初夏迷装 /新作俳句

朝昼晩と着替えばならぬ一日の温度差に対応しきれない今日、つつがなきや。

 初夏の午後 メダカに()入る 幼き瞳
 
 小さな額に汗して 漕ぐ自転車 倒れて重し

 人少なき連休の路地 猫が走りゆく

 小鳥のさえずり空に響き 不平を言いながら燕は電線に休む

 また一人 知り合い逝きて 曇り空

 黄砂花粉去りゆけば 人もまた去りゆく

 夢の如きに過ぎ行くこの一瞬を 友と語ろうか

 彼の禅師の如く 色恋に(まみ)れたままで 逝きたやなあ

 我の為す技といえば これのみ 盃を(かざ)して笑う

 旅を愛する人は旅に終わり 芸に生きる人は芸に終わる で我は


 ☆ 病に苦しむ友を見るのは辛いもの、特に年老いてからは
   友との語らいが、何より楽しくて大事な時間だと思えてくる。
   逝きし人よ君ともう一度逢いたい。(いずみ)
 

 

初夏迷装 /新作俳句

初夏迷装 /新作俳句

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-04-29

Copyrighted
著作権法内での利用のみを許可します。

Copyrighted