zokuダチ。セッション3

今回は魔法つかいプリキュアから、花海ことは、ロマサガ3から、サラと少年が
新規住人として参戦します。

エピ 8・9・10・11

こんにちは、はーちゃんです。

此処に越してきて数日。少しは住人も増えて来た様であった。
……最近、毎朝謎の目つきの悪いカラスが窓ガラスからジャミルの
部屋を覗き込んでは一言、
 
『バカーー!!』
 
……、と、発し逃走していくのである。ジャミルは市役所に有害駆除を
頼もうと思ったが、ダウドの話によると、あれはMあっちいKスタジオから
飛んで来ているとの事なので、仕方なしに止めておいた。冗談はさておき……。
 
「こんにちはーっ!」
 
カラスに起こされ、不機嫌な顔のジャミルの部屋のドアを軽くトントンと
ノックする音がした。
 
「ハア、……今度は誰だっ!?」
 
「はーっ!」
 
「!?」
 
ジャミルがドアを開けると……、髪の色が、薄ピンク色カラーの
まるで天使の様な可愛い女の子が手を後ろに組んで立っていた。
 
「初めまして、こんにちは!私、はーちゃんこと、花海ことはです!
宜しくね!」
 
「は、はあ……?」
 
女の子は首を少し曲げ、ジャミルに向かってにこっと微笑む。
 
「私も今日から此処に住むの!んーとね、私、お空をホウキで
お散歩してたら迷子になっちゃって……、それでね、
気がついたら此処にいて……、それでね、それでね……!」
 
はーちゃん事、ことはは、ぴょんぴょん飛び跳ね、ジャミルに近づいてくる。
 
「ねえねえ、お兄さん、お名前教えてーっ、んと、んと……、
それで、みらいとリコと、モフルンを知りませんか?私の大切な
お友達ではぐれちゃって、探してるの!」
 
「い、いや……、知ら……」
 
……俺が知ってるワケねえだろうがとジャミルは思う。
 
「そう……、でも、きっと又会えるよねーっ、じゃあ、お兄さんまたねーっ、
♪はーっ!」
 
「……」
 
はーちゃんはルンルンで、他の部屋にも挨拶回りに行った様子であった。
 
「ホウキで空を散歩してた……?マジで……?」
 
 
「……今朝、又違う住人が入ったみたいだったね、……オイラの
部屋にもご挨拶に来たけど……、今回はアタリだよねっ!すっごく
可愛い女の子だったよねーっ!」
 
ダウドは興奮して口に銜えていたポッキーを落した。
 
「……はあ、幾ら可愛いったってな、俺はアイシャが来なきゃ……」
 
「おっ、無理しちゃって、純情青年ぶるなよう!本当は嬉しい癖にー!
このスケベ!」
 
「……いって!」
 
ダウドは笑いながらジャミルの後頭部をポカリと殴った。
 
「ダウドっ!お前なああー!!」
 
「はーっ、こんにちはーっ!」
 
と、再び、はーちゃんがジャミルの部屋に現れた……。
 
「あ、……よ、よう……」
 
「あはっ、こんにちはー!」
 
ダウドが喜んで、えへえへ、身を乗り出す。
 
「んとね、んとね、私、皆さんのお部屋にもご挨拶に行ったの!
それでね、それでね、バーバラのお姉さんにお兄さん達のお名前も
ちゃんと教えて貰ったよーっ、はーっ!」
 
「そ、そうか……」
 
「えーっと、えーっと、……ジャミルと、……ダウト!」
 
「……プ……」
 
「ダウトって……、何かトランプのゲームみたいな……、オイラは
ダウドですよお、間違えないでね……、あはは……」
 
「はーっ!」

「……」
 
「それでね、それでね、バーバラのお姉さんにね、ジャミルの事も
教えて貰ったのー!えっとお、……ジャミルは、女の人の格好を
するのが大好きで趣味なんだって聞いたのー!!すごーい!今度、
私にも見せてねー!」
 
