終わりなき神話 外伝『不確定無限領域』
これはいつか、全ての空間、時間、次元を超えて、救いをもたらす救世主の【いつか】の物語
1
漆黒が埋め尽くす、先も後ろも分からない空間に、20代前半の姿に見える青年、メシア・クライストはたたずんでいた。
目の前には白い光の球体、神々の預言者オルトが浮遊していた。
何度目、あるいは永遠にここにいたかもしれない、そんな気分になる「不確定無限領域」である。
そこは漆黒が包む空間であり、全てのオムニバースを内包する果てしない空間であった。といっても、空間という概念では表現できず、メシアがそこを三次元に改変しているだけであり、本当は無限を超えた次元が渦巻く領域なのであった。
オルトとメシアの対峙はもう当然のものとなっており、預言者はここでこれから何が起こるのかを理解し、メシアへ告げようとしていた。
「宇宙。単一の世界。マルチバース。宇宙の外に無限乗の無限を永劫繰り返し、今も宇宙を無限乗の無限乗のと永遠に繰り返した数、増え続けている。メタバース。マルチバースの集合体で、今もマルチバース同様、無限乗の無限乗を永遠に繰り返した数、増え続けている。ゼノバース。星々が意識体となり、生命体がアストラルソウルとなり、肉体が消滅した世界。増殖を繰り返すメタバースを内包し、メタバースと同じく、無限乗の無限乗のと永遠に繰り返し、増殖を続けている。そしてオムニバース。すべての生命、非生命、可能性、非可能性。想像、非想像。過去、現在、未来に作られたあらゆる物、マルチバース、メタバース、ゼノバースを内包したすべての物語、音楽、絵画などがマルチバースをなしている世界を内包し、無限乗の無限乗と永劫に繰り返し増殖を続ける全ての集合体。それが無に等しい世界、不確定無限領域。メシアよ、我々はそこに立っている。次元も時間も空間も想像も非想像も可能性も非可能性もすべての物語、これからの物語などすべてを超越した世界に。だがまだ我々は巨大になれる。ここより巨大になった時点で、オムニバースの集合体、増殖は完全に無となってしまうがな。どんな物語も現実も我々より巨大にはなれず、またこれから想像されるすべての巨大よりも我々は巨大になれる。未来永劫」
改めてオルトは不確定無限領域の説明をした。
「生命体、非生命体の尺度では計ることができない時間、この次元をさまよっているが、未だにこの不確定無限領域を知ることはできず、どこまで続いているのかも分からない」
「それはここが次元、時間、空間の終わりということか?」
メシアが質問を投げかける。遥か昔に同じようなことを質問した記憶があったが、もはや分からなくなっていた。
「しかし感じるのだよ、救世主。この漆黒の空間の果てから、何かの瞳が見つめている。何かがこのすべてを見つめているのを」
メシアにはそれが何なのか、少し心当たりがあった。
と、彼がそれを思い浮かべた時、漆黒の中に巨大な何かが膨れ上がるように、湧き出てきた。それが何か、メシアは知っていた。
「アザトース」
そうメシアは呟いた。
仮にメシアが190センチの大柄な男だったとしたら、そこに現れたアザトースは、5mほどの大きさになる。
仮にであり、実際はこれまでに創造されたどんな存在よりも巨大であり、これから想像されるどんな存在よりも巨大であり続けるメシアは、その気になれた、アザトースを手の平、または指先でつぶせるほどまで、巨大化できる。
クトゥルフ神話の最高神、宇宙を夢で創造するアザトースが、メシアを睨んでいるようだった。
だがそこに眼というものはなく、漆黒の闇の中に霧状の漆黒が広がるだけである。
「異形の神の最高神も、この空間の異変を感じて、現れましたか」
オルトは心躍るような声色で呟いた。
するとさらに空間の歪みが2つ起こり、黒い空間に光の切れ目と、渦巻くような現象が起こった。
メシアはすぐに何が現れたのか感じ取った。それはSCPなる存在。渦を巻くのはSCP4555。光の切れ目はSCP3812である。
現実から生み出された都市伝説が具現化したものであり、生命、非生命とも扱うことのできない性質を所持した異形の存在だ。
メシアはそれらが現れてすぐ、空間の異変に気付き始めた。
「何かがここを、不確定無限領域を消し去ろうとしている」
オルトはそれに興奮しているのか、
「そう、だからこそ究極の面々が集まったわけです。まだ来ますよ」
2へ続く
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暗闇の中に白い人影が、小さい粒からみるみる巨大化し、銀色に輝く流体の人型がそこに現れた。
ソロモンの最終決戦兵器である。
その胸元には赤く丸い光が輝き、中に誰がいるのか、メシアにはすぐにわかった。
マリア・プリース。メシアがかけがえなく思う人間の女性だ。
が、ソロモンの科学力により、最終兵器の核とされ、今はもう人間と呼べる姿ではなくなっている。
それを知ってか、メシアに接触するそぶりも見せず、銀色の常に流体する人型の顔は、周囲に居並ぶ、究極の存在たちを眺めた。
するとアザトースがその内側から巨大基数の数、人の作り出した巨大な数字のぶんだけ、邪心を次々と不確定無限領域に吐き出していく。戦じたくと言ったところだろう。
同じくSCP4555もその内なる無限から巨大基数のSCPを生み出していた。
メシアはしばらくソロモンの最終兵器を見つめていたものの、自らができる際残を尽くすべき、その巨大化した体内に増殖を続けるオムニバースを取り込み、さらに巨大化した。これでオムニバース群は無にならず、メシアの絶対的な保護の中で増え続けることができる。
と、オムニバース群が無になる大きさへとメシアが巨大化した時、揺れるはずのない不確定無限領域が揺れ始め、漆黒の空間の彼方に咆哮が轟いた。
それは現れた。
一見するとデヴィルズチルドレンにも見える、タール状の液体であったが、その放つ力はオルトが探索を続けて、果てのないことを示した不確定無限領域に振動を与えた。
メシアもオルトも、そこに居合わせた人智を超えた超越の存在たちですらも、不確定無限領域に何が起こったかを理解していた。
闇の奥から現れたそれは、あまりの大きさに、メシアですら肉眼で認識することはできなかった。
この時、形容できない化け物が現れていた。
3へ続く
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形容しがたいその容姿をあえてたとえるとすれば、鋭い昆虫のような足がいくつを生え、ムカデの如く胴体は長く、それでいて内臓を裏返したようなヌメヌメとした肉体が、漆黒であるのに光源がどこかにある不確定無限領域の光を、鈍く反射させていた。
化け物には複数の顔らしき物語、不規則に動くムカデのような足と相まって、不気味さをさらに際立たせていた。
だがその全容をメシアが見ることはなかった。
漆黒の中から何か黒い巨大なものが現れたという認識しかできない。
しいてたとえるなら、メシアが人のサイズだとしたら、化け物は単一の宇宙ほどの大きさがあったのだ。到底肉眼で見ることなど不可能なことである。
しかしメシアはそれならばと自らの肉体を巨大化させた。化け物を凌駕する大きさになったのだ。
次元が1つ上へ上がるごとに、無限の無限乗が無限永劫増える。下の次元は無に等しくなる。
しかしここまで大きな世界になると、無限の無限乗が永劫続くなど、無になる。
生命体はこの大きさを認知できないであろう。
普通の無限の概念を超えた、無限が永劫に続くオムニバース群を体内に保護しているメシア。もし保護していなかったら、人智を超越したオムニバース群は消滅していたであろう。
巨大基数の邪神を生み出したアザトースが自らの眷属を化け物へ向かわせる。それはまさしく異形の軍隊が巨大な壁面へぶつかるかのごとき光景だった。
