zokuダチ。セッション15
※今回から、この話初の住人大集合の長編エピが始まります。
バトル有り、アホ有りのお話を暫くの間お楽しみ下さい。
エピ 55・56・57・58
集えヒーロー・1 発端編
「……雨だな……」
「雨、だねえ……」
ある日の日曜。窓の外を二人そろってアホの様に眺める
ジャミルとダウド。梅雨入り前なのに此処の処、異様に雨ばかり
降っている冴えない天気ばかりである。
「うーんっ!つまんなあーいっ!!」
「……オウっ!?」
水着と浮き輪装着姿のアイシャがジャミルの部屋にとてとて入って来た。
「……アホかお前、何て恰好してんだよっ!!んなカッコで
チョロチョロすんなっ!早く着替えて来い、しっしっ!」
「とか、何とか言ってさあ~、ホントは嬉しい癖に~……、
おスケベさんねえ~……」
「何だっ、ダウドっ!」
「何でもないですう~!」
「だってー、これじゃプール行けないじゃない、……ここんとこ
ずーっとこうなんだもん、つまんないよー!ぶうー!だからせめて、
気分だけでも味わってるのっ!」
「俺に文句言うなよ、天気に言ってくれや……」
「……あ、じゃ、アイスおごってー、ねえねえ!」
「おい、何でそうなる……」
「あ、じゃあ、折角だからオイラも波に乗ろうかな……」
「……君達、お兄さんはこれでも忙しいんだよ、じゃあな……」
逃げてその場から去ろうとしたジャミルにダウドとアイシャが
飛びついて来た。
「駄目っ!そんな事言って、どうせ又タバコ買いに行くんでしょっ!」
「……アイスう~!!」
「しつこいぞっ、お前らっ!!」
……アイシャとダウドに取りつかれたまま根性で玄関に向かうと
又誰か来ていた様であり、シフと立ち話していた。
「IRPO……?知らないねえ……」
「俺達は特殊秘密組織の者です、……決して怪しい者では……」
見た処、20歳前後ぐらいの若者であったが、青い髪の毛がツンツン逆立ち、
まるで鳥の巣の様な何となく鬱陶しい様なヘアタイルであった。
「いや、どう見たって怪しいだろ、その頭……、パイナップルの
先みてえな……」
「んだとっ!ヘアスタイルは関係ないだろうがよっ!!」
ツンツンヘアの青年は、髪型をコケにされ、かなりジャミルに対して
相当激怒している様子であった。
バキッ!
「……ったあーっ!!」
「わりィすねー、ウチのモンがご迷惑お掛けしました様で、こいつ、
一応見習いでまだ入ったばっかりなんで、新米ですんで、まあ一つ
勘弁してやって下さいねえー!」
青年は、後から来た別の青年に後頭部に踵落しを喰らったようであった。
「何すんだよっ、ヒューズっ!!」
「るせー!テメーは黙って大人しくしてろっ!!あ、それでですね、
俺たちゃ本当に怪しいモンじゃねえんですぜ、これ、名刺……」
「……Inter Region Patrol Organization これの略でIRPOなのかい、
ふ~ん、で、これが何だって……?」
名刺を覗き込んでいたシフは良く分からんといった様な
怪訝な表情を見せた。
「それにしても……、お嬢ちゃん、随分とまあ大胆だねえ、そんな恰好で、
若いっていいねえ、羨ましいねえ!!」
ヒューズと呼ばれた青年が先程からアイシャの水着格好が
気になっていたらしくアイシャをじろじろ眺めていたのであった。
「きゃ、や、やだっ!!」
「……だから言ったんだよっ、早く着替えて来いっ!!」
流石のアイシャも漸く部屋へと着替えに慌てて戻って行った。
「ははは、安心しな、俺はロリコンじゃないからさ、それよりも
本題に入ろう、俺達はある悪の組織を壊滅させる為に戦っている、
奴らはリージョンシップと呼ばれる特殊な船で移動し、今回はこの島に
逃げて来たってワケ!」
「えー!?わ、悪い奴が、この島に潜伏してるの……?」
「そうだよ、ボウヤ、組織の名前はブラッククロスだ……」
ダウドがオロオロしながらジャミルの顔を見上げた……。
「……まあ、この話に至ってはそんな大事にならねえだろ、
心配するこたあねえよ……」
「そうかも知れないけどさあ……、何で悪の組織がこんなとこ来るの?
