水晶の火
風のからだに、火がみえた! 風は意志から出発をした!
火の衣装を着てくるまれて、のたうつごとに綺麗であって──
剥がれるように風が裂け、綾織りしなり、瑕に離れ…
非情の火焔、それ風のからだを武装する。躰よ 手折られるな。
風は硝子を打つためにある、火により争う空気の傀儡、
されど心の裡の火は、優しく澄まねば不可ないのです──
火は酷・残忍 霊を発火させる断末魔、
風が優しくあるために、火を負う命が躰にはある!
光よ 光、火を徹せ。からだの風に、
ふっくらと 拡がるように射しこんで──
一途の優しさ 天より射し 火に磨かれたからだへ透く、
さすればきんと撥ねられて、瑕に清まれる水晶の火を明けわたす…
*
御月様 わたしのレノア…
わたしの希は、唯ひとつ──わたしはつよく、優しくなりたい。
水晶の火