失う人

恋人たちは
さよならも言えぬまま
つがいになる
あの恋慕を失えとおもいあいながら

セピアの時計の下
濡れた傷の見せ合いは
風化していく

春を含む砂が胸を塞ぐ
やがて砂嵐しか映さないテレビなど捨てられて
ノイズから漏れる言葉は
もう誰にも聞き取られることはない

失う人

失う人

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-04-26

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