ジャズ
ドラムの音が僕の内臓を揺らす。跳ね上がるピアノの旋律が僕の脳味噌を叩く。サックスの音色が僕の心臓を殴る。感情が音になる。音楽になる。そしてその音楽が僕の体に染み込む。音が感情になってゆく。音は叫ぶ。跳ねる。暴れる。蹴る。殴る。そして僕の内臓もぎ取ってゆく。心臓を握り締め、無理やり引きちぎる。そして音は僕の魂をさらけ出す。僕の魂を殴る。殴る、殴る、殴る。旋律が絡み合って一つになる。その大きな塊は僕を殴打する。低く鈍い音が鳴り、僕は全身にあざができる。僕の骨は粉々になる。僕は体を失う。そしてまた魂が裸になる。魂は焼かれる。青い炎で燃やされる。魂は煮えたぎる。魂の殻が、一つ一つなくなってゆく。服をはぎ、皮をはぎ、筋肉を削ぎ、内臓をもぎ取り、魂の殻を割る。そして、そこには星がある。僕の星。青白く燃えて輝き煌めく、僕の星。そして音は僕に問う。
「君は?」
僕は?
ジャズ