『ソメイヨシノ』

『ソメイヨシノ』

君の嘘は美しい故に余計悲しい
言葉の端に辿々しい恋の残り香
そして二人の足跡だけ


『ソメイヨシノ』


ピンクの花弁がひらひら舞って
今年も君が隣にいないことを思う
そう言えば何度注意しても
花弁を持ち帰ろうとしてたね

持ち帰った花弁は
もうあのひらひら舞っていた姿じゃなくて
ああ、詰まらなくなったと
勝手に失望するだけだろう

変わらないものなんてなくて
変わらないものばかり追い求めて
君の涙は乾くことを知らない

美しい言葉を口にするけれど
そのどこにも真実はない
ひらひら舞う嘘は
確かに僕の目を釘付けにはしたよ

君を中心に世界は回っていて
それを心から信じている
馬鹿な君の幼稚な嘘は
この世の何よりも美しい



「後には葉桜の侘しさだけ」

『ソメイヨシノ』

『ソメイヨシノ』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 青春
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-04-10

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