「雪町の紫陽花」

 待つはだれ
 向うのお山の紫陽花が
 こっちへおいでと手をのばす
 待つはだれ
 日に消えないわた雪が
 うさぎになって此方(こなた)を見つむ
 待つはだれ
 なつかしい、哀しいしろすゞめ
 まりやの花より浮世に際立てるを
 憎しとも思はず
 恨みも無く
 怒りもあらず
 ただ待ち望むのみ
 やさしき雪の町のあの紫陽花

「雪町の紫陽花」

「雪町の紫陽花」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-04-11

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