「光の無い空」
すゞめに花が接吻をした…
み空は悲しく青のなみだ
陽ざしの糸を握らされて
あやかしどもの夜みちの笑ひがなつかしく
月を沈めて星を貶したこの諸手
握るは眩暈む骸骨の残り毛
あゝみ空は悲しむ青はなみだ
糸に繋がれし忠孝は
一羽のすゞめと滴るつゆ草
淡いむらさき雫を込めて
濃ゆい黄色の無垢なこと
白い羽を内に包む
すゞめの嘴微笑みて待ち
天に坐します青硝子のお月さまに祈る
もう水底とは知らぬまま
赤は手指にかろく
空には重く
空を切らずに
つゆ草を裂いた
すゞめの頬に散る彼岸花
抱きしめた羽も朱に染まる
たった一度のくちづけも
そそげぬままに のめぬままに
ひしと抱きよせ顔をうづめる
心はもはや冷たく流れ
愛しいまばたきにふるえぬ睫毛
口の端漏れる白露が
すゞめの咽をうるほした…
み空悲しく青なみだ
雪景色の只中に
空も木も白い只中に
一点の赤眠れるを
「光の無い空」