東方好物語
改めて、初期の方を見るとほんとにひどいね!
一応修正はしたけどやっぱりひどいね!
ちなみに登録したてで、どう編集していいか良くわかんらない(´・ω・`)
不慣れだけどよろしくお願いいたします。
「妖夢?私お仕事で明日の朝まで帰って来られないから、お家の事よろしくね」
「あ、今日でしたっけ?」
「そうよ、ちょっとお呼ばれしてるから行ってくるわ」
「はい、任せて下さい」
その会話は、昼頃の事だ。白玉楼に居候している俺はそんな話を小耳に挟んだ。
「それじゃあ行くわね」
「はい、行ってらっしゃいませ。幽々子様」
白玉楼の主である幽々子と、その護衛者兼庭師でもある妖夢の声が聞こえて来ていた。
居候の身である俺は、せめてなにか手伝いをと床拭きをしながら妖夢を待っているのだが。
しばらくすると、幽々子を送り出して来たのであろう妖夢が戻ってきた。
「なあ、幽々子……様ってどんな仕事をしているのさ?」
俺が幽々子のことを呼び捨てにすると妖夢はムスッとした顔をし、とてつもなく不機嫌になる。
何でも、居候でも主の事は様を付けて呼ぶべきだとかなんとか……。
「映姫さんの所に行っているんですよ」
妖夢は幽々子様に呼ばれるまで行なっていた、埃落としを再開しながら返事をした。
「映姫って……閻魔の人だっけ?」
「そうですよ。幽霊さん達の管理についてのお話合いだそうです」
「へー……」
幽々子様は幽霊らしい。え? わけわからん? 俺もわけわからん。
あんな綺麗で可憐な少女が幽霊だとか言われても実感なんてない。足もあるし触れた事だってあるからなおさらだ。
「幽霊なりのお仕事って訳か」
「そうですね」
ちなみに妖夢と呼ばれているこの子は半人半霊で、彼女の近くには大きな人魂みたいな白い塊が、常にふよふよと浮いている。これが彼女の幽霊側
の存在だとか。
とはいえ、幽霊側の彼女はなにも言わないし、特に目立って何かしたりはしないので、マスコット的存在なのだが。
人側の彼女は小さな少女で、白髪ショートヘアーに黒いリボン付カチューシャを着け、服装は白地のYシャツに、上から緑色のワンピースを着て、
胸元にはカチューシャと同じ色の大きめなリボンをつけている。
ちなみに下は流石に知らない。
「まぁなんにしろ、明日までは二人きりってことだな。夜も」
と、俺は妖夢を少しからかってやろうと、わざと夜という部分を強くして言った。
「な、なななにをっ。ま、まぁ確かにそうですけどっ!」
すると、妖夢は手にしていたはたきを落とし、見事に耳まで真っ赤にしながら反論を始めた。薄く涙目になってしまっているのが無性に可愛い。
「ごめん、ごめん。ちょっとからかっただけだから、そんな慌てないでよ。別になにもしやしないって」
まあこれは本当である。
妖夢は刀の使い手。下手に手を出したりしたら、手がなくなってしまいかねない。
「あ、あんまからかうと怒りますよ」
耳まで赤くしたまま怒る妖夢はちっとも怖くはなかった。
------------------------------------------------11/5/12、更新---------------------------------------------------------
ひとつ屋根のした、男子と女子が寝泊まり。
と、聞くと妙なときめきを感じてしまうだろう。俺もそうだ。
だがここ白玉楼だとそんな気持ちも起きない。だって広いんだもの。
幽々子様は西行寺家という伝統のある御家のお嬢様だ。その為、お家は確かにでかい。
正直幽々子様と妖夢の二人じゃもて余すレベルで、大きな家だ。
そんな家に俺が居ようが大差なく。要するに、妖夢や幽々子様との部屋の距離がすごく遠いいのだ。
「妖夢?? お風呂上がったよ?、お湯抜いちゃうからね?」
