初夏迷装 /新作俳句
朝昼晩と着替えばならぬ一日の温度差に対応しきれない今日、つつがなきや。
初夏の午後 メダカに観入る 幼き瞳
小さな額に汗して 漕ぐ自転車 倒れて重し
人少なき連休の路地 猫が走りゆく
小鳥のさえずり空に響き 不平を言いながら燕は電線に休む
また一人 知り合い逝きて 曇り空
黄砂花粉去りゆけば 人もまた去りゆく
夢の如きに過ぎ行くこの一瞬を 友と語ろうか
彼の禅師の如く 色恋に塗れたままで 逝きたやなあ
我の為す技といえば これのみ 盃を翳して笑う
旅を愛する人は旅に終わり 芸に生きる人は芸に終わる で我は
☆ 病に苦しむ友を見るのは辛いもの、特に年老いてからは
友との語らいが、何より楽しくて大事な時間だと思えてくる。
逝きし人よ君ともう一度逢いたい。(いずみ)
初夏迷装 /新作俳句