「!!!」
 
「……プ、プププ……」
 
ダウドも負けずに含み笑いし返した。
 
「……あんの、年増オババめえ……、くっしょーっ!……があああーっ!!」
 
ジャミルは物凄い勢いでバーバラの部屋まで猛ダッシュで走って行った。
 
「……バーバラがいる限り、……ジャミルは多分、今後も
おもちゃにされるんだろうな、あはは……」
 
「はー?」


あの子が来た

ジャミルが此処に来て、もうン日目、……ジャミルのアイシャ
会いたいよう病はますます加速してきた様であった……。
 
〔こんばんわ、20ン○年、3月ピー日のmiiニュースを
お伝えします、……本日、〇〇島で一番のめんどくさがりを
決める選手権が行われました、優勝したのは決めるのも
めんどくさいと言った、ジャミルさん……〕
 
「……やかましいわ、うるせーっつんだよ、この野郎!」
 
ねっ転がっていたジャミルは急に起き上がり、TVをげしげし
蹴とばした……。
 
〔あわわ!TV蹴ったらダメやがなー!〕
 
ちなみに、今日のキャスターは近藤君であったらしい。
 
「ジャミルーっ、早く行こうよおーっ!」
 
「んだよ、……ダウド、今日何かあったっけ?」
 
「島の人口10人を達成して、今日、ホテルでお祝いの
パーティやるんだって!」
 
「パーティか……、美味いもん食えるのかな……」
 
「うん、だから、早く行こうってば!」
 
「けど、10人もいたか……?えーっと、俺とダウドと……、
クローディア、グレイに、シフ、アル、……カッパにトカゲに
年増オバア……、ゴマ塩坊主頭、鼻黒、歯掛け、猿……、
それから、ことは……?」
 
