『花火』

いつもより濃い口紅が
君への想いに比例してた


『花火』


こんなところでも見えるのね
驚くアタシに君は笑って
穴場なんだと誇らしげに言う
人混みも楽しいけどこれはこれで

今年は君が好き
それは悪いことではないけど
打ち上げ花火みたいなものよ
華やかなのは一瞬だけ

来年の約束をしないのは
ある意味誠実とも受け取れて
泣きたいくらい綺麗なのに
泣けないアタシを許して

終われば気まずそうに
この後どうするなんて聞いて
結局泊まりになるんだから
駆け引きめいたことはいいよ

付き合うか付き合わないか
この曖昧な期間が大好きよ
曖昧な好意が一番好き
責任とかどうでもいい

君を独占したいよなんて
縋られれば嬉しいし
ちゃんと好きだから安心して
そんな慰めで場を繋ぐ

去年の彼がどうしてるなんて
ちっとも知らないし
知ろうとも思わない
薄情な態度が君を燃やしても

花火の熱を思い出してみて
あの一瞬は記憶の中で
いつまで経っても美しいわ
例えすぐに冷めてしまうとしても



「化粧を落として今日の恋が冷めてく」

『花火』

『花火』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-07-29

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted