述懐

ひとり寝の床に
目を閉じるも眠れず
夜のほの白む時刻、川原に出る

夜半過ぎに止みし雨
風すさび流れは早く、 濁りのその深さ知られず
水のほとりに
(あし)の葉の乱れ()れ合うざわめきを聞く

我は思うまま、今ありたいがままに生きるを望めど
叶うべき望み何処(いずこ)にもなし
見果てぬ夢は胸に立ち籠め、涙こぼるる

嗚呼
あらしの後の川縁(かわべり)
遠く揺れる柳の蔭に、立ちすくむのは誰なりや
その姿は哀しけり

時は逝きて無情のものよ
かつて手にしたこともなかりせば
いかにして哀しむべき

ただそれのみを嘆けども
明くる(あした)こそ希望あるものぞと思う虚しさは
果たして何時(いつ)の心の名残ぞ

ただ惜しみて
過ぎゆくこと思い、ひたすらに流されゆくばかり
髪乱し、風に立ち向かえども
この岸を離れられぬ葦のごとく

述懐

述懐

  • 自由詩
  • 掌編
  • ファンタジー
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-05-24

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted