コンタミ

プロローグ

「それにしても皆久しぶりだな」
「ほんとだね!!!」
こんな他愛もない話さえも頭に入ってこない。
「泉?どうしたの??」
私を気遣って親友の美紗が私の顔を覗き込む
「えっ?」
「せっかく久しぶりに科学部のOB、OGで久しぶりに集まれたのに浮かない顔してる」
「あっ、ちょっとぼーっとしてただけだよ」
「それにしても皆変わったなぁ」
鈴木がしみじみと懐かしむように話し出す。
「特に泉は男っぽさが抜けた感じだ」
「それどういう意味?」
私が冗談交じりでにらめつけると鈴木は
「いやいやっ、今のはだいぶ褒めたと思うんだが(汗)」
と焦りながら懸命に釈明する鈴木
和やかに始まった同窓会はよく見ると、久しぶりに見る懐かしいメンバーが募ってた
「皆もう就活とかはじめてるの?」
「はじめてるのってか、今の時期にはじめてない奴いないだろ」
「そうなの!?」
「あっ、そっか!!美紗は卒業してすぐケン太先輩に継いだんだっけ??」
「そうだよ~、ケンちゃんの家は代々続く旅館の家の長男だから、私今は旅館の若女将よ」
「似合わねぇ~なぁ(笑)」
「桜井の馬鹿!!」
久しぶりの再会に皆が談話に花を咲かせている
でも、私はそれどころではなかった
「やっぱり今日の泉変。どうしたの?」
「なんでもないって…」
「今日あの人来ないよ。」
「えっ…」
私たちの会話を遮るように入ってきた寺門の言葉に私はショックを隠せなかった
「やっぱり先生の事待ってたのか…」
「泉、まさかまだ先生の事好きなの!?」
「うっ、うん」
「うそ!?…もしかして、卒業してから彼氏作らずに片思いしてたの???」
「…」
「信じらんない!!じゃあ、あんたまだ処女…ウグッ」
「いっ、言わんでいい(汗)」
即座に美紗の口を塞いだが時既に遅し、皆が私に注目している。
「泉先輩って富山先生の事好きだったんですか」
「瑞希ちゃん知らないんだっけ??こいつ、三年間ずぅ~っと片思いしてたよ」
「そうだったんですか。全然気付かなっかたです。」
「男勝りなのに、そういうところは乙女なのよ。」
「もう、やめてよ~」
「よし!!泉、今度合コンに行くわよ!!」
「なんでよ(汗)」
「その年で彼氏いたことないって重症よ!!私があんた好みの人を選んでくるから。」
「合コンって美紗、あんた旦那さんいるのに…」
「私の親友の危機だもん。ケンちゃんなら許してくれるわよ」
「いやいや、ダメだからね。フツーに考えてアタシの処女問題より、美紗の発言の方が問題発言だからね!!!」
「男子の前で処女を連発するな...さっきの訂正、やっぱりお前ら変わらねぇや」
「余裕ぶっこいてんなよ、ドーテー君♪」
「馬鹿が!!俺は本気で愛した女にしか初めてを捧げないピュアボーイなんだよ」
「お前は女か、女々しすぎる!!もしかして将来の夢はお嫁さんか???」
「なんでケン太先輩はこんなマウンテンゴリラみたいな奴を結婚相手にしたんだ?」
「マウンテンゴリラはマウンテンゴリラのテクがあるのよ」
「どんなテクだよ!!」
「もぉー、ケンカしないの。美沙は飲みすぎだよ」
「まだまだ飲むもん☆」
そんな時だった。
「おい、お前ら!!!!」
その聞き覚えのある声に私は耳を疑った。
「ったく、仕事早めに切り上げて来てみたら…、拓哉(鈴木)と美紗は相変わらずだな」
「すいませーん」
高校時代に何度も聞いた二人の息の合った謝罪に私以外のみんなが笑っている。
「先生…、来ないんじゃなかったの??」
「ん?ああ、俺も来れないと思ってたんだが、今日の職員会議が予想以上に早く終わったから間に合ったよ。」
「本当にラッキーだったよ。」
変わらないその笑顔を見ただけで胸がぎゅうっと締め付けられる。
その屈託のない笑顔を見た瞬間、ふとあの時に戻った気がした...
決して戻る頃はできないあの時間に。

運命論。

私たちの通っていた学校は特に部活動に力をいれており、特別進学クラス以外は強制的にどこかしらに入部しなければならなかった。
そもそも、私が科学部を選んだ理由は一つ、部活動体験で顧問がゆるそうだったからだ。
科学なんて興味もなかったし、むしろ中学から理科はあまり得意なタイプではなかった。
科学部には陰キャラがいるイメージを持ち合わせていたけど、部活に入ってみると陰キャラとは逆のキャラの濃い面々が集まった。
ここでは、みんなの自己紹介から始めて行く。

コンタミ

コンタミ

誰もが一度はあるであろう、先生への憧れ... 主人公の長年込めた思いが過去の思い出と共に溢れ出す。 けど、そんなにしっとりとはせず、部員たちの会話も含めて楽しんでいただけると幸いです!!

  • 小説
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2013-01-19

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