『殺され志願』

とっておきの顔で
ほら、言ってみて


『殺され志願』


そういう場面での
台詞はもう決めてるの
脱いで脱がされて
辿る末路は同じだから

アタシが望むこと
全て叶えてくれるんでしょ
だったら早くして
有り得ない未来なんか要らない

運命的だったんだ
絶対に運命だから
愛されるなんて
思ってないから安心して

アタシなんかね
本当にちっぽけで
だからこそ君も
手を差し伸べたくなったんでしょ

誰にも内緒よ
運命共同体の二人なんだから
本当に命を懸けなきゃ

慣れない腰使いも
今では何となく馴染んで
リズムを刻む度に
胸の何処かが軋む

最後までアタシを見て
その綺麗な目で
アタシを犯して

誰にも渡さないとか
分かりきった嘘を
そのかわいい唇で言って

他の誰かにされるくらいなら
もう君に殺されてもいいと
言いながら君を
殺す算段をするアタシを
許すような許さないような


「曖昧さで支配してください」

『殺され志願』

『殺され志願』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • サスペンス
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-07-01

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