『乞う人』
この世界に自由なんてあるの?
君の疑問は透明すぎる
『乞う人』
余りにも透明で
余りにも清らかで
だから汚れてしまうのだと
忠告してもすぐ君はそっぽを向く
僕は本当に愚かだから
君の美しさの本質を
未だ掴めていないんだ
だから君の手を握ることもできない
嫉妬だとか憧憬だとか
そういう感情に疎いのは
君が何も知らないからじゃない
本当は誰より暗闇を知っている
単なる子供の無邪気さと
切り捨てられない何かを
存在で証明する君は
僕の悪巧みを瞬時に打ち砕く
突然手を握られて微笑んだ後の
あの台詞には参ったよ
惚けた僕を高らかに笑って
したり顔の眩しさは言うまでもない
「汚せるのは貴方だけ」
『乞う人』