『特別な人』

貴方を想っていた日々が
どんどん遠ざかる


『特別な人』


飲み会帰り
衝動的にかけた電話に
「酔ってるのか」と
余りに冷静な声

あの夏の教室で
ずっと見続けた背中みたく
アタシを拒んで
アタシを許す

浮ついているの
貴方が欲しいけど
これは恋とかじゃないかも
それより何だかもっと
近しくて甘くない気持ち

明日言おうと
思い続けて3年
もう言っていいかと
思い続けて5年

結局アタシたちの道は
違ってしまう運命で
それは予め分かってたこと
だからそんなに冷たいのね

アタシだけが勘違いして
貴方の視線や
密かに渡されたメモ書きに
有り得ない未来を期待して

期待させた癖にね
アタシでさえ知らない
アタシを見つけて
愛玩する振りなんて酷い

後ろ手で閉めた鍵に
違う意味を探して
そんな自分に苦笑して
でも確かに希望があった


「初恋なんてこんなもの」

『特別な人』

『特別な人』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-07-16

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