何かこの島に重大な秘密が隠されてるとか……」
「組織の拡大の為に恐らくこの呑気な島の征服を狙ったのさ、
乗っ取るつもりだろう……、この島をな……」
「……え、えええ~?こんな変な島を……?か、変わってる……」
「フン、馬鹿な事を考える輩もいたもんだ、下らない、
まあ、いざとなったら、この性悪ボウズが何とかしてくれるさ……」
「あのさあ……」
シフがジャミルの顔を見て、笑いながら部屋に引っ込んで行った。
「オイラも部屋に戻るよ、じゃあ……、お仕事頑張って下さい……」
ダウドもそそくさと部屋に逃げて行き、……いつも通りジャミルだけが
取り残された。
「で、あんたらはそのブラック何とかを壊滅させる為に、奴らを追って
潜伏しているこの島に来たと……?」
「そう言う事、ま、暫くはこの辺りで調査してっからさ、何かあったら
すぐ俺達に連絡してくれ、これは俺のスマホでの緊急連絡先、
それから、このアホの単細胞馬鹿はレッドだ、宜しくしてやってくれ」
「……誰が単細胞馬鹿だよっ、くそっ!」
ヒューズは鳥の巣頭……、レッドを連れて一旦マンションを去って行った。
「はあ、どうしてこう、次から次へと……、……どうせ俺が
巻き込まれるんだろ、はは、ははは……」
そう言いながらジャミルも外へ出てみると、雨はすでに上がっていたが。
「キー!」
「キー!」
もう何かが始まっているらしく、何処かで見た様な……、
赤と黄色の特撮怪人が道端で暴れていたのであった。
「きゃあーー!!」
「一体何がどうなっているんですかあー!?」
こういった事態に慣れていない島の住人達は戸惑い、逃げ回る……。
しかし、まだ外に出ていないマンションの住人達は只管まだ呑気である。
「誰だよ、前回の話の最後で今日もこの島は平和ですとか言ったヤツ……」
わて、知りません。
「やっぱりこうなるか……、うーん、何とか戦えっかなあ~、
一応やってみるか……!」
ジャミルは拳を構えると怪人に向かって突っ込み、パンチをお見舞いし、
ついでにキックで蹴り飛ばした。
「キ、キーー!!」
「よっしゃ!民間人モードでもやれば結構出来るな、腕は鈍ってねーぞっ!」
「キー!よくもっ、だがしかしこの不思議空間、トワイライトゾーンに
入れば我々の力は何倍にもなるのだっ!貴様など糞と屁でもないわっ!!」
怪人達が作り出した空間に怪人達自らが入ると、力が何倍にもなり
パワーアップしてしまう。
「う、卑怯者っ……!!」
怪人達が今にもジャミルに飛び掛かろうとしたその時……。
「レイブレードっ!!」
「キーーっ!?」
……光の刃があっという間に怪人達を切り倒した。
「お前は……」
「天知る地知る我知る人知る、悪を倒せと俺を呼ぶ、
……正義の使者、アルカイザー!……ケンザンっ!!
さあ、此処は俺に任せて、早く逃げろ!」
「……???」
(ふふ、驚いているな、決まった……)
ジャミルは少々困惑した様子で、目の前に突如現れたヒーローを見上げた。
「あ、俺……、帰っていいの?んじゃ……」
ジャミルはさっさとマンションに引き返していく。
「本当に戻るんかい、……白状者……、まあいいけどさ、行くぞっ!!」
「キーー!!」
『『カイザーウイングッ!!カイザースマッシュ!!……ハアッ!
ブライトナックルッ!!』』
アルカイザーは約数分で怪人達をあっという間に叩きのめす。
「……ふう、今日の処はこれで終わりだ、……戻らないと……!」
「……」
アルカイザーはきょろきょろしながら周囲を見回し、路地裏の死角へと
入って行く。……マンションに戻ったかと思いきや、その後をジャミルが
こっそりと追う……。
「……よし、変身解除……!!終わった……」
「見ちまった……」
「は?……はううう!?」
「うーん、何となく興味あってさ、アンタの後付けてたら……、
見ちまった……」
レッドとジャミルは目線を合わせ……、レッドは大汗をダラダラ垂らした。
「本当に、本当に……?……み、見た……?嘘って言ってくれ……」
「♪だって見ちまったもんー!」
集えヒーロー・2 覚醒編
「本当に本当に?嘘だって言えよ……!!」
レッドはジャミルの肩を掴み半泣きで訴える……。
「しつこいなあ、だって見ちまったもん、しょうがねえだろ……?」
「……うわあああーーっ!!ヒーローの資格があああーーっ!!
