『逃避行』

随分遠くまで来てしまったと
呆れたような貴方の溜め息


『逃避行』


掛け違えたボタンをそのままに
二人一緒に行方知れず
猫を連れて行くようなものだと
曖昧な笑みの貴方の腕の中

聞き分けのいい良い子なんて
誰が求めてくれると言うの
精々我儘に貴方を振り回して
飽きられないように務めるだけ

何処に居たって同じだけど
出来るだけ自由に奔放に
身軽なだけが取り柄よって
笑ってあげるから安心して

罪の意識とかは放り投げて
アタシの胸に顔を埋めればいい
何もかも忘れるくらい溺れても
誰にも咎められやしないわ

遠いあの場所で誰が何を言おうと
今のアタシ達には関係ない
気になるなら耳を塞いでいてあげる
その後はキスをしてあげる



「そうしてすっかりアタシだけの貴方」

『逃避行』

『逃避行』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-04-11

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