「坊や」
烏の声も遠く去った
保安燈がおぼつかなげに点く午前二時
二段ベッドの上階で
座ったままに足を投げ出す
昏いオレンジがわたしを射す
おぼつかなげな保安燈
神経質な心の眼が
頻りに耳をそばだてる
眠りたがらぬ虚心
両方の手はもはや
力を捨てて絆創膏しかなくなった
爪はすっかりさびくさく
舐めてみたって肉の味はもうしない
唇ばかりを撫でまわして
リップはみるみる赤くなった
あゝ坊や
緋色で遊んではいけないったら
「坊や」
烏の声も遠く去った
保安燈がおぼつかなげに点く午前二時
二段ベッドの上階で
座ったままに足を投げ出す
昏いオレンジがわたしを射す
おぼつかなげな保安燈
神経質な心の眼が
頻りに耳をそばだてる
眠りたがらぬ虚心
両方の手はもはや
力を捨てて絆創膏しかなくなった
爪はすっかりさびくさく
舐めてみたって肉の味はもうしない
唇ばかりを撫でまわして
リップはみるみる赤くなった
あゝ坊や
緋色で遊んではいけないったら
「坊や」