アルカアールゥゥゥっ……!!」
ちなみに、……ヒーローの掟として、他人に正体を見破られた者は
ヒーローとしての資格が無くなり記憶も全て消去されてしまうのである。
「くそ、こうなったら……」
「は、はいい……?」
レッドはもう、この世の終わりみたい……な顔をしてジャミルに
詰め寄って来る……。
「……今此処でお前の記憶を全部無くして記憶喪失にしてやる、
……悪く思うなよ?」
「ちょ、ちょっと待て!バカ!思いつめんな!落ち着け、
落ち着けっての……!!」お前はそれでもヒーローかっ!!」
「その通りだ、レッド、落ち着きなさい」
「その声は……、アルカールっ!!」
「はいー?」
はいー連発でジャミルはまるで何処かの警視庁の特命係である。
「私はアルカール、このレッドにヒーローとしての力を授けた者だ……」
異次元空間からまたもや違うヒーローが現れたのであった。
「此処ではなんだ、違う場所で話そう……、君も来たまえ……」
「え?ええええ?ちょ、ちょっ……!!」
アルカールが指をパチンと鳴らすと……、ジャミルも全く違う空間へと
送られたのであった。
「……此処……、え?う、宇宙っ!?あわわ……!空気、空気っ!!」
「安心したまえ、此処は我々が管理しているリージョン空間の一つだ、
君でもちゃんと普通に活動出来る筈だ……」
「そう言われれば……、別になんともないな……、んで、何で俺まで
此処に呼んだんだい?」
「アルカール……」
レッドが不安そうな表情でアルカールの顔を見た。
「大丈夫だ、レッド、今回の件は見送ろう、心配しなくていい……」
「本当に……!?」
「そして、ジャミル……、どうして私が君も一緒に此処に
呼びよせたのかだが……、君にも協力して欲しいのだよ……、
君の本当の力を見込んでな……」
「……は、はいいい……?」
「知っているよ、君は元の世界では邪神を封印した8英雄の
一人だった事も……、もう一度、君のその力を覚醒し、レッドに
力を貸してやってはくれまいか……」
「……うーん……」
ジャミルは暫く考えて俯いてはいたが、顔を上げるとアルカールを見た。
「けど、今回の騒動ってそんな深刻なのかい?どう見てもそうは
思えねんだけど……」
「奴らの恐ろしさを侮ってはいけない、今回の件も……、ふざけている様に
見えるだろうが甘く見ていると大変な事になるぞ……、彼、レッドの父親の
小此木博士も……、ブラッククロスに襲撃された後、現在も行方が
分からなくなっている……」
「……俺は、俺は絶対に奴らを許さないっ……、
ブラッククロスの奴らを……絶対にブッ潰してやるっ……!!」
「分った、分った、……頼むから熱くならないでくれ……」
「……うおおおおおーーー!!」
ジャミルがレッドを宥めるが、レッドは今にもお湯が沸きそうであった……。
「でも、俺はどうすればいいんだい?今の俺じゃ……」
「大丈夫だ……」
「……お?こ、これはっ……!?」
再びアルカールが指を鳴らすと、ジャミルの格好が元のロマサガ1時代の
服装になっていたのであった。
「……俺のこの帽子、このスパッツ……!マ、マジで?っと、
ウコムの鉾もっ!!」
「これで君も、元の世界での能力と同等になった筈だ……」
「ほ、本当かよ……」
「君の仲間達の力も一緒に目覚めさせておいた、頼む、どうか
レッドと共にこの島の平和を守ってほしい……」
「う、うわ……!?」
眩しい光に包まれ、ジャミルとレッドは再び元の場所へと送り返された。
「……此処、いつもの島か……、はあ~……」
「ジャミルっ、あれを……!」
レッドが指差した方向を見ると、すでに島中が怪人で充満し、
それはそれはエライ事になっておったそうじゃ……。
「キー!」
「キー!」
「……くそっ、ブラッククロスの奴らめっ!!」
「レッド、俺、マンションの方を見てくる、アンタは通りの方、頼むっ!」
「任せろっ!!」
レッドとジャミルは二手に別れ、行動を開始する……。
