「哀しきは」
哀しきは
こんぺい糖の落ちる音
砥石に水を掬びて離す如くに
散らばる はじける きざむ、音。
知らず知らずに置き去りにして
ふためと逢えない落した忘れ物に
捧ぐる両手ですくっては
場所も分らず
撒く
撒く
撒く
力無く膝を垂れ
過呼吸の虚しい恐怖は胸に溜まり
滲む視界
潤む世界に
がらす細工の赤人魚
「哀しきは」
哀しきは
こんぺい糖の落ちる音
砥石に水を掬びて離す如くに
散らばる はじける きざむ、音。
知らず知らずに置き去りにして
ふためと逢えない落した忘れ物に
捧ぐる両手ですくっては
場所も分らず
撒く
撒く
撒く
力無く膝を垂れ
過呼吸の虚しい恐怖は胸に溜まり
滲む視界
潤む世界に
がらす細工の赤人魚
「哀しきは」