水晶の火

風のからだに、火がみえた! 風は意志から出発をした!
火の衣装を着てくるまれて、のたうつごとに綺麗であって──

剥がれるように風が裂け、綾織りしなり、瑕に離れ…
非情の火焔、それ風のからだを武装する。躰よ 手折られるな。

風は硝子を打つためにある、火により争う空気の傀儡、
されど心の裡の火は、優しく澄まねば不可ないのです──

火は酷・残忍 霊を発火させる断末魔、
風が優しくあるために、火を負う命が躰にはある!

光よ 光、火を徹せ。からだの風に、
ふっくらと 拡がるように射しこんで──

一途の優しさ 天より射し 火に磨かれたからだへ透く、
さすればきんと撥ねられて、瑕に清まれる水晶(クリスタル)の火を明けわたす…

  *

御月様 わたしのレノア…
わたしの希は、唯ひとつ──わたしはつよく、優しくなりたい。

水晶の火

水晶の火

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-04-24

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