その頃、マンション内でも大量の怪人が中に攻め込み、
マンションの住人は皆、部屋に閉じ込められたりで
バラバラの状態になり孤立させられていた……。
そして、ロマ1チームのアイシャとクローディア。
彼女達は解放廊下にて、突然出現した怪人集団に
追い詰められていた直後。
「なにこれええっ……!?わ、私達……、急に恰好が
昔の服装に……、しかもちゃんと武器も持ってて普通に
法術も使えるみたいなんだけど……、ど、どうなってるのおーーっ!?」
「落ち着いて、アイシャ、今はこの突然現れた敵をどうにかしないと……!」
言うなりクローディアはエリスの弓を放ち、怪人達に次々と
技を命中させていくのだった。
「すごおーい、やっぱ、クローディアって弓の名手だね!」
「アイシャ、油断しては駄目よっ!!」
「分ってるわっ!えいっ、ダイヤモンドスピアっ!!」
「……キイイイイイー!!」
力を取り戻したクローディアの弓技とアイシャの法術により、
怪人どもはバタバタと倒れて行った。
「はあ、こんなの久しぶり……、でも、私達がこの状態に
なったって事は、他の皆もそうなのかしら……?」
「そうね、……皆と合流出来るまで頑張りましょう……」
「でも、凄い事になっちゃったわ、……ジャミル、大丈夫かなあ……?」
そして、2階。自部屋に戻ろうとしたラグナの前にも怪人達が。
「……スゲエね、本当に……、オレもマシンガンの用意……、
っと、何だよ!廊下にもこいつらが大量で……先進めねーじゃ
ねっかよ!!」
「キー!」
怪人達は馬鹿にした様にすごすごと引き返していくラグナを笑った……。
「ススススス……、此方スネーク!待たせたな!有害物質排除!!」
「おっ!?」
突然ラグナの横を動いて近づいて来た謎の段ボール。
突如段ボールが外れ中からスネークがにゅっと顔を出す。
スネークは隠し持っていた手榴弾を怪人達に向かって
手当たり次第に投げ捲る。怪人達は揃って皆爆発に巻き込まれた。
「……キイイーーー!!」
「すげえね、アンタ……、いやあ~、俺も元軍人の端くれだけど……、
それにしちゃ、此処、マンションだって事、忘れてね?」
「そんな事はどうでもいい!それより、見ろあれを!奴ら
倒しても倒してもすぐに追加分が出てきやがる、何てこった……」
「おおー!何かスゲエっすねえ~!」
「おい、一緒に来い、俺達も此処を突破するぞ!」
スネークはそう言い、自身のハンドガンをラグナに手渡す。
「おっ、へへ、協同攻撃ってわけね!いいね、軍人さん同盟結びましょ!」
集えヒーロー・3 ヒロインも集合編
「ねえ、リコ……、私達……、リンクルストーンは確か黒子さんに
預けてある筈なのに……、どうして急にプリキュアになってるの?
しかも、ルビースタイルだよ……」
みらい達3人の共同部屋に突然怪人が押し寄せ、3人は大ピンチに
陥っていた。しかし、突然部屋の天井からみらい達に謎の光が降り注ぐと、
プリキュアの姿に変身していたのである。
「私だって分からないわよ!何がどうなっているのか……」
「ミラクル、マジカル、今はこの状況を打破しましょうっ!!
考えている暇はありません!」
「そうだねっ、フェリーチェ!!モフルンも、私達から離れないでねっ!」
「モフーっ!!」
「「ハアぁぁーーっ!!」」
「……キイイーーーっ!?」」
3人は怪人をトリプルパンチで吹っ飛ばすと、部屋から脱出、
廊下へと移動。魔法つかいプリキュアチーム、次々と押し寄せる怪人達相手との
バトルが始まる……。
「キイイイーーっ!!」
「きゃっ!?……う、後ろからもっ!」
「マジカルっ!!……あっ!?」
「二人とも大丈夫ですかっ!はああーーっ!!」
ミラクルとマジカルの前に次々と出現する怪人達……。フェリーチェが
率先し、キックとパンチ連打で怪人達を殴り、蹴り倒すが、倒しても
倒しても減らず……。次第にフェリーチェも追い込まれて行き、
3人は瞬く間に危機に追い込まれそうになる。
