『梅雨』
嫌な季節だなんて
本当は嘘だよ
『梅雨』
雨が降ると君は部屋に閉じこもる
アタシは君の横顔を眺めながら一息
頬にかかる髪が愛しい
キーボードを打つ指が愛しい
不意にアタシの名を呼ぶ声が愛しい
もっと降ればいい
もっともっと降って
アタシと君をここに繋ぎ止めて
アタシに君を専有させて
我が儘な季節だと君が言う
そうでしょう
だってアタシが望む季節なのだから
とても我が儘で自分勝手な季節
だけどそれを可愛いと言って
どうせ君さえそう言ってくれれば
アタシは満足なんだから
そんな程度で満足できちゃうんだから
「今だけでもアタシだけの人」
『梅雨』