Drop Out 第一回
連載の仕方が分からなかったので、二話と一話が分かれちゃいました・・・
プロローグ
病院の一室から産声があがる。大人たちが安堵の声をもらす。ようやく産み落とされた小さな命に、誰もが喜びを隠せない・・・そんなときだった。
突然一人の男が手に刃物を持って病室に飛び込んできた。誰かが叫び声をあげる前に、男は次々と刃物で血の海をつくりあげていった。
それでもお構い無しに赤ん坊は泣き続けた。しかしそれも、男が手を振り下ろしたと同時に止んだ。
そして男は突如我に帰ったふうにあたふたしたあと、自分を刺してばったりと倒れた。
「あらら・・・・部屋が真っ赤。みんな死んじゃったんだぁ・・・ごしゅーしょーさまぁ~。」
軽快な声がどこからともなく降り注いだと同時に、他の者達が何かが起きたと察し始めたのか、院内がざわめきだした。
「やぁーっと気付いたのぉ?遅すぎでしょお。今更慌てたってもう手遅れだってのにさあ・・あれ?」
声の主は、最後の犠牲者となった赤ん坊に注目した。まだ温かい体は、ついさっきまで元気に心臓を動かしていたことを証明している。
「・・・おい。もういいのか。やっと狭い空間から飛び出せて、これから長い人生が始まる可能性があったっていうのに、それを赤の他人に強制的に終わらされて。」
赤ん坊の体はぴくりとも動かない。声の主によってかたく閉じられた病室の扉を何者かが強く叩き、強引に蹴破ろうとする音が聞こえる。
「お前の仲間は醜いね。自分のことで周りが見えなくて、関係のないお前まで殺されてしまった。たまに来てちょっとのぞいてみるだけなのに、こういうことが起こっていないところを見たことが無い。やはり僕は計画を進めなければいけないかもしれない。」
扉がみしみしと音を立て始めた。限界のようだ。
「さあ時間がない。どうする、君はもう二度とその形を保てないよ。魂が離れてしまった瞬間からお前はもう未来を失ったのさ。お前はこのまま焼けるのか。それとも僕の手をとってみるかい?完璧なものの器となってみるかい?」
間もなく扉はやぶられた。中にいくつも転がっている無残な死体と真っ赤な血を見て誰もが息を飲んだが、事の重大さが分からない無垢な子供だけが、悲劇に紛れた存在に気付いたのだ。母親に、自分はここで生まれたのだと聞かされたことがある。ということはいるはずなのだ。見てみたいな、どこだろう。
「ねえお母さん、赤ちゃんはどこにいるの?」
Drop Out 第一回