「疲弊」

 からだの中の震える針が
 あまりに細く鋭くなりすぎて
 とうとう我身を傷つけ始めた
 震える針はかたまり
 黒い銀色の(まばた)き花火
 その莟は咲かず 落ちず
 眼は塞がれたまま
 ずっと夢の白泡に逃げて
 人差指の第一関節と第二関節の間を頻りに噛んで
 着込んでくたびれたてろてろシャツの襟元へと顔うづめ
 鼻で呼吸
 喋るべき口も噤んで
 永遠に落ちない瞬き花火
 火が
 燃え盛ることも無く
 何故泣く?
 あまい泪の
 自然とあふれる

「疲弊」

「疲弊」

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-03-12

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