オムニバース郡すらも呑み込むであろう異形の軍団は、しかし巨大な化け物へ、傷1つすら与えられなかった。
次にSCP4555が生み出したSCPがあらゆる攻撃を行う。これまでSCP財団が把握していない、新種もいるがそれも焼け石に水がかかるがごとく、無意味に終わっていく。
すると空間に現れた光の裂け目、SCP3812が光を帯びる。それはあらゆる森羅万象の理を変える力があり、巨大な怪物の力も能力も無に変更しようとした。
ところが怪物の表面を七色に光る壁がおおい、SCP3812の力を逆に無力化した。
これらの攻撃を傍観していた銀色の巨人は、人智を超えた世界で唯一の生命体の兵器として、液体金属を光速を超える速度で、不確定無限領域に広げた。黒い化け物を包み込むように。
4へ続く
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銀色の液体は怪物のシールドをすっかり包み込み、オムニバースでは観測したことのない電圧の稲妻を流した。
すると怪物のシールドは消え、攻撃可能となった。
これに間髪を入れず、光の巨人となったメシアは、背中から10枚もの巨大な、自らより大きな翼を広げ、腕を真上に上げ、手を広げた。
と、光速を超える速度で、普通の人間と単一宇宙の比率になる大きさの光の球体を出現させ、それを化け物に投げつけた。
怪物は悲鳴を上げ、光の球体が自らに当たる前に、ラヨ数もの黒い光の球体を出現させ、爆撃のようにメシアの光の球体へとぶつけた。
ビッグバンもちっぽけになるほどの爆発が無数に起こり、互いの光を相殺した。
それを予期していたのか、メシアは拳を突き出した。しかもそれは一撃ではない。残像が見えるほどの高速で繰り出し、怪物に初めての痛手を追わせた。
怪物は悲鳴を上げ、無数の顔からビーム放射した。
これにメシアは使徒であるアダムを影から出現させる。
最初の人、アダムの大きさはメシアが手のひらサイズのになるほど大きく、その拳は化け物よりも巨大であった。
アダムの拳は移動中にさらに2倍、3倍と大きくなり、怪物を粉砕した。
その刹那、激しい光が不確定無限領域に広がり、その場の全員の眼をくらまさた。
第5話へ続く
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どこかのオムニバースの中にある惑星の1つ。
赤土の砂漠にメシアは実施まとわぬ姿で立っていた。周囲には何もなく、地平線が綺麗に見えていた。
と、自分が1人で名はないことに気づいた。5メートル先に女性が立っていた。それを見たメシアは、心臓の鼓動が馬の足音のように高鳴り、誰なのかをすぐに理解した。
赤土をゆっくりと踏みしめ、近づくと長い髪の毛に軽く触れ、その腕を除災の前に回した。
全裸の柔らかい乳房が腕に触れた。
「――会いたかった」
ようやく息をするように、メシアは呟く。
微笑んだマリアは、背中から回された腕を掴み、嬉しそうに呟く。
「時間が消えるほどの長い時が過ぎた。久しぶりね、メシア」
懐かしく豊かな声に、マリアを抱きしめる腕に力が入る。
「無限のオムニバースが目の前で崩壊していく。デヴィルの力は、ますます強くなり、デヴィルの神々、ダークコアも動き出している。わたし達はもう、会えないかもしれない」
「そんなことはない。例えマリアが人でなくなっていても、僕の気持ちは変わらない。君だけを愛している」
軽くマリアは笑う。
メシアの腕をほどき、向かい合うと、メシアはマリアにキスをした。
その瞬間である。赤い空で無数の爆発が見えた。それは無限のビッグバンの光であった。
光を超える爆発は赤砂を巻き上げ、2人を砂煙の中に消し去ってしまった。
6へ続く
6
メシアが気づいた時、そのにマリアの姿はなかった。
先のない無限に進化を続ける機械となったマリアを、一瞬だがこの手に戻したのに、また消えてしまった。メシアは呆然としていた。