「ありゃ、人数14人いっちゃってるね、もう!」
 
「……アイシャ、アイシャ……、何でアイシャがいねーかなあ……、
ブツブツ……」
 
「今度はきっと来るからー!だから、大丈夫だよお!早くホテル
行こうー!」
 
「……何度、次は来るからの言葉を聞いたことか……」
 
ダウドはブツクサ言うジャミルをズルズル引っ張って行く……。
 
「あららー?ドナルドの事、忘れてない?酷いなあー、もうっ!
ドナルドを入れたら、合計15人だよっ!あはは!」
 
ピエロは軽快なスキップでジャミル達の後を追い、ホテルへと走って行った。
 
 
ホテルへ行くと、いつもの顔ぶれ、……だが約2名程、……顔を出していない
捻くれた住人がいる様であった。
 
「よう、クローディア!」
 
「こんちは!」
 
「あ、ジャミル、ダウド……、こんにちは……」
 
「ん?あんたの護衛、姿が見えねえけど……」
 
「グレイ……、彼も誘ったのだけれど……、どうしても俺には合わん
場所だって言って……」
 
「ありゃ、護衛ほっぽりだしちゃって、しょうがないなあ、もう!」
 
「仕方がないわ、グレイもお休みしたい時があるのだもの、
……それより今日は二人とも宜しくね……」
 
クローディアは二人の表情を見ると、清楚に優しく微笑む。
 
 
「で、イガラシの奴は顔出さないんスか?」
 
「うん、……声だけは掛けたけど……、頼むからどうしても
勘弁して下さいって……」
 
「谷口さんが誘っても顔出さないなんざ、なんつー奴だっ!」
 
「しょうがないさ、元々、一匹狼的だからね、イガラシは……」
 
 
「あははー、御馳走、御馳走やー!!」
 
「はーっ!美味しそうなお菓子もいっぱい!すごーい!!」
 
 
「……近藤っ、テメー、飯を目の前に豚みてえに燥ぐなっ!!」
 
「あたっ!!」
 
丸井は近藤だけを狙い、思い切り蹴飛ばすのであった……。
 
「丸井っ!よせったら!!」
 
「すいませーん、谷口さん、この足が勝手に動いちゃったんスよ……」
 
「ふう……」
 
 
「ん、……バーバラ、もうちょっと、側に寄れよ……」
 
「……駄目よ、ホーク、あんたもう酔ってるね……?お子ちゃま達だって
いるんだから……、お楽しみは又今夜だよ……」
 
「……たく、キャプテンも、姉さんも、あの二人は真昼間から……、
しょうがないぎゃ……」
 
 
「ほれ、坊や、これも、あれも、それもっ!食え食え、ぜーんぶ食いなっ!」
 
シフはありったけのご馳走をアルベルトの皿に山盛りに乗せ捲る……。
 
「シフ、幾ら何でも……、僕、こんなに食べられないよ……」
 
「何言ってんだい!食って体力つける事も修行の一つだよっ、
よーし、もっと盛ってやるっ!!皿貸しな!!」
 
「シ、シフう~……、許してええ~……」
 
 
「あーあ、いいね、皆仲良くってさ……、♪おいらのお~……、愛しの
あの子はあ~……、まだ来ないーっ……と……」
 
「……ジャミル、急に変な歌うたいだしたけど……、大丈夫かなあ……」
 
 
「きゃーっ、遅れちゃったーっ、大丈夫かな、パーティ間に合うかなあ……!!」
 
「あの声は……」
 
ホテルのパーティ会場に現れたのは……、赤毛のあの子……、
であった……。
 
「みんなー!こんにちはー!やっと私も此処に来れたよーっ!
アイシャです!初めての人もこんにちは!今日からどうぞ
宜しくねー!!これからお世話になりますっ!!」
 
アイシャは会場にいる皆に向かってちょこんと頭を下げ、お辞儀をした。
 
「あう、あうう……」
 
「ジャミル、……ホラ……」
 
ダウドが肘でジャミルの脇を突く。
 
「あ……、あいひゃーーっ……!!」
 
