藍色

タイトル及び内容の一部を大幅に加筆修正しました(2024年7月27日現在)。



波打ち際で起きる
たった二人の出来事に、
白々しい月の輝きなんて
要らなかったから。



寡黙な相手になって欲しい。
そう
お願いもした。
胸を弄ろうとする比喩も
吐息まじりの告白も
だから
砂に塗れて萎んでいく。



感情に乏しい顔も。
そこにあるだけの唇も、
触れれば動く素直さだったから
わたしから近づき
手の平で目を隠して、
する。
それで離れる自然さ。
願いを叶えてくれる君。
動きもしない事態。
岩肌にぶつかって散る、
飛沫が頬にかかる。



戻らなきゃ。
だって
尾びれも背びれも
着ていた服も、
御伽話よりずっと重い。



結末も見たくない。
知りたくない。
夏の死骸に、なりたくない。
震える指。冷める声
足首の先から
後退と、後悔は始まる。



藍色の覚悟。
私の勇気。
するすると脱げる体躯を、
見ないで、見ないで



ふるふるべ
ゆらゆら
どうか、おねがいだから



濡れる目で、亡んでいて。

藍色

藍色

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-07-25

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