君が居た日
初めて私が愛した人。
ホントに、大好きだった…ううん、今も大好き。
離れたくなんかないよ...。
さよなら
**美柑SIDE**
「ごめん、別れよ。 …さよなら。」
え、何で?
ショックのあまり言葉も出ない…。
去って行く昌斗の後ろ姿を見つめる。
たった今私、香澄美柑は最愛の彼氏・山北昌斗に振られましたι
もうすぐ付き合って半年だねって、昨日まで微笑んでくれてたのに……o
何で急に…?
2人で見た映画も、
2人で行った遊園地も、
2人で食べたクレープも、
全部、全部、これから私は違う人と?
もう、昌斗とは一緒に居られないの??
もうあの優しい腕に、強く抱き締めてはもらえないの?
やだよ、そんなの。
やだやだっ。
泣いて泣いて、泣いた。
もう、涙なんて枯れてしまうんじゃないかってくらいに。
そんくらい昌斗を好きだった、ううん好きって事なんだなぁ…
思う存分泣いてから教室に帰ると...
「美柑、おはよ!」
あ、詩陰だぁo
「おはよ…」
「ん? どしたの??」
「昌斗に振られたぁ…(泣」
はぁ、言うのもやだなぁ...
「はっ、何で!?」
ホント、何でだろ…?
「分かんないι」
「まぢけぇ...、大丈夫?」
「大丈夫、ぢゃないよぉ…… ふぇ~ん、詩陰~~(泣」
「昌斗先輩の事、大好きだったもんね? よしよし」
「うわ~んっっι 詩ぉ~『キーンコーンカーンコーン』
「わっ、予鈴だっ!! また後で話そ?」
「うん」
って言っても、同じクラスなんだけどねw
あっ、紹介遅れましたι
この子の名前は…
上牧詩陰(かみまき しおん)
サバサバしてて、綺麗で、私の憧れなの!!
自慢の心友なんだぁ☆
で、私の名前は…
香澄美柑(かすみ みかん)
私たちは、姫沢中学校に通う2年生っっ★
そしてさっきの[昌斗]っていう人は
私たちと同じ中学校の3年生で、すごくモテるんだぁ!
皆に優しくて、困ってる人を見捨てることなんて出来ない人。
そんな所が大好きだった。
この別れをきっかけに、美柑の忙しい毎日が始まる
でも.....
**美柑SIDE**
昌斗と別れてからもう1週間がたった。
それでも、私はまだ昌斗が忘れられない…
今日もつまらない学校。
昌斗が居る時は、あんなに楽しみだった昼休みも今はただ暇なだけ。
ああ、やっぱり私には昌斗が必要なんだ、
私の世界は、こんなにも昌斗中心だったんだ。
って、昌斗を想ってばっかり。
「…ん? かん? 美柑っ!?」
「あ、え、ななな何っ??」
「もーぉ、またボーっとして(怒)」
うっι
「ごめんなさいっ」
「はあああ。」
うわ~怒ってるよ、詩陰さんがっι
「あのさぁ、振られたばっかだし
黙っとこうって思ってたから言わなかったけど、
もう黙ってらんないわっ!!
言うね?」
「うん、教えて?」
「美柑は、昌斗先輩に聞きたい事、
伝えたい事があるんじゃないの?」
「うん、ある。
いっぱいあるよ。」
そうだよ、いっぱいあるんだよ。
………でも…
「だったらっ!!…」
「でも、怖いの!
聞いて、もっと嫌われるのが。
今も、こんなに大好きなんだもん。」
怖い、昌斗に別れた理由を聞くのが……。
嫌いっていわれるのが。
「...違う、それは違うよ、美柑。」
「、、、え?」
「好きだから、伝えなきゃいけないんぢゃんっ!
好きなんでしょっ?
伝えなきゃ、絶対後悔する。」
「そうかな…?」
「だよっ?
それにね、諦めて輝く恋もあるよ。」
「諦めて輝く恋?」
「そう。
哀しい恋の、綺麗な終わり……。」
…その時の詩陰の横顔は、今まで見たことないくらい切なげで哀しくて、でも…とても綺麗だった。
**昌斗SIDE**
今日もまた、美柑の目が腫れてた。
俺のせいだ…。
1週間前までは、幸せな日々だった。
あいつの…陽助の気持ちを知るまでは…。
陽助というのは、
この、姫沢中学校の3年の
川島 陽助(かわしま ようすけ)
俺の恩人でもあり、信頼できる親友だ。
そして俺は、同じ3年の
山北 昌斗(やまきた まさと)
美柑と別れてから毎日がつまらない。
俺はわがままだ。
俺が美柑を離したのに、辛いのは美柑なのに…。
でも俺は決して美柑を嫌いになった訳ではない。
むしろ、今でも大好きだ。
でも……
_2週間前_
「おはよっ、昌斗♪」
「おはよ、美柑」
いつも通りの朝。
彼女の美柑を近くの公園まで、迎えに行く。
そこから、いつもの様に手を繋いで学校まで行く。
そう、そこまではいつも通りだったんだ。
「おお、陽助おはよ!」
「お、おう。
おはよ、昌斗と…美柑ちゃん!」
「あっ、陽助くん!!
おはよぉ~♪」
なんか、おかしかったんだ。
陽助の目が、声が…
全てが((美柑が好きだ))と言ってる様で。
そんな訳無いよ…な?
俺の小さな不安は、その2日後に解決した。
2日後の放課後、携帯を忘れて1度教室に戻ると…
美柑の心友と、陽助が何か話していた。
聞いちゃいけないって思った…
何か、聞いちゃいけない気がしたんだ。
でも、俺は聞いてしまったんだ...
「ホント、昌斗には悪いと思ってる。」
「…うん。」
「でも、それでも好きなんだ。
美柑ちゃんが...。」
え……。
今、何て言った...?
俺は続きは聞かずに走り出した。
陽助が…美柑を…?
君が居た日