「……ジャミル……?きゃ、きゃーっ!?」
 
しかし、……興奮してアイシャに飛びつこうとしたジャミルを……、
ホークが抑えたのであった……。
 
「たく、発情期の犬じゃねえんだから……、場所を弁えろっつんだよ!」
 
「は、はなせえーーっ、この糞エロガッパ!!……ガルルルル……!!」
 
ホークに頭を掴まれたまま、ジャミルが暴れる……。
 
「みっともないねえ、本当に……、他のボウヤ達が皆びっくりして
見てるじゃないか……、それより、アイシャ、よく来たねえ、
いらっしゃい!」
 
「ホークもバーバラも!会えて嬉しいな!これから宜しくお願いします!!」
 
 
「アイシャ、久しぶりだね、元気だったかい?」
 
「おう、これから又女同士、宜しくな、アイシャ!」
 
「アルもシフもー!本当、又皆と会えて嬉しい!!」
 
 
「アイシャ、こんにちは、今日はグレイは顔を出さないけれど、その内、
グレイと部屋に遊びに行くわね……」
 
「あっ、クローディア!こちらこそ!うふふ、宜しくお願いしまーす!」
 
 
……今回は邪魔が入る障害があり、やっとアイシャと会えても、
あまりイチャイチャが出来ない事を……、ジャミルは漸く
感じ取ったのであった……。
 
「負けねーぞ、……畜生……」


お悩み解決致します

「こんにちはー!」
 
翌日、早速ジャミルの部屋にアイシャが訪ねて来る。
 
「アイシャか?いいぞ、入れよ」
 
「えへへ、お邪魔します!」
 
「うわあ、アイシャ、可愛い服だね!」
 
「ダウド、ありがと!これ、お引越しのお祝いにね、
バーバラがプレゼントしてくれたお洋服なの!」
 
アイシャは嬉しそうに着ている水色のセーラーワンピに触れた。
 
「……又年増か、んとにお節介だな、たく……」
 
「ねえねえ、何書いてるの?見せて!」
 
アイシャは珍しそうにジャミルが記入しているノートを覗き込んだ。
 
「なあに?皆のお悩み事……?」
 
 
話は……、昨日のパーティ終了後に遡る……。
 
「ちょっと、ジャミルさん、いいですか…?」
 
「何だよ……」
 
黒子がジャミルに近づいて来た。何やら話がある様子であった。
 
「少し、お時間頂けないでしょうか、これから市役所まで足を
運べますか?」
 
「別にいいけど……」
 
「そうですか、では、お待ちしております……」
 
黒子はジャミルに頭を下げ、退散する。
 
「どうしたの?」
 
「ん、何か俺に話だとさ、ダウド、お前先に帰っていいぜ」
 
「うん、でも……、何の話なんだろう……」
 
「さあな……」
 
 
で、市役所に足を運ぶと……。
 
「来ましたね、今後の事ですが、あなたにお願いがあります」
 
何か又、碌な事じゃねえな……と、ジャミルは思った。
 
「この島に施設を建てるには、困っている住人の悩み事を解決する
必要があります」
 
「はあ?悩み事解決したら施設が立つのか?意味分かんねえ……」
 
「あなたがこの島での最初の住人ですから……、それはあなたに率先して
お任せします……」
 
「やっぱり、そう来るか……、まあ、覚悟してた事だけどよ……」
 
「お願いします、……この島での皆様のより良い生活と暮らしの為にも
是非、ご協力をお願い致します」
 
 
「それで、皆のお悩み事を書いて、リストに記入してるのね……」
 
アイシャがジャミルの方を見ながら、うんうんと、頷く。……どうやら、
又アイシャのお節介病がこの話でもウズウズと動き出しそうであった……。
 
「今んとこ、……4、5人聞いて回って来たけど、住人にもっと綺麗な
姉ちゃん入れろとか、外食屋増やせだの……、化粧品が足んないとか……、
碌なモンじゃねえや……、ほぼ好き勝手な願望だろ……」
 
