『真っ白』
硝子ケースに入れられて
飾られるだけじゃ寂しいわ
『真っ白』
バスの窓から見れば
なんて忙しなく
なんて温度差
胸の奥がすうっと
冷たくなるような
あれは本物だった
揺るぎなく
カメラ目線で笑うのも
今更感があって
強張る表情の裏に
軽蔑を乗せて
誰かの目に映るなら
それは美しくなければ
美しくて鮮烈であれと
よく聞くのだから
でもアタシって
悲しいくらい何も無い
透明な硝子ケースに飾られた
ただ真っ白な女
心の内に秘めたものを
もし口にしたならば
人は誰でも驚くでしょう
その驚く顔が死ぬほど嫌い
「規格内で生きるのはお終い」
『真っ白』