妖夢と幽々子様は生活がしやすいように、毎日使うものの近くに部屋を取っている。その為、風呂も近ければ台所も近い。
なので、声をかければ届くはずなのだが……
「おーい、妖夢ってば」
若干悪い気もするが妖夢の部屋を覗いてみる事にしよう。
「妖夢!」
「わ、わあっ!!」
若干強く呼びながら部屋を覗くと、寝巻き姿に着替えていた妖夢がその中で飛びあがった。
「お、脅かさないで下さいよ!」
「さっきから声かけてるじゃないか……」
妖夢は安堵の溜め息を吐くと、近くを漂っていた半霊を抱き寄せた。
「お風呂のお湯抜いちゃうよ? それともまた洗濯につかう?」
「明日は幽々子様の分がないので流しちゃってください」
「ん、わかった」
「あっ、待ってください!」
風呂場に再度向かおうと後ろを向くと、妖夢が慌てたように声をかけてきた。
「な、なに?」
気迫を込めて迫って来るのでつい身構えて言葉を待ってしまう。
「あ、あのなにか怪しい者を見ませんでしたか?」
緊張しているのか顔が若干強張り、おっかなびっくりで言葉を発した。
「え? い、いや……みてないけど」
「そ、そうですよね……引き留めちゃってすいません」
俺の言葉を聞くなり、妖夢は安心したように肩の力を抜いた。
「……?」
「あ、呼び止めてしまってすいません、もう大丈夫です」
「あ、うん」
俺は不思議に思いながらも風呂のお湯を抜きに戻り、そのまま部屋へと帰っていった。
なんだか妙にそわそわした様子だったけど、何かあったのだろうか……
火照った体を涼ませるため、襖を開けて濡れ縁に座り外の風を体に浴びた。
日中はだいぶ暑くなり、夏が近づいていることを告げているが夜はまだまだ涼しい。
風呂上がりの体を冷ますにはちょうど良い気温じゃないだろうか?
それにしてもさっきの妖夢はどこか様子がおかしかった。
いつもの堂々とした態度とは対照的に落ち着かず何かに怯えているかのような……。あ、もしかして俺に怯えて? 別になにもしないのになぁ。
外は森が広がり、月明かりが木葉のスキマから帯を作り地面にいくつもの光のステージを作り上げている。
その様はまさに幻想的だ。
「あ、あの」
等と、詩人っぽく鑑賞していると、後ろから声をかけられた。
「ん?どうした?」
振り向くと、寝巻き姿の妖夢が半霊と自信の象徴とも取れる2本の日本刀を抱え、立っていた。
おいおい、そんなに信用ならんかな俺は……
と言うか、もしかしてこれは「やられる前にヤる!!」って事なのか!?
「あ、あのですね、ちょっとお話を伺いたいのですがっ」
「えっ? あ、うん、いいけど?」
こんなかしこまってなんだろう。
なんか決死の覚悟をしているような顔付きだが……
もしかして本当に切り捨て御免! とか? いやいや、妖夢に限ってそれはないだろう……けど。
「えっと……なに?」
口ごもる妖夢に耐えかねた俺は、ついつい急かすように声をかけてしまう。
「えっと、ですね、その?なんと言って良いかわからないのですが……」
ぽつぽつと妖夢は言葉を紡ぎだしていく。
俯いているので顔は良く見えないが、徐々に耳が赤くなっていくのが見てとれる。
こ、これはフラグ!?
そんなバカな事を一瞬考えたが、それが仇となり無駄に緊張してきた。
そして気づけば自然とお互いが、正座で向かい合っていた。
冷えていたはずの体が熱をぶり返し熱くなっていく。
「その、私も未熟者ですが、じゃなくて未熟者でして、やっぱり一人で居るよは二人で手を取り合って居たいと思うんですよ」
「う、うん」
「そ、それで、なんか今日は不思議な事に色々思うところがありまして、是非も一緒にですね……」
「い、一緒に?」
自分が生唾を飲む音がやけに大きく聞こえた。
「その……い、一緒に――一緒に寝てくれませんかっ!!」
「一緒にね……えええっ!?」
なんかもっとすごい言葉きたーーーーー!?
