虚蝉が僕を呼ぶ夏の日

猛烈に夜が戀しい。歌が気持ちいい。
夜風が僕を産んだ夜のこと、またたびを持った猫が言うの、三又の、優しい狐の目で、嘘をつくの。もう要らないからね、あたたかさも、喜びも、だけど欲しいな、優しさだけは。美しさだけは、あなたの事だけは。愛しているから、哀しみなんだ、ずっと。もうしないと誓った恋から美しさが滲み出て、僕の青春を奪うんだ。なぜ、どうして慈しめないの、またたびを持った猫が言う、消えたやつの事なんかもう言わなくていいよ、勿体無いあなたの心が、時間が、嘘になる前に。虚蝉になって、益々消える。麗しい時間。
まだ相対して、心の余裕。心の気配。まだ見ぬ景色が僕を呼んでる、夏が呼んでる、まだ来ないでと。まだ見ないで、と見据えないで、と。
悲しみのままに、喜びのままに、あなたにだけ会えればうん。ただそれだけで良かったのに。虚蝉が呼んでる、僕を呼んでるんだ。夏の向こう側へ行かなければ、様子が可笑しい蝉のように。

人はなぜ人を殺すの

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 冒険
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-07-19

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