七ならべ 2023年11月

しろいノートを
ひろげたままで
ことばふるのを
ただまっている
詩をかくことは
こんなにつらい
よるだったかな
おもいだせずに
ジタバタしても
ひはまたのぼる
詩はまたかける



おとの部屋には
苦しみがない
かぜの部屋には
心配がない
なみだの部屋に
おとが逃げ込む
かぜは窓辺で
戸惑うばかり
ひとの苦しみ
心配などは
こういう冬の
はじまりの日に
目が覚めたのだ



雪の深さに
絶望を掘る
北国だから
仕方ないこと
いつかは春が
来るはずだよね
沈黙だけが
真実だから
色えんぴつを
取り出してきて
風のしっぽを
塗ってみたけど
それでも山は
まだ笑わない
きみを求めて
手を伸ばしても
痛いくらいに
ぼくだけの部屋



雪の記憶を
手放せなくて
埋もれることを
恐れていても
時のめぐりは
仕方ないこと

アスファルトから
とどく手紙は
いつもどこかが
濡れているから
鼓動の音が
邪魔になるんだ



雪が積もれば
あの日残した
足跡だって
隠れちゃうけど
無くすことなど
出来るわけなく
冬の魔法に
閉ざされた日も
天然色の
記憶灯して
まだ、ここにいる

七ならべ 2023年11月

七ならべ 2023年11月

  • 韻文詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-05-05

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