『逃避行』
随分遠くまで来てしまったと
呆れたような貴方の溜め息
『逃避行』
掛け違えたボタンをそのままに
二人一緒に行方知れず
猫を連れて行くようなものだと
曖昧な笑みの貴方の腕の中
聞き分けのいい良い子なんて
誰が求めてくれると言うの
精々我儘に貴方を振り回して
飽きられないように務めるだけ
何処に居たって同じだけど
出来るだけ自由に奔放に
身軽なだけが取り柄よって
笑ってあげるから安心して
罪の意識とかは放り投げて
アタシの胸に顔を埋めればいい
何もかも忘れるくらい溺れても
誰にも咎められやしないわ
遠いあの場所で誰が何を言おうと
今のアタシ達には関係ない
気になるなら耳を塞いでいてあげる
その後はキスをしてあげる
「そうしてすっかりアタシだけの貴方」
『逃避行』