みんな不幸になってもいいんだ
みんなが幸せになればいい、せめて不幸がもうすこし減ればいいと希うのに自分だけは不幸の底に佇みたがってるのは、ぼくがぼくだけを大切に想っているからなんだね、そんならぼくはきみの不幸だって大切にしたげるよ、みんながみんなの不幸を不幸として大切にしてもいい権利をぼくは守りたいんだ、だなんてどこまでも自己陶酔的な叫びは已まない雨があるからひとが生きるということは尊いんだとふたたびキレイゴトを吐く、うんざり、うんざりうんざり、「俺はキレイゴトはいわない」なんて自己を美化するひとがきらいだ、それがいっちばんキレイゴトなんだから、キレイなものだってあるからこの世界は現実としてあるのであって、暗い、暗いね、でも時々朝陽照りかえすように世界がまっさらにみえるよ、たしかにきみの不幸は美化できるものじゃないよ、正直かっこわるいし不気味、だからきみはその歪で悪趣味な衣装を衒ってはいけないし、保守的な服装に毒づくのだってぼくは嫌だ、でもきみはきみのそれを大切にして だから愛してって百回いってる
ぼく等は雨の日をきらうけれども、
農家は雨の日俟ちのぞむ、
いったい だれがそれをおかしいと裁く権利もつ?
ぼくには不幸に佇めることが幸福なんだ──なあんてね、悪趣味ってキレイだよ、ぼくにとってはね
みんな不幸になってもいいんだ