『倒錯』
知ってしまったら、もう
知らなかった時には戻れない
貴方の唇が刻む
あのリズムに身を任せるだけ
『倒錯』
これは何て曲だった?
頭の隅で考えながら
腰にまわす手に気を取られる
いつもの作業に滞りはない
嘘偽りなく愛すなんて
異国の物語みたい
アタシには無縁ね
でも不幸でもないアンビバレンス
普通ってどういうの?
これも普通なの?
赤い縄を見つめて
貴方の冷たい視線を浴びて
その手の鞭の行方さえ
知らないままに溺れる
どんな綺麗事もここじゃ
白々しいだけね
愛してると決まって
口にするけれど
そんなものにどれだけの
価値があるというの
言葉を交わすこともなく
淡々と続くこれは
本当に愛なんて呼ばれるものですか
それとも最早これは
「目を閉じ口を閉じ心を閉じれば恍惚へ」
『倒錯』