鼻の下にボールペンを挟んでジャミルが口を尖らせた……。
 
「ねえ、アルにも手伝って貰お!私、呼んでくるね!」
 
アイシャはダッシュでアルベルトの部屋に行き、数分後、引っ張って
連れてきた……。
 
「アルっ、早く、早く!」
 
「あの、……何で僕まで……」
 
「アイシャに捕まったらもう逃げらんねえぞ、……まあ、思う存分
手伝ってくれ……」
 
「うーん、こうして4人揃うと、何か前作に戻ったみたいだねえ!」
 
「はあ、……しょうがないな、……で、何をするの?」
 
「この島の住人の悩み事を解決するんだとさ、じゃねえと、
新しい施設が建たねえんだよ、……けど、どいつもこいつも
無茶な要望ばっかでさ……」
 
「単純に……、取りあえず、簡単に解決出来そうな人の悩みを
聞いてみたらどう?例えば、何か食べたいとか……」
 
「そうだな、考えるとキリがねえしな……」
 
アルベルトのアドバイスを聞き、4人はまずは簡単な悩みを
抱えている住人から回ろうと部屋を出て行動に動き出す。
 
「はー!こんにちは!!」
 
「ああ……」
 
部屋の外に出ると、はーちゃんが待っていた。
 
「わたし、今ジャミルの所に遊びに行こうと思ってたの!
ねえ、ねえ、みんなで何処に行くの?」
 
「えーっと、あなた、ことはちゃん?私はアイシャよ、仲良くしてね」
 
「はー!こんにちは!はーちゃんでいいよ!こちらこそ宜しくね!」
 
年の近い女の子同士で、二人はすぐに意気投合し仲良くなった。
 
「それでそれで、みんなはこれからどうするの?」
 
「住人の悩み事を解決しに行くんだよ、但し、俺らで解決出来る
軽いランクLVの奴な……」
 
「はーちゃんは今何か食べたい物とかさ、ない?」
 
「はー?」
 
ダウドが聞くと、はーちゃんは顎に指を当てて、きょとんとした
表情をした。
 
「はー!冷凍みかん!キンッキンッに冷えたの!」
 
「……冷凍みかん……ね、食料屋にあったかな……、んじゃちょっと
出向いてくるわ……」
 
「私も魔法が使えればなあ、でも、そういう事は此処では
おやめ下さいって、黒子さんにリンクルスマホン取り上げられちゃった!」
 
「ま、魔法……???」
 
「あ、これ内緒だった!みらいとリコに怒られちゃう!ねー、今の
忘れてー!ねー!」
 
はーちゃんはジャミルに詰め寄って来た……。
 
「わ、分ったよ、……んじゃ、行こう……」
 
「はー!行ってらっしゃーい!」
 
はーちゃんが4人に向かって手を振った。
 
 
そして、4人は今マンションにいる住人から食べたい物を聞いて回る。
 
「……何でもいいから、食いたい物を教えろ!施設の建設に
掛かってんだよ!」
 
「ジャミル、それじゃ完全にヤクザの脅しだよ……」
 
アルベルトがジャミルの後頭部を一発殴った。
 
「あはは!完全に前のお話に戻ってるー!」
 
「やっぱりこうじゃなくちゃね、楽しいねえー!」
 
「……」
 
アイシャとダウドは声を揃えて笑った。
 
 
「えーと、大体今日の処は……、こんなモンかな……」
 
住人の食べたい物リストを確認しながらジャミルが呟いた。
 
「僕らでどうにか出来そう……?」
 
「えーと、冷凍みかん、たい焼き、ラーメン、ケーキ丸ごと
ワンホール……、キャビア、フォアグラ……、←は、却下、
……冷凍みかんとたい焼きだけはどうにか出来そうだな……、
じゃ、食料屋行くべ……」
 
「それじゃ、一日のお悩み事解決の平均人数が足りなくないかな……」
 
「しょうがねえじゃん、どいつもこいつも無茶ばっかり言うんだからよ……」
 
「最低でも、一日5人は押さえておいた方がいいような気がするよお……」
 
「じゃねっ、私達の数もいれちゃお?」
 
「は?」
 
アイシャが目を輝かせてジャミルの方を見た……。
 
「私達だって、食べたい物あるんだもの、この際だから、
沢山食べて、お悩み解決の数に入れちゃお?」
 
「なるほど、その手があったか……、自分達で勝手に悩みを解決して
数に含めりゃいいんだ、アイシャ、お前頭いいな!」
 
「えへへ~」
 
「……僕は別に悩んでないんだけど……」
 
「うるせー黙れ!何でもいいから悩め!何食いたいんだ!?」
 
「もう~……」
 
「あ、食料屋の購入資金はアル担当だからな!」
 
「な、何でっ!!」
 
「一番金持ってんだからよ、施設建設の為のご協力をお願いしますっ!!」
 
「……何が施設建設の為のだよ……、もう~、しょうがないなあ……」
 
唸るアルベルトを尻目に、年少組のお子様達は食料屋に
入荷している本日分の、ありとあらゆる食べ物を購入しまくり……、
そして食べまくるのであった……。
 
 
翌日……。
 
「シーフー!」
 
部屋の外で竹刀を担いで立ち往生していたシフにバーバラが声を掛ける。
 
「何だい、バーバラか……」
 
「随分と又浮かない顔してるね~、どうしたんだい?」
 
「……坊やの稽古の時間なんだけどね……、どうやら今日は
腹壊したらしくてね……、部屋で唸って寝てるんだよ、……また
あのボンクラが原因らしいんだけどね……」
 
シフは肩に継いだ竹刀をトントンと叩いた……。
 
「玉には休めって事だよ、それよりもやっとこの島にもまともな
ショッピング施設が出来たらしいから、あんたを誘おうと思って
来たんだよ、そんな毎日同じ様なジャージばっか着てないであんたにも
化粧とおしゃれの楽しさを教えてやるよ!」
 