「オルト、そこにいるのか?」
気配でメシアは気づいた。
眼前には先の見えない建物が広がり、上を見ても、下を見ても、前後ろを見ても延々と続く本棚が、白い壁面が貴重の、金で装飾された空間が広がっていた。
「僕の物語がここにあるのか?」
メシアは無表情で問いかける。
すると2メートル程の光の球体が現れ、メシアの脳内に告げた。
「ここはすべて貴方の物語。終わりなどない」
預言者の言葉に、気づいてはいたが、こうして具体的に見せられると、自分の旅がまだ半ばであることを実感した。
「そしてこちらが他の物語」
そう言葉が響いた刹那、本棚はがらりと変わり、別の本が延々と並んでいた。
「ここに並ぶ書物の中身は現実。書物だけではない。データ、ディスク、冊子、他のすべての物語、音楽、テキストは君以外の現実なのだよ」
そういうと1つの部屋が現れた。
壁が1つない部屋へメシアが歩み入ると、壁は閉ざされ、そこにはゲーム、漫画、コミックス、ディスク、フロッピーなどありとあらゆる媒体があった。
「君は今、全てを破壊できる状態にいる。例え、Ωという無限の到達点の存在が居ようと、その本のページを破って捨てれば、君はその存在よりも強者となる」
部屋の本棚から一冊の本を取り出し、表紙をめくると、凄まじい情報量がメシアの眼に流れ込んでくる。普通の人間ならば狂ってしまいほどの情報量だ。
ここに物語のすべての一端がある。そう感じたメシアは確かに、邪心をもってこの部屋に入り、本を破る、データを破壊する、ディスクを割るなど、破壊行為を行ったら最後、物語は消えてしまう。例えその物語の中で最強であったとしても、防ぐことはできないだろう。
「これが世界のすべて」
メシアがそう呟いた時、頭の中で預言者の声が響く。
「違う。そこの扉を開いてみなさい」
そこには気の木目のガラをした、細長いすりガラスの入った、古いデザインと引き戸があった。
メシア躊躇する気持ちもなく、取ってに手をかけ、扉をスライドさせた。
7へ続く
7
マットレスの上に破れた敷布団。そこにシーツをしいている万年床の上に、太った男が寝そべっている。
枕元には古いパソコンがあり、無言で男は寝そべりながら物語を書いていた。
メシアはそこがユニバース2と呼ばれる現実の宇宙、物語の原点であることを、自然と理解した。
目の前の太った男こそが、自分を形作ったということも、なんとなく理解していた。
「こうして目の前で見ると、君は大きいんだな。イメージとしては、ある映画の主人公に似せて書いているのだが」
太った男はほくそ笑み、メシアを上から下に向かって見つめていた。
「僕を作ったということは、すべての創造主が君であるということを意味しているが、本当にそうなのか」
品祖な恰好と膨れ上がった腹を見て、メシアは疑わしい目つきで男を見やった。
事実はしかし変わることはない。メシアが見るもの、感じるもの、そのすべてがこの男によって生み出されているのだ。
「僕がすべてを破壊すれば、君も消えるのか」
素朴な質問に、太った男は頷いた。
「もし君が私を刃物で刺し殺したとしよう。すると世界、物語は生まれなくなり、朽ち果てた世界だけが残ることになる。君もここから動くことができなくなるということだ」
ひょうひょうと感情があるのかないのかわからない男を見つめ、メシアはすべての物語、音楽、映像コンテンツを破壊できる自分の力が本物なのか、目の前の男を見て、疑わしくなった。
「君の設定は最強。陳腐な言葉だが救世主である君は最強なんだ。それ以上にもなれる可能性があるが、それは私の力量というところだな」
太った男は軽く口に笑みを浮かべた。
「さぁ、話の時間は終わりだ。君は戦いの真っ最中だろ。帰って、すべてを守れ。君はまだまだ強く、巨大化できる」
太った男がそういった刹那、メシアの意識は一瞬失われ、戻ったのはあの化け物と戦い続けているマリア率いる怪物たちだった。