驚きに俺は目の前が真っ白になったが、その白の中に真っ赤に染まった妖夢の顔がやけにリアルに映っていた。
真っ赤な妖夢は恥ずかしそうに身を縮め、こちらを上目使いでちらちら見上げている。
「べ、別に卑猥な意味ではありませんよ!?」
「わ、わかってるよ!」
混乱しているのか、妖夢は言わなくて良いような事を口走っている。
「と、とにかく落ち着いて!」
「は、はい。すいません」
2?3度深呼吸させて妖夢を落ち着かせる。
真っ赤だった顔もすこしは落ち着いてきた。
とりあえず俺も濡れ縁から部屋の中に戻り、妖夢も入り口から部屋の中心へと移動してきた。
「そ、それでどういう訳?」
「えっとですね、私実は――」
と、そこで急に濡れ縁へと続いている襖が、なんの拍子も無く音を立てて閉まった。
「ッ――――」
「え!?」
妖夢は驚きに言葉を呑み込み、目を見開いて体をビクッと震わせた。
俺が閉めた訳じゃないし、妖夢な訳もない……とすると?
「妖夢、これって……って大丈夫?」
前を向き妖夢を見るとガチガチに体を硬直させ、青ざめた顔で小さく震えている。
「だ、大丈夫……です」
「いや、無理しなくてもいいんだぞ? 調子悪いなら早く寝た方が……」
そんな事を言って居ると、何処からともなく誰かの笑い声が部屋に響いてきた。
「うふふ、ふふふふふ。うふふふふ」
「キャーーーーっッッ!!」
「な、なんだ!? ってうわ! 妖夢!?」
悲鳴をあげながら妖夢が胸元に突っ込んできた。しかも両腕を俺の背中に回しきつく抱き着いている。
「うううっ……」
「妖夢、もしかして……」
幽霊とかお化けとか怖いとか?
「うふふ?スキマ妖怪でーす」
「う、うわっ!?」
確かめようとしたら、妖夢と俺の前に人がニョキッと生えてくるように現れた。
「ゆ、紫様……?」
「幽々子がいないって聞いたので遊びに来ました?」
凄く楽しそうにスキマ妖怪と名乗った紫は、上半身だけを現して笑っている。
「ほんと妖夢は怖がってくれるから、からかいがいがあるわ」
「――っ!!」
妖夢は床に放り出していた2本の刀のうち長い方を手に取ると紫に向かって振りかざした。
「あら、怒っちゃった。じゃあまたねっ」
悪びれもなく、紫は刀を避けるように登場とは真逆に床に埋まっていくように消えていった。
「ううっ。まったく紫様も冗談が過ぎますよう……」
妖夢は目尻に浮かんだ涙を、手でグシグシ拭った。
「なあ、妖夢……もしかしておばけとか嫌い?」
「……大嫌いです」
「そ、そっか」
半人半霊じゃね? とか、幽々子様だってお化けじゃん。とは言わなかった。
ようはそういう問題なのではないのだろう。
「大丈夫?」
「あまり大丈夫ではありませんよ」
溜め息をつく妖夢の背中を見て、すっかり夜も更けている事に気付いた。
「寝ようか?」
「え?」
「ほら、もう夜も遅いし。俺なんかで心もとないと思うだろうけど、寝ようよ」
俺は敷き布団に入ると妖夢に背中を向けるようにして横になった。
「……」
「……」
すると、しばらく動かず黙っていた妖夢もおずおずと布団に潜り込んできた。
「おやすみ」
「は、はい、おやすみなさい」
背中越しに声を掛け合い、小さく溜め息を吐いた。
色々と騒がしい1日になってしまったが、ようやく休める。
体から力を抜くと、とたんに眠くなってきた。
「ありがとうございます」
なんの前触れもなくそう妖夢は言うと、細い腕が後ろから伸ばされ、温かな物が背中に張り付いた。
「!?」
睡魔がぶっ飛び、妖夢の腕を見る。
俺の胸の前辺りで、しっかりと俺をつかんでいる。
てっきり背中を向けあって寝ている気でいたが、妖夢は俺の方を向いていたらしい。
熱くなった頭では、それに気付くまで時間がかかるのだった。
続きます
東方好物語