「別にあたしはいいよ……」
 
「ほらほら、早く来るっ!」
 
バーバラはシフを無理矢理、ショッピングツアーへと
駆り出すのであった。
 
 
「……う~、お腹が……、ねえ、さん……」
 
「きゃー、……痛い痛ーい!……お腹いたーいっ!!……もういや~っ!!」
 
「……いたいよお……、あうう~……」
 
「……死ぬ……、腹が破ける……」
 
と、ジャミルの部屋へ、はーちゃんが駈け込んで来た……。
 
「はーっ、ジャミルー!冷凍みかんまだですかー!?私、昨日から
ずっと待ってたんだよー!プンプン!!」
 
「あの、……僕もたい焼きを届けて貰えると……、まだ……、
でしょうか……?」
 
顔を赤くしておずおずと……、谷口までやって来た……。
 
ジャミルは今……、切実に胃腸薬が欲しいという悩み事を
誰か解決してくれと思うのであった……。


宿命の子、来る

その日。
 
コンコン……。
 
「はいよ、ドアは開いてる……、やべ、変な雑誌出しっぱなしだった!」
 
暫らくぶりに、マンションに新しい住人が訪れ、ジャミルは部屋に
錯乱しているエロ雑誌を慌てて押し入れに投げ込んだ。
 
「どうぞ、入っていいよ!」
 
「あの、こんにちは……」
 
来たのは、パーマウェーブネントヘアで後頭部にリボンを付けた
女の子で、一緒に別の男の子も連れていた。
 
「初めまして、私はサラです、自立したくて、……この島に来ました……」
 
「はあ、……隣は弟さんかい……?」
 
「……僕に構わないで下さい……」
 
「駄目よ、私達は今日から暫くの間、このマンションの方達に
お世話になるのだから……、あの、それでは私達はこれで……、
また……」
 
「……」
 
サラは少年を連れ、他の部屋にも挨拶回りに行った様であった。
 
「……もう、昨日までの私じゃないの……、お姉ちゃんがいなくても
平気よ……、平気なんだから……」
 
と、呟くのがジャミルの耳に聴こえたのであった。
 
「家出人かな……、それにしても複雑な事情があるんだな……」
 
 
午後、ジャミルの部屋にアイシャが遊びに来ていた。
 
「ジャミル、今朝新しく来た子……、連れの男の子と、一緒の部屋に
住んでるみたいなの、やっぱり、御姉弟さんなのかなあ、……恋人同士には
見えないんだけど……」
 
「色々あるんだよ、多分……」
 
「なーんかジャミルらしくない言い方ーっ、面白くなーい!それでね、
あの子……、サラちゃんだっけ……?が、常に一緒じゃないと、
ぜーったい、連れの男の子部屋から外に出たがらないんだってー!
変わってるねー!」
 
アイシャは食べていたクッキーのカスをジャミルに飛ばしながら喋り捲る。
 
「おい……」
 
「ごちそうさまあーっ、それじゃ、私、これからバーバラ達とお洋服見に
行ってくるねーっ!!」
 
「あの……」
 
「あっ、サラ……ちゃん?」
 
アイシャがドアを開けると、……浮かない顔をしたサラが立っていた。
 
「ど、どうかしたか……?」
 
「お願いが……、あるんですけど……」
 
 
「で、どうしたい……?」
 
ジャミルはサラを部屋に招き入れ、話を聞いてみる事にした。
アイシャはとても何故かワクワクしている……。
 
「お前、買い物に行くんだろ……」
 
「いいじゃないっ、もう少しいたって!」
 
「……実は、私の連れの事なんですけど……」
 
「ハア……」
 
「複雑な事情がありまして……、心を閉ざしているんです……」
 
「自閉症か……、グレイと野球猿とは又違ったタイプのツンデレ系か……」
 
「聞いたんですけど……、あなたはこのマンションで一番の、ア……、
コホン……、ではなくて、暴走系のお笑い担当だと聞きました……、
お願いです……、今日、半日だけ……、あの子と一緒にいて
貰えないですか……?」
 
