いくらに精子ぶっかけたら半魚人産まれたったww
始まりの朝
1
細く小さい手のひらで包丁を力強く両手で握りしめて、こちらを睨むのは私の実の娘。
彼女の両腕には、細長い生きるための行為が刻まれている。
何回も何十回、いや何百回と繰り返された生きるための、生きている証を実感するための、その行為によって赤い血が床にポタポタと垂れている。
彼女は壊れたように泣きじゃなくりながら叫ぶ。
私はなんで産まれたの?
私なんか生まれなきゃ良かったッッ!
彼女を落ち着くように声を掛けたが、最早その声は彼女には届かない。
娘はもう正気ではないほど、気を取り乱している、
暴れまわり家の家具に八つ当たりを始めた。
バキバキとものの壊れた音が鳴り響く。
そして一通り当たり散らかした後。
娘は包丁をもう一度強く握り直した。
その矛先は私ではなく自分に向けて。
私なんか……私なんか
娘は震えた声で言う。
そうして包丁は振り下ろされて、部屋には刃物の鋭い音が響き渡った。
真っ赤なソースが飛び散った。
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定時の時間はとっくに過ぎている。
しかし工場の電気は燦々と煌めき、消えることはない。
俺の目の前にはある野菜が続々と流れていく。
センサーで見つけられないものを人間の目で確認し、はねていく作業。
誰でも出来る仕事だと思う。
黙々と誰も喋らずにこなしていく。
ロボットのように正確にそしてミス無く。
初めた当初は誰でも出来る仕事に、やる意味を見出せず、またすぐに転職活動をした。
しかし若い年齢で複数回の転職を繰り返した俺は転職活動をしたが正社員の仕事は応募しても数えきれないくらい落ちた。
この工場を辞めたら正社員へなる事はもう出来ない。
この丸い野菜は加工しなくては日持ちしない。
今は繁忙期で休日出勤プラス残業をこなすのか暗黙の了解になっている。
工場のベルトコンベアが止まった。
今日の仕事の終わりを告げる合図。
その音を聞いて止まった瞬間、誰よりも早く退社する。
それがマイルール。
作業着を高速で着替えて、車にすぐに乗り込む。
そしてタバコに一本火をつけて、煙を吸いながら車を運転する。
蒸気機関車のように煙を鼻から蒸す。
夜ご飯は何にしようか……。
取り合いず24時間営業のスーパーへ向かいながら思考した。
この時間帯は流石に人が少ない。
店内を徘徊し、食べ物を探す。
ポテチと焼き鳥と柿ピー、ビールをカゴにいれた。
そのままレジへ向かおうとしたら、いくらがセールで安く売ってた。
たまには贅沢するか……自分へのご褒美だ。
俺はセールのいくらもカゴに入れて会計を済ました。
そして買い物をレジ袋に詰めて、車を家に向かって走られせた。
築35年のアパート、ここがマイハウス。
給料が少ないのもあって、固定費をなるべく節約したいと思いこの家にした。
ドアを開けると建て付けが悪いのか木の軋む音がする。
家に入ると靴を乱暴に脱ぐ、そして制服を脱ぎ捨て全裸になる。
全てのストレスから解放される時、それが家にいる時だけ。
そしてビニール袋に入った、コンビニで買ったストロング系チューハイをあけてすぐに喉に流し込む。
明日のこと、未来のことはアルコールが全て忘れさせてくれる。
テレビを見ようと思って、リモコンの赤いボタンを押した。
テレビは白黒の画面が写り貞子が出てきそうな雰囲気になった。
数日前に酔っ払って壊してしまったの忘れてた。
テレビが見えない……スマホでTwitterをいじる。
画面をスクロールしていくと、裏垢女子のアカウントが出てきた。
体は透き通るように透明で、俺の本能を奮い立たせた。
アルコールを浴びるように注入しているため体がふわふわする。
これ以上飲んだら、理性が飛びそうだ。
でも今日は理性は飛ばそう。
今日ぐらいはいいだろう……。
俺は5本目のハイボールを開けて喉に流し込んだ。
そこから俺の中で理性のリミッターが外れた。
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激しい頭痛で目が覚めた。
頭を上げて周囲を見渡すと、イカ臭い臭いが部屋に充満している。
使用済みのティッシュがくしゃくしゃに丸められていた。
犯人は分かってる、俺だ。
いつもの悪い癖だ、酒に酔うと我を忘れてマスターベーションをしてしまう。
寝て起きたら、お腹が少し減ってきた。
何かあったけ。
そういえばいくらがあったことを思い出した、袋の中にいくらを探したが、いくらはどこにもない。
部屋の中を徘徊するように探した。
そしたらホワイトソースに塗れたいくらを見つけた。
見つけた時、背筋が凍った。
これは俺がやったのか?
自分でも信じられない。
酔っ払って記憶を無くしていくらに精子をぶっかけてしまった。
なんでこんなことしたのかさっぱり分からない。
無性に虚しい気持ちになった。
いくらを台所の三角コーナーの中に入れて眠りにつく事にした。
この時の俺は知らなかった。
新たな命が誕生しようとしていようとしていた事を。
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