「……これではキリがありませんね……」
「モフ~……」
「やるしかないよっ!今度は私達がっ!マジカルっ!呼吸を合わせて
二人で一気に行くよっ!」
「ええ、行くわよ、ミラクルっ!」
「……が、頑張るモフー!」
「「プリキュア・ルビー・パッショナーレ!!」」
ミラクルとマジカルが手を繋ぎ、上空から炎を発射、炎は怪人達を包み込み、
浄化技で一気に止めを刺して行くが……。
「やったモフっ!?」
「……ま、またですっ!」
……しかし、別の怪人達がまた大量に何事も無かった様に目の前に現れる。
「キイ~、キイ~……」
「そ、そんなあ……」
「こんなの計算外……、!?し、しかもさっきよりいっぱい
増えてるしーっ!!モフルン、私達から絶対に何が何でも
離れないでねっ!」
「モフっ!」
「ミラクル、もう一度行くわよっ!」
「オッケー、マジカルっ!」
「私もやりますっ!」
モフルンが慌ててマジカルの肩の上に飛び乗る。ミラクルとマジカルは
呼吸を合わせ浄化技を放出しまくるが、倒せば倒すほど、怪人達は
減るどころか逆にどんどん増え続けるのである。……3人に疲れが早くも
見え始めてしまっていた……。
「何なのっ、これじゃ本当にキリがないよ!」
「ど、どうすればいいのよ……」
「ミラクル、マジカル、諦めては駄目ですっ!諦めなければ必ず
道は開ける筈! ……もしかしたら、何処かにこの大量の怪人達を
召喚している真の敵が……?そうしか考えられません、その敵さえ
見つけられればもしかしたら……」
「……そ、そっかあ、さっすがフェリーチェ!」
まほプリチームも漸く事実に気づいた模様。しかし。
「!だけど、この目の前の敵を何とかしなくちゃ、ボスを探すのも何も
出来やしないわよ! ……きゃ、きゃあーーっ!」
「……マジカルーーっ!!」
「……ああああーーっ!?」
「……マジカルーっ!ミラクルーっ!フェリーチェっ!モフーーっ!!」
怪人達は尚も増え続け、一気に3人に向けて束になり大量に襲い掛かろうとする。
「ヴィーナス・パワー!愛のクレッセント・シャワー!
ふらせていただきますっ!」
「キイイイーーーーーーー!!」
「あっ……、敵がまた消えた……」
「どうなっているの?」
「……あ、あなたはっ!?」
「はぁ~いっ!」
ミラクルととマジカルが目を見張る。突如現れ、持っていた三日月形の
パクトから月の光を浴びせ怪人達を浄化させた人物。額に浮かぶ
三日月のマーク。赤いマスクに赤いリボン、そしてセーラー服風のバトルコス。
「セーラー服美人戦士!コードネームセーラーV!おっまたせっ!」
「……だ、誰なの?」
「モフ~?」
「知ってますか……?」
「……知らないわよ」
「んマアッ!なーにその反応!アンタ達、にっぶいわねーっ!アタシは
愛と正義の美人戦士、セーラーVよッッ!」
誰がどう見ても美奈子なのだが。お約束と言う奴で、変身すれば誰だか
分からんらしい。勿論、セーラーVから見たミラクルとマジカルも。
「……美……、Vっ!そんな事している場合じゃないだろっ!」
「あモフ~、アルテミスも無事でよかったモフ、……でも、美奈子が
いないモフ」
「……へ?へ、へへへへっ!?」
お約束。アルテミスはいるのに主人は居ない。モフルンに突っ込まれ
凍り付くアルテミス。
「あら~、あたしは此処……、いったああーーっ!!」
「……ニャニャニャニャ、ニャーーッ!!」
アルテミス、口封じにセーラーVの顔を思い切り引っ掻く。
「ちょっとアルテミスっ、アンタ何すんのヨッ!!……可愛い顔に
傷跡が残ったらどうすんのっ!」
「大丈夫、ドジ美奈子は安全な所にこのセーラーVがもう避難させたよ、
僕らは正義の為に戦っているんだ、V、ちゃんと自己紹介をして……」
「もうっ、そう言う訳よ、……ドジは余計っ!このマンションの
危機を救えって今回は本部から指令を受けたの、ま、そう言う事で、
一つ宜しく頼むわ!あなた達も正義の戦士?なら、此処は一致団結、
