初夏の窓
連休最後の、人がごった返す日に
わざわざ出掛けることないと思ったけど
どうしても気になって行ってみたんだ。
向かいのペンキ屋が塗ったみたいな
見事な青空だったけど
いつもの黒い服を着た。
バスに揺られる間中、初夏に染まりだす街を窓から眺めていた。
まだ、売れてないといいな――。
店から出た瞬間、あたたかい陽が僕に降り注いだ。
僕のシャツは、目一杯その光を吸った。
シングルが入った袋握りしめて、これからやってくるリリーの季節を想う。
次は、プラネタリウムがみたいと思ってるんだ。
人が少ないとき、また行こう。
よかったら家まで迎えにいくよ。
袖をまくる。
微かにリリーの気配が触れた。
初夏の窓