『猫として』

彼女は猫だ
ツンとそっぽを向きながら
しなりと寄り添う


『猫として』


嫌いよと言って
その口でまた愛を告げる
気侭さを褒めれば
嬉しくないわと拗ねる

どうしてそんなにも
君は愛おしい存在なのか
美しく生きるということを
知らずに実行してしまう

寂しくなったら
また来たらいいけど
寂しくないなら
もう来ないでと
ああ、これは駆け引きじゃない

人知れず暗い道を
歩いてきたなんて誰にも
言えるわけがないけど
君になら許してもいい

この胸の内にある
仄暗い秘め事を
君と共有してしまいたい



「然りとて逃げるが猫」

『猫として』

『猫として』

  • 自由詩
  • 掌編
  • 恋愛
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-03-09

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