一緒に戦いましょ!」
「は、はあ……、けど、ドジって、何で美奈子ちゃんの事言って、Vさんが
怒るんだろう……」
「……知るわけないわ……」
セーラーVはミラクル達に握手を求める。……彼女は果たして心強い
味方になってくれるのか。しかし、先程のアルテミスとのやり取りを
見ていれば少々不安が残る3人。……何せ中身はあのドジ美奈子で
あるからして。本部から指令を受けたというのは真っ赤なウソである。
彼女も黒子に変身ペンを預けてある。しかし、この島の危機と同時に
突然セーラーVに変身していたんである。
「アルテミスも正義の戦士のサポートさんのお仕事をしてたモフ!」
「何か上手く説明出来ないまま、は、話がどんどん拡大する……、
困ったな……」
「えーえー、どんどん対応に困れ困れっ!アタシの顔を引っ掻いた罰ヨッ!」
「Vーーっ!……てか、モフルン、君も……、いつも一緒にいるみらいとリコ、
それにはーちゃんはどうしたんだい?」
「モフーーっ!?」
「あのあの、えっと……」
今度はアルテミスの突っ込み返し。……中身はみらいである
ミラクルは困り出す。
「……大丈夫です、みらいさん、リコさん、それにことはさんは私達、
プリキュア達が安全な場所へと避難させました……」
そうそう、と、ミラクルとマジカルが頷く。……少々顔に冷や汗を
掻きながら。
「ふう~ん、なら何で、モフルンも一緒に避難しなかったのよ?」
「モフっ!!」
更に話を拡大し、ややこしくしようとするセーラーVの突っ込み。
だが、其処に助け舟が。
「……あ、あっ、あれをっ!」
慌ててフェリーチェが廊下の向こうを指さす。セーラーVが現れ、
わたわたしている間に、又新たな怪人が召喚されてしまったらしい。
「もうっ、こうなったらとことんやるっきゃないよっ!マジカル、
フェリーチェ、もう一度気合い入れるよっ!それから……、セーラー
Vだっけ?力を合わせて正面突破だよっ!そして、怪人達をマンションに
送り込んでる真の敵を探し出して叩こうっ!マンションの皆も
助けなくちゃ!」
「勿論よっ!」
「生きましょう!」
「おまかせオッケー!……でも……」
「……?あの、セーラーV……?」
「ど、どうしたのよ……」
セーラーV、両手を胸の前で組んで、キョロキョロとアタリを見回す……。
「グレイさんはドコ……?アタシのグレイさん、……ご無事なのかしら……」
「……Vーーっ!あ、こ、これはどうも、あはは、……き、君は
もう少し真面目にやれーーっ!!」
突然、何故かグレイの心配をし出すVに、ミラクル達は目が点に……。
Vはアルテミスにハリセンで頭を引っぱたかれた。
「な~んか、この光景って、前にもどっかで見た様な気がする……」
「……気の所為よ、そう言う事にしときましょ……」
「セーラーVさんも、何だか個性的な力を感じます……」
「モフ~?」
変身してようが普段とお構いなしに、中身はやはりミーハー美奈子。
その光景をぼーっと眺めているミラクル達。そして怪人達も……。
「……キイイ~?」
「キイイ~……」
バトルを中断。Vとアルテミスの突っ込みバトルを遠巻きに
眺めていたのであった……。
集えヒーロー・4 ヒロイン達の戦い
「モフっ!!怖いのがまたいっぱい出て来たモフーっ!!」
「キュアー・アップ!プリキュア・エメラルド・リンカネーション!」
「……キイイイーーっ!!」
「……どんどんいっくわよォーーっ!!」
ミラクル達、まほプリ組とセーラーVは力を併せ、廊下で共に
必死に戦っていた。しかし、押し寄せて来る怪人集団に苦戦し、
中々先に進む事が出来ず。フェリーチェも個人技を使い、
怪人軍団を次々と浄化していくが、倒しても倒しても敵は湯水の様に
噴出するのだった……。
「ハア、何だか先が見えないよ……」
「諦めちゃ駄目よ、ミラクル!何としても此処を突破してマンションの皆を
助けなくちゃ!」
「分ってるっ、マジカルっ!弱音吐いちゃ駄目だよね!
