『ソメイヨシノ』
君の嘘は美しい故に余計悲しい
言葉の端に辿々しい恋の残り香
そして二人の足跡だけ
『ソメイヨシノ』
ピンクの花弁がひらひら舞って
今年も君が隣にいないことを思う
そう言えば何度注意しても
花弁を持ち帰ろうとしてたね
持ち帰った花弁は
もうあのひらひら舞っていた姿じゃなくて
ああ、詰まらなくなったと
勝手に失望するだけだろう
変わらないものなんてなくて
変わらないものばかり追い求めて
君の涙は乾くことを知らない
美しい言葉を口にするけれど
そのどこにも真実はない
ひらひら舞う嘘は
確かに僕の目を釘付けにはしたよ
君を中心に世界は回っていて
それを心から信じている
馬鹿な君の幼稚な嘘は
この世の何よりも美しい
「後には葉桜の侘しさだけ」
『ソメイヨシノ』