王のさだめ
よっばっらってたかなあ
彼は全てを手に入れたい。全てを····
この世の全て、金、地位、名誉、女、財産、名声····
そうすれば少しは心が安らぐこともあるだろう。
そうすれば、この頭痛も治る。
曰(いわ)く、永遠の幸福感などは無いと言う。
万物は流転し、人は獣に、地を這う物は栄えるものに。昨日味方だった者は敵に。敵だった者は味方に。
小(ち)さき者も大いなる者に。かつて栄えた者も小人に。
彼の生涯は果てしがない。三十年だった寿命は、何百年にも延び、星の守り手は彼を恐れ、何人もの刺客を送り込んだが、それらはことごとく返り討ちにされた。
今、彼は密かに問う。己の生涯は何ぞやと。
意味、何事にも何かしらの意味があり、因果は幾重にも重なり、大きな原因となり、災害や戦争が起きる。
そういう事象を彼は見てきた。
英雄を、賢者を、魔法使いを、愚人を、権力者を······
その中で知恵を閃きと魔術と処世術を身に付け、彼は絶大な存在になった。
しかしその反面、彼は多くの影を造った。何百人もの人々を殺した。
実験を繰り返し、無駄なことを、無駄と思えず、幾多もの徒労を重ねた。
先には何があるのだろう·····
彼は未来を見る。
未来には一つの輝きがある。
かつて多くの光があり、輝きがあった。
老いた彼は輝きを見る。
彼も光は知っている。同時に闇の濃さをも
輝きは惑星を覆い、
全てを癒し、多くの人々を導くのだろう。
彼はおもう。それは早計か·····
星の運営は神が行い、
いくつもの計画がある。
この星は成長を覓めている。
「それがお前の役目か」
「······はい」
「果たしてそれはいいことなのか、この星にとってお前にとっても」
「·····」
「お前も幸せになりたいのだろう?希みはなんだ?」
「一等の輝きをお与え下さい」
「いいだろう、その代わり代償にお前の輝きを星に移す、文句はないな」
「·····はい」
「いいだろう、お前の名は?」
「アルトリア・ペンドラゴン。かつてアーサー王と云われし英霊です」
王のさだめ