……はあああーーっ!!」
ミラクル、拳とキックで怪人達をなぎ倒していく。
「一気に行くわよっ!ミラクルっ!!」
「うんっ、行こう、マジカルっ!!」
『『プリキュア・ルビー・パッショナーレ!!』』
ミラクルとマジカルはもう一度呼吸併せ、パワー全開合体技でほぼ、
廊下に詰まっていた怪人達を漸く全員浄化し終えるのであったが……。
「はあ、それにしても、マンションの中で戦うって……、何だか変な
気分だねえ~」
「ミラクル、怪人達はすぐに又現れるわ、今はこの隙に一気にこの廊下を
駆け抜けるわよっ!モフルンも急いで!フェリーチェもVも!さあ!」
「マジカル、わ、分かってるよう~……」
「モフー!」
「行きましょう!」
ミラクル達3人とモフルンは急いで廊下を走ろうとした。その時。
「……ギャーー!!あなた、あなたーーっ!!」
「あれは……、上の階の野原さんのお部屋の方からですっ!」
「何かあったんだよ、行こうっ!!」
「急がなくちゃっ!」
「……キイイーーっ!!」
「ま、又よっ!しつこいわねっ!」
「……っ!」
「モフ~……」
野原家が滞在している2階から悲鳴が聞こえ、急いで救出へと
向かおうとする一行だが、再び怪人達が現れ妨害を始める。
歯がみするそんなミラクル達を見て、セーラーVが……。
「大丈夫、此処はアタシがっ!皆は急いで2階へ!」
「……セーラーVっ!」
「早くしなさいヨっ!大変な事になっちゃうでしょ、
アタシは大丈夫だからっ!さあ、行ってっ!」
「ありがとう、必ず又戻ってくるからね!」
「でも、あなたも無茶しちゃ駄目よっ!」
「分かってるから、成竹早くしてヨっ!」
「……有り難うございます、セーラーV!」
ミラクル、マジカル、フェリーチェの3人とモフルンは、この場所の
バトルをセーラーVに託し、悲鳴が聞こえた野原ファミリーの部屋の方へ
急いで向かう。そして、こむぎ達4人も、怪人軍団に襲われ、部屋の中に
閉じ込められ追い詰められていた。しかし、しっかりプリキュアには変身している。
「わんわん!こむぎ、いつのまにかワンダフルになってるーっ!すごーいっ!」
「ホント、どうなっちゃってるのかなあ~?わわわ、此処に来る前に、
こむぎとユキちゃんだけ、人間変身用に黒子さんからパクトは渡して
貰ってあるけど……、私達のは……」
こむぎ、いろは、まゆ、ユキ、彼女達も新生プリキュア、わんだふる
ぷりきゅあチームである。しかし、動物たちを愛し、傷つける為でなく、
愛しい命を守る為に戦っている彼女達は暴力を震わず、抱擁と浄化技で
怪物にされた動物達を助けるプリキュアなんである。だが、平和なこの島に
必要ないと言う事で、いろはとまゆの変身パクトだけは、黒子が現在は
預かっている筈だった……。
「こ、こわくない、……こわくない!」
「何がどうなってるのよ、……リリアン、絶対私の側から離れないで!」
「……キイーーっ!!」
迫ってくる怪人達から、大切なパートナーのまゆ、リリアンを庇う、ユキ、
……ニャミー。
「悟君、大福ちゃんも……、大丈夫かなあ……?どうか無事でいてねっ!
絶対助けに行くからねっ!待っててねっ!」
「ああ、フレンディ、兎山君達の事、心配してる……、何だかキュンキュン、
これって、これって……、き、きっと……、兎山君も……、離れていても、
心は一つなんだよね……、きゃああ~♡」
「……リリアン……」
突然、若き乙女を応援し出すリリアン。彼女はこう言う恋愛沙汰に
興味がある様であり、時偶お節介おばちゃんモードと化す時がある……。
呆れた様に相方を横目で見るニャミーさん……。
「ンモーっ!みんななかよく、キイキイしちゃだめだよーっ!」
「ワンダフル、気を付けて!あれはガルガルとは違うんだよっ!」
こむぎ……、ワンダフルに向かって、いろは……、フレンディが叫ぶが、
わんぷりチームの前に現れた怪人達、明らかに動物では無い。心を持たない
凶悪な異色の敵……。彼女達にとって、初めての部類の敵となりそうだったが……。
「みんな、取りあえず、何とかこの部屋から脱出しよう、この数……、
この敵……、私達じゃ無理だよ……」
「わんわんっ!」
「仕方無いわね……」
「……」
怪人達を見つめる、フレンディ、ニャミー、リリアン……。暴力を使わない
彼女達にこの敵は無理である。今はどうにかこの部屋を脱出する事が先決、
そう思ったのだった。しかし、ワンダフルが暴走モードに入る……。
「だいじょうぶっ!キイキイもガルガルとおんなじだよっ!ちゃんと
おはなししたらきっとわかってくれるっ!……おーいっ!」
「……ワンダフルっ!!」
「ああっ!危ないっ!!」
「何やってるのっ、あの子っ!!」
「キイキイしないでいっしょにあそぼーーっ!!」
「……キイーーっ!!」
「きゃわあーーんっ!!」
怪人達に突っ込みそうになるワンダフル……。しかし、怪人がワンダフルの
言葉など聞く筈が無く、ワンダフルはあっさりとパンチで吹っ飛ばされた。
そんな彼女を救い、助け興し、庇う様に、何者かが怪人達の前に立ちはだかる……。
「……どっせええーーいいっ!!」
怪人達を蹴り倒した人物、先程、ミラクル達を逃がし、戦っていた、
又物セーラーVである……。
「此処は危険よっ、早く外に出るのよっ!」
「あの、あなたは……?」
フレンディが訪ねると、セーラーVは、いいからっ!と、言う様に、
どうやら穴を開けたらしい、こむぎといろはの部屋のドアの方を
必死で指さす……。
「……きゃーーっ!私達のお部屋のドアがーっ!!」
「わふうーーんっ!?」
「あら、あら……」
「た、大変っ……!」
「……んなモン、後で管理人……、ジャミ公に請求してよネッ!って、
ここって、アンタ達の部屋じゃないでしょっ、んで、アンタ達は誰っ!?
