『倒錯』

知ってしまったら、もう
知らなかった時には戻れない

貴方の唇が刻む
あのリズムに身を任せるだけ


『倒錯』


これは何て曲だった?
頭の隅で考えながら
腰にまわす手に気を取られる
いつもの作業に滞りはない

嘘偽りなく愛すなんて
異国の物語みたい
アタシには無縁ね
でも不幸でもないアンビバレンス

普通ってどういうの?
これも普通なの?
赤い縄を見つめて
貴方の冷たい視線を浴びて

その手の鞭の行方さえ
知らないままに溺れる
どんな綺麗事もここじゃ
白々しいだけね

愛してると決まって
口にするけれど
そんなものにどれだけの
価値があるというの

言葉を交わすこともなく
淡々と続くこれは
本当に愛なんて呼ばれるものですか
それとも最早これは



「目を閉じ口を閉じ心を閉じれば恍惚へ」

『倒錯』

『倒錯』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • サスペンス
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-06-03

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