8へ続く
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マリアの流動金属から生まれる球体は黒い化け物に命中すると、ビッグバンを超える爆発を次々と生み出している。
怪物はうなり声をあげ、苦しんでいるように見えるも、身体に特別、攻撃を受けた傷跡は皆無だ。
SCPやクトゥルフ神話の神が攻撃、現実改変を行っても、化け物に有効な攻撃は見られない。
それを見たメシアはさらに高次元へと巨大化した。
彼の使徒、筆頭のアダム、エバ、リリスを背中から放出し、無限の拳を繰り出す。
すると化け物はメシアに対抗するように巨大化、その拳を受け止めたのだ。
ここまで高次元に巨大化すると、オメガを超えた次元にマリアや神々、SCPの姿は小さすぎて見えなくなる。メシアと怪物の直接の戦いになった。
メシアは眉間に力を入れると、複数の円形の光がメシアの周りに現れ、そこから古今東西、あらゆる歴史の武器が現れると、攻撃を始めた。刃物は飛び、銃は撃ち、投石器は光の玉を投げる。光からはさらに宇宙艦隊が現れ、主砲レンズから光線を放射しながら、突進していく。その数はさらに無限の最上位、オメガ個増えていき、見渡す限り球体から武器が放出され続けた。
さらにメシアが掌を怪物に向けると、光線が放出され、怪物に激突した。
メシアの攻撃は効いていると思われたが、怪物の身体が千切れ、それがもう一匹の怪物に変化する。それを幾度もくれ返し、怪物は群れとなり、周囲の武器を破壊するのだった。
それは一瞬の出来事で、攻撃の手段はメシアの光線だけになってしまった。
するとメシアは光線をいったん停止し、背後の使徒たちと力を合わせ、巨大な光の球体を放出した。それはメシアの何百倍、何千倍と巨大であり、それを投げつけたのであった。
化け物の群れの半分はそれで蒸発し消滅したものの、まだ化け物は健在だった。
メシアはこれに焦ることもなく瞼を下した。
その時、空間全域に別空間とつながったリングが現れ、あらゆるものの作者たちがこの世界に現れた。さらに作者たちは黒い化け物がなんであるかを理解し、想像力で化け物を攻撃し始めたのである。
想像力は物理攻撃であり、精神攻撃でもあった。中には二次創作の攻撃もあったが、想像力に限界のないことをしらしめた。
黒く醜い化け物はうなり声をあげ苦しみだし、肉体はが損を開始した。
想像力、創作の力が化け物を駆逐し始めたのであった。
黒い化け物を完全に駆逐することはできなかったが、化け物は空間に穴を広げ逃げて行ったのだった。
これに歓喜の声が起こり、想像力の勝利に作者たちは自分の世界へ嬉しさとともに帰っていくのだった。
メシアは下方の次元へと戻っていき、元の次元へ帰ると、今も増え続けるオムニバース群を空間へ返した。
メシアの視線は次にマリアへ向かい、手を伸ばそうとした。
が、マリアは戦いの終わっていない今は、メシアとまじわるべきではない、と考えあえて不愛想に自らの所属する科学組織ソロモンへ帰っていくのだった。
SCPもクトゥルフの神々も自分の居場所へ帰っていく。
そこに残されたのはメシアとオルトだけであった。
「戦いの先にはまだあんな化け物が待っているのか」
メシアの質問に光の球体である預言者は無言だった。
メシアは答えのない戦いに身を投じることに疲れたような顔をして、オルトの思わぬ行動に出た。
その場から消え、旅に出てしまったのである。
戦いはまだ続いている。神々が戦い続け、デヴィル、デヴィルの神、ダークコアも健在だ。それを放り出してメシアはすべてを知ったうえで、旅に出てしまったのだった。
オルトはオメガ累乗ずつ増え続けるオムニバースをただ見つめるのだった。きっとメシアはその中にいるの信じて。
終わりなき神話 外伝1 完
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