『乞う人』

この世界に自由なんてあるの?
君の疑問は透明すぎる


『乞う人』


余りにも透明で
余りにも清らかで
だから汚れてしまうのだと
忠告してもすぐ君はそっぽを向く

僕は本当に愚かだから
君の美しさの本質を
未だ掴めていないんだ
だから君の手を握ることもできない

嫉妬だとか憧憬だとか
そういう感情に疎いのは
君が何も知らないからじゃない
本当は誰より暗闇を知っている

単なる子供の無邪気さと
切り捨てられない何かを
存在で証明する君は
僕の悪巧みを瞬時に打ち砕く

突然手を握られて微笑んだ後の
あの台詞には参ったよ
惚けた僕を高らかに笑って
したり顔の眩しさは言うまでもない



「汚せるのは貴方だけ」

『乞う人』

『乞う人』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-04-28

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