『マリッジブルー』

元カレの車で走る阪神間


『マリッジブルー』


海遊館に行かない?と
久しぶりの電話に何となく
他意はなかったけど
その日は暇だったから

海月が好きとかもう知ってる
何度も聞いて覚えたわ
平日は小さい子が多いねなんて
世間話でしかない退屈

帰りは南京町でディナー
いつかと同じで笑っちゃう
確かにアタシもクラゲ好き
おかわりしてもいいかな

夜の神戸を助手席から眺めれば
まあ、綺麗は綺麗よね
来週末の結婚式の話を
楽しげにする人が運転してなけりゃ

そんなに楽しみなら呼んでよ
何気なく言えば言葉を濁す
本気で言い訳しないでよ
軽く受け流すべきなんだから

男にとって結婚式なんて
そんな大事なもんじゃないんだ
そんなこと言う男となんて
可哀想と思わなくはない

可愛い人が泣くのは嫌だな
帰ったら着信拒否して
別れの経緯すら忘れてるような
そんな男の存在を忘れるの

アタシは良い子じゃないけど
そこまで悪い子じゃないよ、たぶん
次を匂わせてくる誘いも
ちゃんと無視できるから



「見知らぬ彼女がどうか幸せになりますように」

『マリッジブルー』

『マリッジブルー』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-03-16

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