何で部屋の主のいろはちゃん達はいないワケ!?……どこもかしこもッ!」
「えと、えと、それは……、えっとおお……」
「こむぎはねえ、ワンダフ、……むぐっ!」
突っ込みVに困るフレンディはうっかり喋りそうになるワンダフルの
口を慌てて塞ぐ。
「早くとか言っといて、話をややこしくしてるじゃないの、
あの変なマスクの人……」
と、ぼやくニャミー。其所へアルテミスも出現。Vの頭をハリセンで
叩いた後、とにかく早く部屋から逃げる様に皆を説得。
「皆、今はこの、セーラーVの後に続いて逃げて!詳しい説明は落ち着いたら
するからっ!とにかく安全な場所へっ!」
「……いったいわネエーーっ!!」
「分かったっ、行こう、みんな!」
フレンディの言葉に頷くニャミーとリリアン。ただ、ワンダフルだけは……。
Vに蹴られ、倒れてのびている怪人の一人を見て、複雑そうな表情をしていた……。
「……キイキイ……」
「ワンダフル、行くよっ!……ワンダフル?」
「フレンディ、……キイキイ、わたしのおはなし……、どうして
きいてくれなかったのかな?キイキイ、すごくおこってた……」
「ワンダフル、……それは……」
ワンダフルに話し掛けようとするフレンディだが、其所にニャミーが
厳しい言葉を投げ掛けるのだった。
「……この世界では、話し合いだけでは解決出来ない……、厳しい現実も
あるって言う事なのよ……、ガルガルにされた動物達だけではない、
色んな相手がいるの、……人間達同士の悲しい争いだってあるわ……」
「わふん……」
「ワンダフル、とにかく外へ行こう……、ね?」
「うん……」
「ンモーーっ!アンタら早くしてって言ってるでしょっ!」
「このおばさんを怒らせない方がいいっ!……早くーーっ!!」
「アルテミスーーっ!うっさいっ!誰がおばさんじゃいーーっ!!」
漫才を始める、セーラーVとアルテミスを眺めつつ、わんぷりチームも
何とか部屋の外へと。廊下では兎山悟と大福が無事な姿を見せた。
此方もどうやらセーラーVに救出されたらしく。
「……あっ、犬飼さ……、フレンディ、みんな!無事で良かったよ!」
「……」
こくりと静かに、悟に抱かれた大福も頷いた。
「悟君っ、大福ちゃんっ!本当、良かったねえーーっ!!」
「な、何だか感動の再会だよね、これって……、ハートがキュンキュン♡
ああっ♡」
「……悟のお部屋は私達の直ぐ隣でしょ……」
フレンディと悟達との感動再会の相方の実況中継に突っ込みを入れたい
ニャミーさん……。そんな彼女達の横で、いつも元気なワンダフルは一人……。
「……わん?……きゃわんっ!?フレンディ、みんな、たいへんっ!」
「ん?ワンダフル、……こ、今度はどうし……」
ワンダフルの言葉に、フレンディが廊下の方を見……、その後、
ガクブルしながらリリアンとニャミーの方を見た。その表情は
恐ろしい事実に気づいてしまったらしく、恐怖で引き攣っていた……。
「あの……、キイキイさんはいなくなったけど、今度は……、
何だか廊下が……、凄く広くなってる……、まるで迷路みたいに……」
「「ええええええーーーーーっ!?」」
リリアン、ニャミー、悟も廊下の方を見る。悟は眼鏡がずり落ちた……。
「……ろうかの先がぜんぜん見えないよーーっ!これってどうなってる
わんーーっ!?」
zokuダチ。セッション15