君と見た空
第四章
**********
ん?今、目があったような…。
気のせいかな?うん。きっとそうだ。
中学生のときから私は余計な期待をしないようにしている。
その方がなんとなくだけど楽な気がするから。
キーンコーンカーンコーン
予鈴が鳴って廊下から先生たちの足音が聞こえると、みんなは一斉に席に着こうとする。
ガラッ
「お前ら早く席に着けよー。遅刻にすんぞー」
担任の小峰。通称「コミコミ」。いちいちうるさいけど、優しい先生だ。
「気を付け。礼」
「おはよーございます」
ガタッガタガタ
イスを引く音だけが教室に響く。
「健康観察すんぞー。具合悪い奴いるかー?遅刻は…福田!またあいつか…」
バンッ
そのとき、教室のドアが勢いよく開いた。
「すいません!遅れました!」
「お前なぁ…。遅刻だからな」
「え~!そこをなんとか!」
真由はいつもだいたい遅刻してくる。
「なら、普段の授業態度治せ。寝てばっかいるくせに遅刻とはな…」
「だってー…」
クラスのみんなが真由と先生のやりとりを聞いて笑っている。
真由は私の親友でもあり、憧れの人でもある。
スゴイよなぁ、どうどうとみんなの前で話せちゃうんだから。
ふと、彼を見ると同じように真由を見て笑っていた。
いいなぁ真由。
「今日だけは免除してやるから、早く席着け。これからはちゃんと早く来いよ」
「やったー!先生やっさしー!」
「真由よかったね~」
沙希が声をかける。
「まぁねん」
得意げに両手でピースをする真由。
真由が席に着くと朝の会の続きが始まる。
こうして今日もいつもと変わらない高校生活の一日が始まった。
**********
君と見た空