新しき隣人に/新作短歌

身重の若き妻は自転車を降りて、片言の日本語でかく語れり。

スミマセン 振り向けば身重の女性の困り顔
  片言の日本語聞き入る初夏の昼時

これも縁 捨て置かれずに寄り添いて
  国を問いたれば べトナムからと


早朝さみだれの音を聞きながら あの人のことを想った
  僕の心の中では まだあの頃のままの あの人のことを


ゴミ出しのルールを教え 近所の人への紹介を済ませれば
  アリガトウゴザイマス いえどういたしまして

故国のお菓子や食べ物を頂き こちらもお返し
  ご家族が早く この町の暮らしになれますように

グローバル 世界中が身近に一つになりつつある時代
  心も暮らしも 否応なしに変わってゆく

同じ家族 同じ人間同士 争わずに仲良く暮らしたいもの
  異国の家族を目の前にして そう思った


同窓会のリストを見て あの人に電話しようかな
  この番号を押せば あの人の声が聴けるのに


☆ 昨日からの曇り空、今朝の窓を打つ雨の音。
  大阪も梅雨に入ったみたい。皆さんのお宅はいかがですか?
  (いずみ)
   
  

 

新しき隣人に/新作短歌

新しき隣人に/新作短歌

  • 小説
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-06-13

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