないでしょっ!この馬鹿っ!!」

「いてっ!!」

シグ、名前はマリカと言うらしき女の子に一発殴られる。

(なーんか、何処かで見た様な光景なんだよなあ~……)

「急にいなくなっちゃったから、オレ達すっげー心配したんだぜ…?」

「相変わらず、アホだ……」

頭部にバンダナを巻き、ツンツンヘアーのリウと、変な帽子を
被ったジェイルが項垂れた。

「よう、お前ら、此処に座れ、んで、お前もちゃんとこいつらに説明しろ……」

ジャミルはシグと仲間の3人をちゃぶ台の前に座らせる。

「ちぇっ、分ったよ……」

「あら、アンタ、唯の変態さんじゃなかったのね……」

「んじゃ、ちょっこしおっじゃましまーすっ!!」

「……本か、週刊プレイボーイ……、一体何の本だ?」

「い、いっ!?い、いいんだよっ、早く座れよっ!」

「ふっ」

(何か……、ジェイルとか言う野郎、癖が悪そうだなあ……、
人のアラを探すまるでどっかの誰かみてえ……)

んで、お子ちゃま4人組は井戸端会議を始め、ジャミルは寝転がって
黙って話を聞く事に。

「だからさあ~、城ん中に又変な新しい扉が出来てて、
何故かオレでも通れて此処に出ちゃったんだよ……」

「はあ、全く……、ホツバさんが騒いじゃって大変だったんだぜ、
およっ!大変ですぜ!シグさんが新しい扉に入りやして、
そのまんま戻って来やせんっ……!!って、さあ~……」

「まあ、それであたし達も気づいてさ、追い掛けて来れた訳だけど……」

「そう言う事だ、じゃあ戻るぞ……」

ジェイルがすっくと立ち上がる。

「ま、待てよっ!オレ、今日から此処に住む事にしたんだよっ!」

「はあ~?アンタ何言ってんのよっ!冗談もいい加減にしてよねっ!!」

「マ、マリカもシグも落ち着けって、ケンカすんなよ……」

「リウ、うるさいわよっ!!」

「まあ、こいつの言い分もあるだろう、聞こうじゃないか……」

立ったと思ったジェイル、急に又座り出す。ジャミルはもう飽きて
ゴロゴロ。居眠りを始めた。

「だって、今別にオレが城に帰らなくたって平気じゃん、
あっちはあっちで皆が城の警備とか頑張ってくれてるしさ……」

「そう言う問題じゃないのよっ!急にいなくなったまんまじゃ
皆心配するでしょっ!!」

「……あ、ああああああーーっ!!」

「ひっ!な、何だ、何だよっ!?」

寝ていたジャミルがリウの悲鳴で急に飛び起きた。

「……何よっ、リウっ!大きな声出さないでっ!!」

「ゲートが……、消えてんだ……」

「……うっそでしょ……」

「うわあーっ!じゃあ、オレ当分戻らなくていいんだなーっ!
良かったーっ!!」

「……良くないってのよ、この馬鹿っ!!」

「あいてっ……!!」

こうして、ジャミルの部屋のゲートは漸く消えたが、シグを
追い掛けてきた他の3人はそのまま帰れなくなり、戻る方法が
分るまで此処に済む事になった。

「……な、何とか…、住人6人確保したけど……、マジで又
大変な連中が来た……、はあ、今月、後4人かあ~……、どうすっか……」

……プルルルル!

「げ……」

と、ぼやいた処に、部屋の電話が鳴る。……相手はもう分かっている。
ジャミルは眉間に皺を寄せ、受話器を取った。

「……もしもし……」

『市役所です、……ジャミルさんですか?どうでしょう?
お客様の入り具合は……』

「何とか……、6人はどうにかなったんだけど……、なあ、後4人、
……今回は免除してくんね?」

ジャミルがそう伝えると、電話の向こう、市役所にいる黒子は
一瞬会話を止めた。

『分りました、今月はまあ、取りあえず宜しいでしょう……』

「……ホントかっ!?」

『では、今月達成出来なかった分、8月も最低目安人数、10人で
お願いしますね……、あ、数はどんどん上回って頂いて構いませんから、
10人と言うのはあくまで目安です、お願いしますね……』

「……あう」

『……プーッ、プーッ、プー……』

「……おにいいいいいいいーーーーーー!!」

何はともあれ……、異世界からの新住居人達はどんなマンション生活を
送るのだろうか。

zokuダチ。セッション20

zokuダチ。セッション20

SFC版ロマサガ1 トモダチコレクション キャプテン まほプリ ロマサガ3 FF9 わんぷり FF8 コードネームはセーラーV クレしん メタルギアソリッド クロスオーバー バカ どんどん増える 変な住人 カオスな世界 ドラクエ オリキャラ 陰からマモル 幻想水滸伝ティアクライス ONIⅡ

  • 小説
  • 短編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-08-03

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

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