「な……、何だってえ……?」
 
「あの子にも……、笑う事の楽しさを知ってほしいの……、
……駄目かしら……?」
 
サラは切実な目でジャミルを見て訴えた……。
 
「け、けど、人間、そんなすぐ変わるモンじゃねえぜ……」
 
「……少しずつでもいいと思うの……、お願い……」
 
「あはっ、じゃあ今日はジャミル先生に任せて、サラちゃんも
私達と一緒にお買いものにいこっ、ねっ?」
 
「そうね、私がいない方がいいかも知れない……、アイシャ、
一緒に行ってもいい?」
 
「もちろんよっ、じゃあ、いこいこ!ジャミル、それじゃお願いねーっ!」
 
「お願いね、……ジャミル……」
 
サラは申し訳なさそうにジャミルに頭を下げると、アイシャと一緒に
外に出て行った。
 
「何でこうなるんだか……、とほほ~……」
 
 
ジャミルは仕方なしに、助っ人を連れて、少年がいるサラの部屋に向かった。
 
「で、オイラも?結局、駆り出されるの……?」
 
「でへへ~、お世話になります~、ワイ、近藤いいまんねん」
 
「現時点での、このマンションでのアホを集めて来た、さあ作戦開始!」
 
「ジャミル、それじゃ自分でアホだってもう認めてるんじゃん…」
 
「うるせーなっ、いいんだよっ!えーと……」
 
「……何を頼まれたか知りませんが……、僕に係らないでと
言ったでしょう……?頼むから帰って下さい……」
 
「うわっ!可愛くねえっ……、とにかく、要するに、お前が笑えば
いいんだそうだ、面白いだろ?笑えよ……」
 
「いてて、何するんでっか!乱暴やなあ!」
 
ジャミルは近藤の頭をむんずと鷲頭髪にすると、顔を少年の前にアップで
近づけさせた。
 
「……」
 
「何だか……、見てると余計イライラする……、虫唾が走る……、
帰ってっ!頼むからこんなガマガエルみたいなの……連れて帰ってよ!!」
 
少年は近藤の顔を見ずに、そのまま顔を手で押し返した。
 
「あてて!あてててて!!揃いも揃って……、皆酷いがなー!!」
 
「ジャミルっ、これじゃ余計逆効果だよお……!!」
 
「おかしいな……、笑うと思ったんだけどな……」
 
「……もう~!!」
 
「ははっ、何だか最近ドナルド忘れられてるねー!」
 
部屋に突然、ピエロが姿を現した……。
 
「どっから入って来た?ドアは開かなかったよな……?」
 
「ドナルドマジックさっ!あははっ!!」
 
「……コイツの場合は……、アホっつーより、変態だからな……」
 
「らんらん、……るーーっ!!もう一度……、らんらん……」
 
「う、うう……、ううう……」
 
突然、少年が頭を抱え、唸り出す……。
 
「ジャミル、大変だよ!この子、怒って何だか錯乱しそうだよ……!!」
 
「ええー!?んな事聞いてねえぞ!!おい、……頼むから、
落ち着いてくれよ!!」
 
「何か怖いよおお~!!わわわ!!」
 
 
……近藤はいねがー、近藤はよ……
 
 
外で……、恨みの籠った様な声が聴こえた……。
 
「な、なまはげさんやあっ!!」
 
突然、近藤が泡くって慌て始めた……。
 
「いるぞー、此処に!!」
 
「ぎゃー!言ったらアカンっ!!」
 
「近藤っ……!!てめえ……、やっと見つけたぞっ!!」
 
けたたましくドアが開き……、丸井が姿を現す。
 
「また何か……やったの?」
 
ダウドが呆れ顔で近藤を見た。
 
「また何かも何もねえっ!!一日一回は蹴らねえと気が済まねえだけだっ!!
オラ、そのでけえケツ貸せっ!!」
 
「うわあ……、無茶苦茶……」
 
「ケツ蹴りたい病か……、珍しいな……」
 
「……プ……、ヒク……」
 
「あ……?」
 
今かすかに……、少年の口元が……少し動いた様な……気がした……。
 
「おい、ダウド……、あいつ今、少し笑ったぞ……」
 
「え?ええ……?うそ……、本当に……?」
 
「……おい、オマルっ!」
 
「お、オマル……、だと……?」
 
「何でもいいよ、もっとこいつを蹴れよ!」
 
「ホント、無茶苦茶やがなー!!」
 
「……丸井っ!!」
 
「あ、……谷口さん……」
 
しかし、……騒動は長く続かず……、丸井を連れに来た谷口によって
終りの運びとなった……。
 
 
「火が消えた様に静かになっちゃったね……」
 
「……」
 
少年は何事も無かったかの様に、ジャミル達に背を向け再び
黙りこくってしまった。
 
「……もう少しだったのになあ~、けど、これはマジで大変だなあ……」
 
「僕に構わないで……」

zokuダチ。セッション3

zokuダチ。セッション3

SFC版ロマサガ1 トモダチコレクション キャプテン まほプリ ロマサガ3 クロスオーバー バカ どんどん増える変な住人 カオスな世界

  • 小説
  • 短編
  • コメディ
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-06-08

Derivative work
二次創作物であり、原作に関わる一切の権利は原作権利者が所有します。

Derivative work