壁絵




同じ事を昔にした。
箱の中の絵葉書や、
会って話した色々。
大切に保管されて
見つけて焦ったよ。
あの頃のことから
目を背きたいって
思わない訳がなく、
仲違いして離れて
また出会って泣き、
あの頃から薄れて
嫌なこと痛いこと。
大好きな気持ちで
ぶつけて、壊して。
もう会えないとか、
もう帰れないなぁ
なんて、呟いたり。
全部を失ったけど、
一所懸命だったし
巻き戻し気分かな、
人生ってやつをね。
気を遣ったつもり?
そんなものないよ。
ずっと思ってたし。
何でもできてたし、
二人一緒だってね。
あの海を見つめて、
ふざけて過ごして、
耳を開けて歌った。
枯れる喉も直して
沢山の心を残した。
全部撮っていたね、
それも見て泣いた。
壁に貼って考えた。
お互いの半端な夢、
鼻が赤くなる現実。
灯す明かりの下で
私の顔をした希望、
あなたに誓った愛。
旅先で起きる事も
手紙に認める事も、
想像がつく私たち。
未完成だったのは
悔しいより寂しい。
だから吐けたもの。
殻の中身の嘘たち。
頭でドキドキして
気持ちで溶かした。
あの頃の物の為に
真っ黒にした全て。
私もあなたも未だ
作り手になれない、
そういう間柄には
誰も住み着けない。
だから一人だった、
壁紙に落書きして。
笑わないんだよね、
あの子って名前は。
そう言ってくれた
夏の出会いの開始。
銀河みたいな輝き。
笑い合う日々と声、
それを括るあなた。
眩しさと嬉しさで
涙が止まらない私。


さよならって言う。
できないって拒む。
会いたいって強い。
会えないって嘘だ。
覚えてるって頷く。
描いてみて思った
あなたの目に写る、
わたしの形になる、
それがあなたの夢。
指先が痺れた魔法。
一瞬も見失えない。
だって、
憧れてくれたから。
死んだりしない夏。
勝手に動く雲たち。
廃墟の中の思い出。
風が自由で大きい。
髪の毛はバサバサ。
我儘は言い放題で、
仲直りは大の得意。
並んで歩いて歌う、
振り返らずに進む。
戻って来こない声。
二人言で朝を待つ。
あなたは、あなた。
わたしはどうかな。
答えは今も出ない。
多分、一生こうだ。
だから会いに行く。
心のあなたの前で、
泣き続けられる私。
優しい手を握って、
報告する。


恥ずかしくないよ。
だって、
本当のことだから。
ソウルメイト。
もう、寂しくない旅立ち。

壁絵

壁絵

  • 自由詩
  • 掌編
  • 全年齢対象
更新日
登録日
2024-02-29

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