『硝子の靴』
躊躇う素振りもなく
あの子を手にかけたのね
『硝子の靴』
浮ついた好奇心で
貴方が手にしたそれは
決して許されない虚偽
叶わないから綺麗なのよ
手に入らない星を眺めるようなもの
マリリンは愛を完結できなかったから
あんなにも美しいの
不均衡なヒールでモンローウォーク
だからあんなにも悲しいの
落としたものを
落としていないと言うのは
酷く簡単な嘘で
それで上手くいくなら構わないけど
何だか寂しいわ
何だか物悲しい
口元の黒子がいいと
貴方以外は言うのだけど、どう?
胸の二つの黒子も
貴方以外は褒めるのよ
何もかも意味ありげに
目配せも忘れない
長い睫毛を伏せて
「貴方を愛してる」振りをする
アタシはアタシを演じきる
「本当に愛してしまったらどうするの」
『硝子の靴』